研究職・開発職への転職を考えるときに、多くの人が転職サイトを活用します。

ただ、転職サイトを活用する人の多くは、転職サイトの活用方法を理解できていないことが多いです。何度も転職する人は少なく、転職サイトの利用回数が少ないからです。

また、転職サイトによってその特徴は異なります。利用するときに転職エージェントごとの特徴を理解しておかなければ、ミスマッチによって失敗する可能性が高くなってしまいます。

そこで、研究職・開発職を目指すときに転職サイトを活用するときの注意点について紹介します。転職サイトを活用するメリットやポイント、おすすめの転職サイトなどについて説明していきます。

転職エージェント(人材紹介会社)の利用はメリットが多い

転職サイトは転職を考えている人の多くが利用します。このとき、なぜ転職サイトを利用して転職をするのでしょうか。それは、転職サイトを利用して転職した方が、利用しないで転職するよりもメリットがあるからです。

具体的なメリットについて順に解説していきます。

登録によって非公開求人を入手できる

転職サイトで検索すると、公開されている求人を閲覧することができます。しかし、公開求人の数は求人全体のごく一部です

大手転職サイトのdodaを運営しているパーソルキャリア株式会社によると、取り扱っている求人のうち、公開求人は10%~20%程度です。つまり、80%~90%は非公開求人ということになります。

公開求人だけでは、あなたが満足できる転職ができる可能性は低いです。転職エージェントを活用して、非公開求人を紹介してもらうことで、出会える求人数は単純に5倍以上になります。

研究職や開発職は多くの専門分野に分かれています。公開求人のなかから、あなたの経験やスキルを活かせる求人を見つけることは大変な作業です。そのため納得できる転職をするためには、少しでも多くの求人をあたる必要があります。

そうしたとき、実際に転職サイトへ登録するのです。

年収などの条件面の交渉を代行してくれる

また、あなたが転職するときの理由は何でしょうか? おそらく人間関係、職場の立地、仕事内容など、何かしらの不満があるからだと思います。

そのなかでも、年収や勤務条件(残業時間など)を含めた条件面の不満による転職は多いです。雇用の条件は、あなたの仕事の満足度に直結します。そのため、転職のときには少しでも条件がよい求人を探すのが基本です。

しかし自力で求人を見つけて転職活動をする場合だと、あなた自身で給料や勤務時間の交渉をする必要があります。そうなると、あまり良い条件を引き出すことはできません。

例えば以下の求人は提示年収が500万~1,400万円となっており、900円の幅があります。

もちろん高年収を勝ち取るためには、それ相応の経験・実力があることが前提です。ただ、十分に経験・実力があったとしても、面接官に「給料はどのくらいが希望ですか?」と質問されて「年収〇万円はほしいです」とはなかなかいえません。多くの場合「お任せします」と返答するか、「現在の給料に少し上乗せしたくらい」と返答するのではないでしょうか。

このような求職者が直接交渉しにくいような内容も、転職エージェントが代行してくれます。私の知り合いが転職エージェントを活用して製薬会社の開発職で転職したときも、年収の交渉はすべて転職エージェントが行ってくれたため、年収が130万円ほど上昇して満足できる条件で転職できたと話してくれました。

転職成功のためには、3社以上の転職エージェントの活用が必須

ただ、転職エージェントを利用するときには、最低でも3社以上の転職エージェントを利用するようにしましょう。一社だけ利用してもいいですが、転職に失敗する確率が高くなります。その理由は、以下の2点が挙げられます。

  • 転職サイトによって取り扱っている求人が異なる
  • 担当者(アドバイザー)とあなたの相性

続いて、これらについて解説します。

・転職サイトによって取り扱う求人が異なる

研究職や開発職への転職を支援してくれる転職サイトは数多くあります。しかし、利用する転職サイトによって出会える求人は変わってきます。転職サイトによって取り扱っている求人が異なっているからです。

求人を募集する企業は、すべての転職サイトで求職者を募集することはありません。そのため1社だけの転職サイトの利用であれば、あなたが出会える求人は転職市場にある求人のごく一部になってしまいます。

そこで複数の転職サイトを利用することで、あなたが出会える求人は何倍にも増えます。多くの求人のなかから希望の転職先を選択した方が、転職に満足できる可能性は高まります。

