社会人として働き始めて2年目、3年目になると、少しずつ責任ある仕事を任せられるようになります。自分の仕事だけでなく、会社全体の事情もわかるようになってくる時期です。

このタイミングで「このまま今の仕事を長く続けるのは大丈夫だろうか」「定年までこの仕事を続ける自信がない」と感じているのではないでしょうか。

社会人の2年目や3年目の第二新卒と呼ばれる時期は、そのような不安を解消するために転職をする人が多いです。そして、第二新卒のなかには未経験の職種にチャレンジする人もいます。

そして、あとで具体的に紹介しますが、システムエンジニアは仕事自体がなくなる可能性はほぼないので、一生働き続けることができる職種です。

ここでは、第二新卒からシステムエンジニアに転職するときのポイントを解説します。

未経験の第二新卒が応募できるシステムエンジニア求人は存在する

未経験の職種に転職するときには、「転職してちゃんと仕事ができるだろうか」と不安になります。そもそも、未経験者がシステムエンジニアに転職できるのでしょうか。

大手転職サイトのdodaでシステムエンジニアの求人を検索してみた結果を紹介します。dodaは、10万件を越える求人を取り扱っている転職サイトです。

「システムエンジニア」で検索すると、3,000件以上の求人がヒットします。

このなかで、第二新卒歓迎と謳われている求人は、約半数です。そして、職種未経験者を歓迎しているのは100件未満です。

このように経験者に比べると未経験者が応募できる求人は少ないですが、未経験の第二新卒でも応募できる求人は一定数あることがわかります。

さきほどの検索でヒットした求人を2件紹介します。

1件目は、IT技術全般に関わる事業を展開している株式会社セラクから出されている求人です。セラク社の求人には、職種未経験者・第二新卒歓迎と明記されています。

セラク社の求人には、応募するために必要な経験やスキルは記載されていません。入社後に技術や知識を身につけて、システムエンジニアとして活躍していきたいという想いがあれば採用される可能性が十分あります。

この求人で採用されると、メーカーや通信業界などさまざまな業界から受託したプロジェクトに関わる可能性があります。将来のあなたのスキルや希望に応じた仕事を担当できます。

2件目の求人は、株式会社ユニックスから出されているものです。ユニックス社は、静岡県にオフィスがあり、主に流通小売業向けのシステムを提供している企業です。

求人票に記載されているPG(プログラミング)は、システム開発をするときの技術です。プログラミングでスマートフォンのアプリ、webサイト、家電に組み込まれているソフトウェアなど、さまざまな製品やサービスを開発できます。

そしてプログラミングのスキルは、大学やプログラミング教室で学ばなくても、独学で身につけることができます。下の写真のように、書店に行けばプログラミングに関する書籍がたくさん販売されています。

独学でプログラミングの学習をして、趣味で何かしらのソフトウェアやアプリケーションを作った経験があれば、ユニックス社の応募条件を十分満たします。

このように、第二新卒の実務未経験者でもシステムエンジニアに転職することは可能です。

システムエンジニア・SEの仕事内容を理解して、転職失敗を防ぐ

職種を変えて転職するときには、あらゆることが初めてになるので、不安に感じることも多いです。

あなたはシステムエンジニアにどのようなイメージをもっていますか? もしかしたら、いいイメージばかりではないかもしれません。

続いて、システムエンジニアがどのような職種で、ほかの職種とどのように違うのかについて解説します。

システムエンジニアは将来性のある職種

システムエンジニアが活躍できる領域は幅広いです。そして、あなたの身の回りにある多くの製品・サービスは、システムエンジニアの仕事によって作られています。

あなたはオンラインで買い物をしたことがありますか? 私は、下のようなオンラインショップで生活必需品を購入することが多いです。

このwebサイトは、システムエンジニアのなかのwebエンジニア(web系エンジニア)が設計・構築しています。

ほかにも、自宅にある家電に組み込まれているシステムの開発にもシステムエンジニアは関わります。

私の友人には、下の写真のようなカメラのシステム開発をしている人がいます。彼のようなシステムエンジニアは、組み込み系エンジニアとも呼ばれます。

ほかにもシステムエンジニアの仕事は細かく分けられ、扱うものもさまざまです。しかし、すべてに共通することは、私たちの生活に欠かせない製品やサービスのシステムの開発を担っていることです。

つまり、パソコン、インターネット、機械などがこの世からなくならない限り、システムエンジニアの仕事がなくなることはありません。

システム開発には多くの人が関わる

システムエンジニアはさまざまな製品・サービスに関わることを説明しましたが、1人のシステムエンジニアが担当するのは、システム開発のごく一部です。

1つの製品・サービスを開発したり運用したりするときには多くの人が関わります。具体的な関わり方について、私たちに身近な家電の1つのスマートフォンを開発する場合を例に紹介します。

