ITインフラは、企業だけでなく、私たちの日常生活にもなくてはならないものです。友人とのコミュニケーションで利用するSNSや、調べ物で活用するwebサイトもITインフラ基盤の上に成り立っています。

ITインフラは24時間365日稼働し続けなければなりません。インフラエンジニアは、トラブルなくITインフラを稼動させるための企画・設計・運用を担当する職種です。

実は、インフラエンジニアは未経験からでも挑戦し、働くことができます。しかし、エンジニアのなかでも扱う機器、働き方が特有であり、事前にしっかりと情報収集をしてから転職する必要があります。

ここではまず、インフラエンジニアの仕事内容を紹介します。続いて、「転職で求められるスキル」「アピールできる資格」「インフラエンジニアの年収」「転職を成功させるポイント」について順に解説します。

インフラエンジニアの仕事内容を把握する

インフラエンジニアとして働き始めると、どのような機器やソフトウェアを扱うことになるのでしょうか。

インフラエンジニアが取り扱うものは多岐に渡ります。ITインフラを構成するのは主に以下の3点です。

  • ファシリティ
  • サーバー
  • ネットワーク

ファシリティは、建物や設備を指します。具体的には、サーバーを設置するラックやサーバーを配置する建物や部屋などです。

サーバーは、データを保管するストレージやCPU、メモリ、サーバー同士のやり取りを制御するシステム(OSやアプリケーション)で構成されます。

サーバーにはメールサーバーやデータベースサーバーなどがあります。例えば、顧客の情報(顧客番号、顧客名、売り上げなど)はデータベースサーバーに保管されています。また、クラウドサーバーを利用するケースも増えてきています。

ネットワークは、サーバーや端末機器の間でデータ通信をするためのです。適切にデータを送信するためにルーターなどのネットワーク機器を導入して、インフラ基盤を構築します。

続いて、実際の求人票で仕事内容を確認しましょう。下に示す株式会社プロトシステムの求人は、一般的なインフラエンジニアの仕事内容が挙げられています。

プロトシステム社は、東京都千代田区にオフィスを構えるサーバーインフラやネットワークソリューションなどを主な事業としている会社です。

ファシリティ、サーバー、ネットワークがあれば最低限のネットワークシステムはできます。しかし、インフラエンジニアが設計・運用するのはこれだけではありません。

ネットワークは外部からの不正アクセスのリスクに常にさらされています。会社の機密情報や顧客の個人情報を守るためには、セキュリティ対策を講じておかなければなりません。

また、ネットワークの規模が大きくなると稼動する機器も増え、機器からの発熱量も増加します。機器が熱をもつと、故障率が上がるので、冷却するための装置も稼働させる必要があります。無駄なく適切に冷却するための装置を導入するときにも、インフラエンジニアは関わります。

このように、多くの機器やシステムの設計・運用を担当するのがインフラエンジニアの仕事です。

未経験からインフラエンジニアに転職するとクライアント先で働くことが多い

インフラエンジニアの仕事は、企業のインフラ環境を企画・設計し、運用までを行うことです。

未経験から転職した場合は、転職直後に研修を受けることになります。インフラエンジニアとして働くために必要な基礎的な知識や技術を学びます。

研修が終わると実務を担当するようになりますが、インフラエンジニアの働き方は、大きく2種類に分かれます。

1つ目は自社のインフラ環境を整備・運用する場合で、2つ目は他社から依頼を受けてインフラ環境を整備・運用する場合です。

実は、未経験者がインフラエンジニアに転職する場合は、ほとんどの場合「他社のインフラ環境」に携わることになります。その理由は、自社のインフラを担当する人材を募集するときは、経験者を募集することが多いからです。

そして、インフラ設備は依頼元の企業に設置されるため、仕事場は依頼元企業になることが多いです。

勤務先について、求人票に記載されている例を2例紹介します。

最初の例は、愛知県名古屋市にオフィスがあるいちえん株式会社の求人です。いちえん社は、ITインフラやクラウドの設計・構築を主な事業としています。

いちえん社の求人票には、「各種クライアントへの常駐型エンジニア」と記載されています。この求人で採用されると、自社ではなくクライアント先に常駐して働くことになります。