・コンサルタント(担当者)との相性

エージェントサービスを受けると、あなたにコンサルタント(担当者)がつくことになります。コンサルタントのなかには、経験豊富で優れた人もいます。しかし、まだ経験が浅く、実力不足の人がいるもの事実です。これは、大手の転職エージェントでも同様です。

運悪く実力がないコンサルタントに当たってしまうと、あなたが満足できるような条件で転職するのは難しいです。そのようなリスクを少しでも避けるためには、1社だけの転職サイトを利用するのではなく、複数の転職サイトを利用しなければなりません。

このように、複数の転職エージェントを利用して、最終的にあなたとの相性がよいコンサルタントだけを残すことが転職成功のコツです。

転職サイトの特徴や違いを理解して、有効活用する

なお、どの転職エージェントも内容が同じだと考えてしまいがちですが、実際には転職サイトごとに特徴は異なります。それぞれの特徴を理解して活用することで、転職の失敗を防ぐことができます。

具体的には以下のような点で違いがあります。

  • 求人数の多さ
  • 得意な業界
  • 取り扱っている求人の所在地(全国各地か、関東・関西エリアか、一都三県か)
  • 事前面談の場所(東京だけか、全国各地か)
  • 高年収の求人を多く扱っているか
  • 40代以上の転職にも力を入れているか
  • 女性の転職支援に力を入れているか

これらについて具体的に解説していきます。

大手の転職サイトは求人数が多い

転職サイトによって、取り扱っている求人の数は異なります。多くの求人のなかから選択した方が、転職成功の確率は高まります。転職サイトのなかで、求人数が多いのは以下の転職サイトです。

  • doda
  • マイナビエージェント
  • パソナキャリア

このなかで取り扱っている求人数が最も多いのはdodaであり、約10万件の求人を取り扱っています。マイナビエージェントとパソナキャリアも3万~4万件を超える求人を取り扱っています。これらの転職エージェントを活用すると、より多くの求人から希望の求人を選ぶことができます。

なお、これらの転職エージェントに共通しているのは、運営している会社が「大手の人材サービスを手掛けている会社」であることです。多くの求人から転職先を選択するためには、大手の転職サイトを活用するとよいです。

理系職種に特化した転職支援を行う転職エージェントもある

多くの転職エージェントは、幅広い職種の求人を扱っています。例えば、大手転職サイトのdodaで求人を検索すると、研究職や開発職だけでなく、事務職や営業職の求人も多く見つかります。

また数多くある転職エージェントのなかには、理系の職種に強い転職エージェントがあります。それは以下の転職エージェントです。

  • UZUZ

UZUZは理系職種に特化した転職支援サービスを提供しています。幅広い理系の分野のなかでも、情報・電気電子・機械系の求人を多く保有しています。もちろん、理系であれば他の業界の求人であっても問題ありません。

理系に特化したサービスを提供するために、UZUZには理系出身のキャリアカウンセラーや、理系職種の転職支援を多く経験しているキャリアカウンセラーが多く在籍しています。

そのため理系の研究職や開発職に転職を目指すあなたにとって、理系に特化したサービスを受けることができるUZUZは外すことができない転職エージェントの1つといえます。

求人の所在地の違いを確認する

転職先を探すときに、求人の立地は重要です。都会に住んでいる人はあまり意識をすることはないかもしれませんが、地方での転職を希望する場合は注意する必要があります。なぜなら、大都市の求人と比べると、地方での研究職や開発職の求人数は圧倒的に少ないからです

例えば私が29歳で転職活動をしたときには、地元の岡山県への転職も考えました。有機合成を専門にしていたので、研究職での求人を探していましたが、転職エージェントの担当者には「近くても大阪まで範囲を広げないと求人はない」と言われました。

このとき、ほぼすべての転職サイトが大都市部の求人を取り扱っています。研究開発職の多くは、東京、大阪などの大都市部で働くことになります。大都市での仕事を探している人にとっては求人の立地は大きな問題ではないでしょう。

その一方で、地方での就職を希望する場合には、全国の求人を取り扱っている転職サイトを利用する必要があります。例えば、以下のような転職サイトであれば、全国各地の求人を取り扱っています。