システムエンジニアが担当するのは、スマートフォンに組み込まれているシステムの開発です。システム開発は、チームで行います。一人がシステムのすべてを開発するわけではありません。

システム開発に限らず、仕事をチームで進めるときには、チーム内で適切にコミュニケーションをとりながら仕事を進める必要があります。

そして、システムを開発しただけでは、スマートフォンは出来上がりません。電気系統の開発を担当する回路部門や、製品の仕様を決定する企画部門などとも打ち合わせや議論を繰り返さなければなりません。

スマートフォンに搭載するカメラやセンサーなどのパーツを他社から購入して利用する場合は、それらのパーツを製造販売している企業(ベンダー企業とも呼ばれる)ともやり取りが発生します。

このように、システムエンジニアがシステム開発をするときには、多くの人と関わりならが仕事を進めていきます。

新しい技術を学び続ける必要がある

システムエンジニアは、一度技術を習得すれば終わりではありません。一生働き続けられる職種ですが、新しい技術を学び続ける必要があります。

例えば、システム開発を行うときには、プログラミング言語を利用します。システムエンジニアへの転職を考えている人であれば、「C言語」「Java」などのプログラミング言語を見聞きしたことがあるかもしれません。

下の写真は、C言語に関する書籍です。C言語は多くの場面で利用されるプログラミング言語なので、多くの書籍が販売されています。

プログラミング言語は種類が多く、そして新しく開発されています。時代によって流行もあります。

また、学ばなければならないのは、システム開発の技術だけではありません。扱う製品によっては、システム以外の周辺の技術も把握しておく必要があります。

さきほども紹介したスマートフォンの話を例に紹介します。スマートフォンは、発売当初と比べて大きく進化しました。

スマートフォンが世に出たときは、指紋センサーは搭載されていませんでした。今となっては、指紋センサーはほとんどの機種で搭載されている機能です。そして、メーカーによっては顔認証システムが搭載されているものもあります。

スマートフォンのシステム開発担当者が、これらの技術を新たに開発したり、改良したりすることはありません。しかし、どんどん進化する技術の内容を把握したうえで、スマートフォン全体の動きを制御するシステム開発を行う必要があります。そのため、これらの周辺技術の知識を学び続ける姿勢も求められます。

ブラック企業は減り、ホワイト企業が増えてきている

システムエンジニアというと、「残業が多い」「ブラック企業が多い」とイメージする人もいると思います。実際に私の知り合いの中にも、残業時間の多さに嫌気がさして、働き始めて1年ほどでSEから地元の公務員に転職した人もいます。

では、実際の仕事環境はどうかというと、昔に比べると残業時間は確実に減っています。

私の知り合いで、現役のシステムエンジニアとして働いている人に話を訊くと、全員が「就職したときと比べて残業時間は減っている」と答えました。

そのなかの2人の話を紹介します。1人目は、大手精密機器メーカーの子会社で働いているシステムエンジニアです。彼は、主にカメラに搭載されているシステム開発を担当しています。

私がシステムエンジニアとして働き始めたのは2000年代からだが、当時は徹夜をしたり、終電まで仕事をしたりすることもあった。残業時間も多いときは月に100時間を超えることもあった。

最近でも、納期が近づいたり、依頼主から無茶な要求をされたりしたときはどうしても残業時間が増える。それでも、36協定や法の整備がしっかりしてきたから、今では遅くても21時くらいには帰宅している。

残業時間は月に40時間を超えることはない。最近の残業時間は、平均すると月に30時間くらい。

私の会社は、サービス残業が禁止されている。残業した分はちゃんと残業代が支給される。

彼のように依頼主からシステム開発を受注して、開発したものを納品する企業をSIerと呼びます。

システム開発には多くの企業が関わり、階層構造になっています。階層の下の方の企業になれば、依頼主からの要求や納期が厳しくなります。

そのようなSIerで働く私の友人も、就職した当時と比べると残業時間は減っています。

2人目は、電機メーカーで働くシステムエンジニアです。彼は、電機メーカーでスマートフォンのシステム開発を担当しています。

私が就職した頃は、残業時間が多い時期もあったが、多くても月に30~40時間だった。今はもっと減っていて、月に10時間も残業をすることはない。

私が入社する前の話だが、私の会社も昔は労働基準監督署から指摘されたこともあったらしい。残業時間が異常に多くて、労働時間の管理がずさんだったためらしい。

そういった経緯もあって、今は残業をするにも明確な理由が必要で、その都度上長に報告しないといけない。「今日は忙しいのでとりあえず残業します」というのは認められない。