2例目は株式会社Crane&Iの求人です。Crane&I社は、東京都新宿区が拠点のITソリューション事業を展開している企業です。

Crane&I社の求人には、東京、千葉、神奈川、埼玉のプロジェクト先が主な勤務先で、帰社日は月に1回と記載されています。

このように、未経験からインフラエンジニアに転職すると、多くの場合クライアント先で勤務することになります。

転職で求められるスキルと、アピールできる資格

あなたがこれまで社会人経験で身につけたスキルや資格をアピールすることで、転職活動を有利に進めることができます。

では、未経験からインフラエンジニアに転職するときには、どのようなスキルや資格をアピールするとよいのでしょうか。これらについて順に解説します。

コミュニケーション能力は必須のスキル

未経験からインフラエンジニアに転職すると、客先の要望に沿ったインフラを企画・構築・運用することを任されます。つまり客先が変われば、求められるインフラ設備は異なります。

それぞれの顧客に合わせたインフラ設備を設計・運用するためには、コミュニケーションスキルは必須です。

web通販で事業展開を行っている以下の2社を例に考えてみましょう。A社の事業は市場が小さく、将来的な事業拡大は見込めません。一方でB社の事業は巨大市場をターゲットにしており、将来的にはサイト利用者が増えることが予想されています。

この2社でサーバーを新たに導入するときは、どのような点に着目すればよいでしょうか。

A社はサイト利用者数が急激に変化することは考えにくいです。そのため、サーバーに搭載するCPU数やメモリ数も現行のままでよいと考えられます。

B社は今後サイト利用者数が増える可能性が高く、サーバーへの負荷も増加すると考えられます。そのため、今後の拡張に備えて、CPUやメモリを増設しやすいサーバー製品を導入するのがよいでしょう。

このような事業展開の予定は、クライアントと打ち合わせを重ねることで聞き出さなければなりません。情報収集が不十分なままITインフラを構築してしまうと、後々の顧客満足度に大きく影響してしまいます。

また前の章では、未経験から転職したインフラエンジニアはクライアント先の勤務が多いことを紹介しました。つまり、あなたは会社の顔として常駐するクライアント先から見られます。

そして、あなたがやり取りをするのはクライアント先の社員だけでなく、ベンダー企業も含まれます。あなたが顧客に導入する機器は、ベンダー企業から購入するものです。

ベンダー企業から見積もりを取得し、サービス内容を総合的に判断して、導入する製品のスペックを決定します。

顧客満足度の高いITインフラを設計するためには、これら企業の担当者とコミュニケーションをとりながら仕事を進めなければなりません。インフラエンジニアとして働くときに、コミュニケーションスキルは必須のスキルです。

IT関係の資格があれば知識を証明できる

あなたがこれまで資格を取得していれば、資格取得で身につけた知識をアピールすることができます。

インフラエンジニアはITインフラの企画・設計・運用を担当します。そのため、IT関連の資格を取得していれば、転職のときの強みになります。

次に紹介する株式会社KDDIエボルバの求人では、応募するために必須の資格はありませんが、「ITパスポート相当の知識」が歓迎条件として挙げられています。

ITパスポートは、IT業界に関する基礎知識を担保する資格です。特に、IT業界未経験者が転職後最初に取得を促されることが多い資格です。

また、下の株式会社クエストの求人では、IT関連の資格があれば応募でき、具体的に4つの資格が挙げられています。

基本情報(基本情報技術者)は、ITパスポートより難易度が高いITに関する知識を幅広く問われる資格試験です。

LPICは、Linux技術者としての技術力・知識を認定する資格です。Linuxはwebサーバー、ファイルサーバー、メールサーバーなど幅広いサーバーで利用されるOSです。