  • doda

また逆に、転職サイトによっては大都市部に限定した求人を扱っているものもあります。

例えば、転職サイトの「マイナビエージェント」は一都三県(東京、神奈川、埼玉、千葉)と関西エリア(大阪、京都、神戸)に限定した求人のみを取り扱っています。ほかにも「UZUZ」は、一都三県、関西、東海に対象地域を限定しています。

このような大都市部に限定しているからこそ構築できる企業とのコネクションにより、ほかの転職サイトでは取り扱っていないような求人に出会える可能性があることが魅力です。

このように、転職サイトが取り扱っている求人の立地を理解した上で転職サイトを活用することが大切です。

キャリアカウンセリング(面談)の場所

転職サイトに登録をして、いきなり求人を紹介されることはありません。求人を紹介する前に、あなたと面談形式または電話でヒアリングを行います。具体的には以下のような内容について確認されます。

  • これまでの職種:研究職、開発職、エンジニア(技術者)、営業職など
  • 専門分野:化学系、バイオ系、基礎研究、商品開発、機械設計など
  • 希望する業界:製薬会社、化学メーカー、化粧品会社、食品メーカー、IT業界など
  • 希望勤務地:都市部、地元など
  • 希望年収

これらの情報をあなたに合った求人を紹介するための判断材料にします。そうしたとき転職サイトのなかでも、全国で面談を行っているのが以下の転職サイトです。

  • doda

面談場所は関東、関西エリアだけでなく、北海道、東北、東海、中国、九州から選択できます。例えば、下の写真は中国地域の面談場所の1つである岡山県のオフィス入口です。

このビルに拠点を構えているdodaのオフィスで面談を行います。岡山駅から徒歩10分以内にあり、立地もよいです。

なお、ほかの転職サイトも面談自体は実施していますが、面談場所が東京だけだったり、遠方の人は電話やメールによるものだったりします。

アドバイザーと直接会って話をした方が、あなたの希望をより正確に伝えることができます。特に、担当者と直接会って転職の相談をしたり、アドバイスを受けたい人は、面談場所の違いを確認するようにしましょう。

ただ、住んでいる場所や勤務時間の関係でどうしても電話しか無理な場合、特に面談場所について気にする必要はありません。

40代以上の研究開発職の転職にも力を入れているか

一般的には40歳を越えると、転職の成功は難しいといわれます。私の知人が35歳で研究職に転職をしようとしたときに、「今の年齢が転職できるギリギリのラインです」と転職エージェントにいわれたそうです。

転職サイトdodaを運営しているパーソルキャリア株式会社が、転職を成功させた人の年齢別の割合を調査した結果を下に示します。転職成功者のうち40歳以上の占める割合は14%と低い数値です。

引用:転職成功者の年齢調査(2018年上半期)を円グラフ化

そのようななか、以下の転職サイトでは40代の転職もサポートしてくれます。

  • パソナキャリア

転職サイトのなかには、40歳以上では登録さえもできないような転職サイトもあります。そのなかでもパソナキャリアは、40代の転職支援も行ってくれる転職エージェントです。

逆に、以下に示す転職サイトは、20代・30代の転職に強みがあります。

  • doda
  • マイナビエージェント

先ほど転職成功者のうち40歳以上の割合は約14%であることを紹介しました。このことは、転職成功者のほとんど(80%以上)が20代・30代であることを表しています。上記の3社であれば、20代・30代の転職を中心に支援しています。

また、以下の転職サイトは、対象者を20代までに限定しています。

  • UZUZ

UZUZは、30歳以上の人は登録できません。UZUZに登録できるのは、18歳~29歳です。なお、UZUZの登録には年齢制限がありますが、29歳以下で理系職種を希望していれば、第二新卒やフリーターでも転職支援をしてくれます。

このように、転職を成功させるためには、あなたの年齢に合った転職サイトを利用する必要があります。

女性の転職支援に特化したサービス

転職サイトは性別の違いで利用できないことはありません。つまり、男性、女性に関わらず、どの転職サイトも利用することができます。

そのようななか、転職サイトによっては女性の転職支援に力を入れているものがあります。

  • パソナキャリア

パソナキャリアでは、「女性活躍推進コンサルティングチーム」を発足しており、女性の活躍支援を充実させています。

男性が転職するときに「育休を取得できるだろうか」と心配する人はほとんどいないと思います。その一方で、女性にとっては「産休がどの程度取得できるか」「育休は取得できるのか」「育休後の復帰はしやすいのか」などの疑問は、必ずあります。