今はチームリーダーとして働いているが、部下の仕事量や難易度も残業をしなくてもいいように調整している。

このように、システムエンジニアの業界の残業時間は減り、いわゆるブラック企業も減っている傾向があります。

転職前に資格取得を目指す必要はない

転職を考えるときに、「資格があれば有利に転職できるだろうから、資格を取得してから確実に転職を成功させよう」と思うかもしれません。

特にシステムエンジニアが働き始めて取得を目指すことが多い資格は、以下のようなものがあります。

  • 基本情報技術者試験
  • 応用情報技術者試験

これらの資格を受験するためには、システムエンジニアの業務経験は必要なく、学歴も求められません。書店に行くと以下のように資格取得のための書籍はいくらでも販売されています。

しかし、システムエンジニアに転職を目指すときに、先に資格を取得することはおすすめしません。つまり、転職を成功させることの方が資格取得よりも優先順位が高いです。

その理由は、主に次の2点です。

1点目は、転職は早い者勝ちで、求人の応募期間に限りがあるからです。下に示すシステムエンジニアを募集している求人は、募集期間が約1カ月しかありません。

募集期間を越えると、求人を閲覧することはできなくなります。また、あなたよりも先にほかの求職者が先に応募して内定をもらってしまうと、あなたが応募しても採用されません。

せっかくあなたがやりたい仕事ができる求人が転職市場に現れても、応募できなかったり、最終的に採用されたりしなければ何の意味もありません。

一方で、資格の取得には時間がかかります。テキストを購入して勉強する場合でも、スクールに通って勉強する場合でも、ある程度の期間勉強しなければ合格は勝ち取れません。

そして2点目は、転職後に資格を取得した方が一時金をもらうことができる可能性が高いからです。一時金については、実際の求人票にも記載されているものがあります。

下に紹介する株式会社HTKエンジニアリングの求人では、資格によって6,000円~60,000円の一時金が支給されることが記載されています。

転職前に資格を取得しても、この一時金を受け取ることはできません。

そして、企業は資格取得のためのサポートをしてくれます。具体的には、受験費用や、資格取得のためのテキストやスクール費用を負担してくれます。転職前に資格を取得しようとすると、これらの費用は自費になります。

資格を取得すること自体は意味があります。しかし、転職前に資格取得を目指すのではなく、転職後に取得する方が、メリットが大きいです。

第二新卒でシステムエンジニアに転職したときの年収

転職のときに年収は気になる項目です。また、現在の会社や業界で働き続けることに年収面で不安があり、システムエンジニアに転職を考えている人もいると思います。

最後に、システムエンジニアの年収を、経験年数別と年代別の2つの角度から紹介します。これから紹介するのは、厚生労働省が労働者の実態を調査した賃金構造基本統計調査の結果のデータです。

まず紹介するのは、経験年数別の年収です。システムエンジニアに該当するソフトウェア作成者と情報処理・通信技術者の年収を下に紹介します。

引用:賃金構造基本統計調査 厚生労働省より

未経験からシステムエンジニアに転職したときの年収は、300万円~350万円が平均値です。その後経験を積むことで、徐々に年収が上がっていきます。

システムエンジニア全体の平均年収は、約500万円です。サラリーマン・OLの平均年収も約500万円なので、システムエンジニアの年収は平均的な水準と言えます。

続いて紹介するのは、年代別の年収です。

引用:賃金構造基本統計調査 厚生労働省より

これらのデータから、システムエンジニアの年収相場や将来の年収の伸び方を理解しましょう。その上で、現在あなたが働いている企業や業界の年収と比較して、年収面でも満足できる転職を実現させましょう。

まとめ

ここでは、第二新卒が未経験からシステムエンジニアに転職するときのポイントについて解説しました。

転職市場には、未経験者が応募できるシステムエンジニアの求人は一定数あります。そして、コンピュータやインターネットがなくならない限り、システムエンジニアの仕事がなくなることはありません。

システム開発には、多くの人が関わります。社内だけでなく、社外の人ともコミュニケーションを適切にとりながら仕事を進めなければなりません。

昔と比べて、システムエンジニアの残業時間は減っています。いわゆるブラック企業も少なくなっているので、安心して転職してよいです。

資格があれば、転職には有利ですが、システムエンジニアに転職するときには転職活動を優先しましょう。

第二新卒の未経験者がシステムエンジニアに転職したときの年収の相場は、300万円~350万円です。政府統計などの信頼できるデータを確認して、将来の年収の伸び方も把握しておきましょう。

これらのポイントを押さえて転職することで、転職後の後悔を防ぎ、満足して働くことができます。


研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。