そして、求人票に挙げられているいずれの資格も、IT業界での実務経験がなくても受験することができる資格です。

これらの資格を取得していれば、インフラエンジニアとして働くときに必要な知識を身につけていることを証明できます。

そして、あとでくわしく述べますが、インフラエンジニアに興味関心があることを、資格を取得していることで説得力を持ってアピールできます。

IT関係の資格を有している人(下図A)と資格がない人(下図B)が未経験で応募してきた場合、あなたはどちらを採用したいと思いますか。

すでにあなたがIT関係の資格を取得していれば、履歴書に書いたり、面接でアピールしたりすることで、転職を成功させやすくなります。

ここで注意しなければならないのは、「これから資格取得を目指し、取得後に転職活動を始める」ことです。これはやってはいけません。

インフラエンジニアとして働くときに、資格は必要ありません。経験豊富なインフラエンジニアでも資格を全く取得していない人もいます。

新卒の就職活動と違い、転職は早い者勝ちです。資格を取得してから転職活動を始めていては、魅力的な求人がほかの求職者に取られてしまいます。

転職活動を最優先にしながら、空いた時間に資格取得の勉強をするようにしましょう。

未経験でインフラエンジニアに転職した年収の実態

転職を考えるときに、現在の年収に満足できずに転職を検討する人がいると思います。また、今の仕事では将来的な年収の伸びに期待ができないので、インフラエンジニアへの転職を考えている人もいるかもしれません。

未経験者の転職は実務経験がないので、採用する側も採用してどのくらい戦力になるかを評価できません。そのため、未経験の職種に転職する場合は、高年収は期待しにくいです。

では、実際のインフラエンジニアの求人では、どのくらいの年収が提示されているのでしょうか。

最初に紹介した株式会社プロトシステムの求人では、以下のように月給20.5万円~35万円が提示されています。賞与を基本給の4カ月分として計算すると、年収328万円~560万円になります。

ここまで7件の求人を紹介しました。すべての求人の提示年収を一覧にしたものが下の表です。なお、月給しか提示されていない求人は、月給に賞与を基本給の4ヵ月分加えたものを年収として算出しています。

企業名 提示年収

(万円)

(株)プロトシステム 328~560
(株)スピードリンクジャパン 320~960
いちえん(株) 336
(株)Crane&I 320
ジスクソフト(株) 356
(株)KDDIエボルバ 350

(入社時想定年収の最低額)

(株)クエスト 360~600

未経験の職種に転職するときは、いきなり高年収を勝ち取ることは難しいです。そのため、上の表の最低額が目安になると考えてください。この表から、未経験者がインフラエンジニアに転職したときの年収は、おおよそ350万円くらいと言えます。

では、将来的な年収の伸びはどのくらいが期待できるのでしょうか。転職直後の年収が低くても、将来的に高年収になるのであれば、モチベーションを維持して働くことができるでしょう。

インフラエンジニアを含むシステムエンジニアの年収は、厚生労働省が賃金構造基本統計調査として毎年調査しています。その調査結果を年齢別にグラフ化したものが下の図です。

調査結果では、30代ではおよそ500万円の年収です。そして、40代以上で男性は600万円~700万円、女性では500万円~600万円の年収になることがわかります。

あなたが現在システムエンジニア以外で働いているのであれば、この推移と比較して転職を検討しましょう。そうすることで、年収面での転職失敗を防ぐことができます。

未経験者がインフラエンジニアに転職成功させるポイント

未経験の職種に転職するときには、意識しなければならないポイントがあります。それは、「あなたが本気で未経験の職種に転職したいと思っていること」をアピールすることです。

面接のときに「頑張ります」「努力します」とは誰でも言えます。重要なのは、本当に頑張ることができるかを証明することです。

冒頭で紹介したプロトシステム社の求人には、「選考のポイント」として以下の内容が記載されています。

あなたがインフラエンジニアとして働くために現在どのような努力をしているのかをアピールしなければなりません。

私がかつて転職フェアに参加したときに、「未経験者が応募してきたときに採用担当者が注目するポイント」を教えてくれました。その内容が以下の内容です。

未経験の職種に転職する人は、中途半端な気持ちで転職をしようとする人が多い印象がある。「何か勉強をしていますか?」と質問しても「何もしていません」と答える人が多い。新しい仕事に興味があれば勉強をするのが普通。そういう人を採用したい。

あと、最初の1,2年は勉強をしなければならないことが多い。そのため「かっこいいからやりたい」というだけの気持ちでは「やっぱり無理だ」「きつい」となりやすい。将来的にどのようなエンジニアになりたいかを描ける必要がある。

あなたはインフラエンジニアになるために努力をしていますか?