パソナキャリアでは、多くの女性の転職サポートに携わってきた専門のアドバイザーが支援してくれます。このようなサービスは他社にはないので、女性の転職にはパソナキャリアの利用は必須といえるでしょう。

口コミ・評判がよい転職サイトを利用する

転職をしようとしたとき、自ら求人を見つけて会社にエントリーし、条件面の交渉をして、納得できる転職を成功させることは不可能に近いです。

一方で転職サイトを利用すると、これらの作業をすべて転職エージェントだ代行してくれます。つまり、転職のときに転職サイトを利用することはメリットが多いと考えましょう。

ただ前述の通り、転職サイトによってさまざまな特徴があります。それらを理解したうえでどの転職サイトを利用するかを選ぶようにしましょう。

そのなかでも、特に口コミ・評判がよい転職サイトとしては以下の4つがあります。

  • doda
  • UZUZ
  • マイナビエージェント
  • パソナキャリア

これらのなかから3~4社の転職サイトを利用することが、中途採用での転職を成功させるコツになります。それぞれの転職サイトの違いは、以下のようになります。

・doda

転職サイトのなかでも、求人数がトップクラスに多いことが知られている転職サイトがdodaです。取り扱っている求人数は、全国各地の非公開求人を含めて10万件以上です。

そのため、キャリアアップを狙う人や、文系出身で未経験からの転職を考えている人など、幅広い求職者に対して転職支援をしてくれる転職エージェントといえます。

dodaでは、求人を紹介される前にキャリアカウンセリング(面談)を受けることができます。このときの面談場所は関東、関西エリアのような大都市部だけでなく、北海道、東北、東海、中国、九州と、全国各地から選ぶことができます。

全国各地の求人を多く取り扱っており、あらゆるエリアで面談可能なdodaに登録しておけばひとまず間違いはありません。

・UZUZ

UZUZは、理系の職種に特化した転職サービスを提供しています。18歳〜29歳までしか利用できないデメリットはあるものの、理系出身者のキャリアカウンセラーが多く在籍しており、あなたに合ったアドバイスをしてもらえます。

理系の専門職のなかでも、特に情報・電気電子・機械系に強みがあり、もちろん他の理系求人も多く取り扱っています。さらには、理系であれば未経験者であっても求人を紹介してもらえます。

理系の研究職・開発職に転職を考えている人にとって、UZUZは強い味方になってくれる転職エージェントです。

・マイナビエージェント

マイナビエージェントの特徴は、取り扱っているほとんどの求人が20代・30代を対象としていることです。転職成功者の80%以上が20代・30代といわれており、転職希望者のほとんどがマイナビエージェントを利用できると考えてよいでしょう。

マイナビエージェントを利用するときに注意しなければならないのは、取り扱っている企業は一都三県(東京、神奈川、埼玉、千葉)と関西(大阪、京都、神戸)がほとんどであることです。これ以外の地域への転職を考えている人には、マイナビエージェントは適していません。

ただ、研究職・開発職の求人のほとんどは大都市圏に集中しているので、大きな問題になることは少ないでしょう。

・パソナキャリア

パソナキャリアの最大の特徴は、女性に特化した転職サービスを提供していることです。パソナキャリアでは、女性の活躍支援に特化した専門チームである「女性活躍推進コンサルタントチーム」を発足しています。この専門チームでは、多くの女性が転職のときに感じる疑問(産休・育休について)に対して、アドバイザーがサポートしてくれます。

また、パソナキャリアは20代・30代だけでなく、40代の転職も支援してくれます。一般的には40代以上の転職は難しいといわれていますが、パソナキャリアでは、40代の転職もサポートしてくれます。

もちろん、男性でもパソナキャリアは利用できます。「女性であれば育休などの特殊な事情まで考慮してくれる」という意味であり、40代の男性についても当然ながら支援してくれます。


研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。