今働いている会社でITインフラの整備を担当している人に、技術・知識について積極的に質問をしている人もいるかもしれません。書籍を購入して、インフラエンジニアの仕事内容について学んでいる人もいるかもしれません。

転職を成功させるためには、採用担当者に本気で転職したいことをアピールするための材料を見つけるようにしましょう。この点を意識することで、転職を成功させやすくなります。

経験を活かした志望動機の書き方

あなたが現在インフラエンジニアに転職するために努力をしていたり、将来のインフラエンジニアとしての目標が描けていたりすれば、志望動機でアピールするようにしましょう。

では、どのように志望動機を書けば採用担当者にアピールすることができるのでしょうか。実際の志望動機の例を2つ紹介します。

・アプリケーション開発のエンジニアからインフラエンジニアに転職するケース

まず1例目は、アプリケーションの開発に携わっていた経験を活かしてインフラエンジニアに転職を考えている場合です。具体的には、webアプリケーションの開発を担当しているエンジニアが転職することを想定して志望動機を考えてみます。

私は〇〇というwebサービスを企画・設計・運用を主に担当しました。特に自社のエンジニアとサーバーの設計をするなかで、ITインフラの設計業務に興味を持つようになりました。

御社がwebサービスを展開する企業を中心にインフラ構築のコンサルティングをしていることを求人票で知り、応募いたしました。webサービス運用の経験を活かして、お客様に適切なインフラ環境を提示できるインフラエンジニアを目指しています。

この例では、webエンジニアの経験を活かして、インフラエンジニアへのキャリアチェンジを考えています。身につけた知識やスキル活かして、どのようなインフラエンジニアになりたいのかをアピールするとよいです。

・IT業界未経験からインフラエンジニアに転職するケース

2つ目の例は、これまでIT業界での実務経験が全くない人が、インフラエンジニアに転職を考えている場合です。

この場合は、さきほど紹介したように、インフラエンジニアに転職するために何かしらの努力をしている必要があります。努力をアピールすることで、インフラエンジニアになりたい熱意を伝えることができます。

私はこれまで保険会社で営業を担当しました。契約作業ではwebアプリケーションを利用することから、webサービスを管理している会社ともやり取りがありました。

そして、仕事を通じてwebサービスを支えるインフラエンジニアに興味を持ち、独学でITパスポートと基本情報技術者資格を取得しました。今後も努力を続けて、インフラエンジニアとして活躍したいです。

このように、これまでの経験や努力を志望動機に盛り込むことで、志望動機に説得力を持たせることができます。

まとめ

インフラエンジニアは未経験からでも転職可能な職種です。取り扱う機器やソフトウェアが多岐に渡ることを認識しておく必要があります。

転職すると、まずは研修を受けてインフラエンジニアに必要な知識・技術を習得します。そして、インフラエンジニアの仕事を任せられるようになると、クライアント先に常駐して働くことが多いです。

インフラエンジニアとして働くときに、コミュニケーションスキルは必須です。顧客の要求を汲み取るためのやり取りは必ずあります。そして、転職前にIT関係の資格を取得していれば、基本的な知識を習得していることをアピールできます。

未経験からインフラエンジニアに転職したときの年収は、およそ350万円前後です。現在の年収、転職後の年収の伸びなどを総合的に考慮して転職するようにしましょう。

転職活動のときには、インフラエンジニアになりたい理由を明確にしておかなければなりません。身につけた経験、努力していること、転職後にやりたいことを志望動機に組み込み、履歴書や面接でアピールしましょう。

研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。