食品の開発にはさまざまな職種が関わりますが、そのなかの1つに「デザイナー」があります。スーパーなどで陳列されているほとんどの商品はパッケージに入れられており、パッケージを見ただけで商品を購入した経験はあなたもあるのではないでしょうか。

実はパッケージデザインの仕事は、自社ですべての仕事を完結させていることは稀です。求人によっては、ほとんどを外注にしていることもあります。また、デザイン業務だけに専念できる求人ばかりではありません。

このような特徴があるので、パッケージデザインの求人を探すときには、求人の実態や仕事内容を十分に把握して転職活動する必要があります。情報不足のまま転職すると、あなたが思っていた仕事内容と異なることがあり、後悔する可能性が高いです。

ここでは、食品メーカーのパッケージデザインに携わるための転職方法について紹介します。具体的には、パッケージデザイナーの仕事内容、転職で求められる経験やスキル、転職成功のためのポイントについて解説します。

食品メーカーで食品パッケージデザインに携わる

パッケージデザインの仕事は、その商品の特徴をとらえた魅力的なデザインを企画・作成することです。

まずは、パッケージデザイナーを募集している具体的な求人例を1例紹介します。この求人の会社名は非公開ですが、新潟県が拠点の食品メーカーのものです。

デザイナーの仕事は、ほかの職種との共同作業が必須です。単独で仕事をすることはありません。

まずは商品企画の担当者から、新商品のコンセプトを伝えられます。例えば、デザイナーは商品企画の担当者から「今回の商品はこれまでとはターゲット層を変えたい」などの要望を受けます。そしてデザイナーは、コンセプトに合うようなデザインを考えなければなりません。

あなたが消費者として買い物をするときに、商品のパッケージは最初に目に入ります。例えば下のお菓子は、商品の味がイメージしやすいようなデザインになっています。

赤色は辛さを連想させます。また、口の中が燃えるほど辛くなることを連想させるために、炎のイラストが使用されています。仮にこの商品のパッケージが青色や水のイラストが使用されていたとしても、辛さをイメージすることはないでしょう。

また、消費者の目に入るのは商品のデザインだけではありません。下の写真は、キャンペーンなどをするときに用いられる什器(じゅうき)です。什器とは、定番の棚以外に商品を置くための箱です。

什器も消費者に「買ってみよう」と思ってもらうための魅力的なデザインにする必要があります。上で紹介した写真はバレンタインデー用の什器ですが、チョコレート商品をおしゃれに紹介しています。

このように、商品の特徴に合わせた色やイラストを決め、消費者にとって魅力的なデザインを立案することがデザイナーの仕事です。

ほかの職種の仕事と兼任することも稀にある

さきほど紹介した求人は、パッケージデザインの仕事だけが求人票に挙げられていました。このような求人で採用されれば、デザイナーとしての仕事だけに専念することができます。

ところが、求人によってはデザイナーの仕事以外も担当することがあります。実際の求人例を2件紹介します。

まず1例目は、東京都品川区と大阪府大阪市にオフィスを構えるイートアンド株式会社の求人です。イートアンド社は、「大阪王将羽根つき餃子」などで知られる食品メーカーです。

この求人では、商品開発の担当者を募集しています。仕事内容にはパッケージデザイン以外の仕事も多く挙げられています。そして、デザイン業務は開発業務の一部として携わることも謳われています。

続いて2例目は、会社名は非公開ですが、東京都中央区に拠点がある食品メーカーの求人です。この求人では、商品企画・マーケティング職の担当者を募集しています。そして、仕事内容の欄にはパッケージデザインの設計が仕事内容の1つに挙げられています。

これらの求人のように、デザイナーの仕事が求人に挙げられていても、デザイナー以外の業務も担当することがあります。

私の知り合いで、お菓子メーカーの商品開発職で働いている人がいます。その人の主な仕事は、新商品の開発ですが、デザインのコンセプトを考えて、IllustratorやPhotoshopを使用してパッケージデザインを編集することも含まれていると教えてくれました。

以上のことから、デザイナー業務に専念したいのか、商品開発や商品企画の一環としてデザイナー業務に携わりたいのかを整理して、転職活動を行う必要があります。

外部企業にデザインの業務委託し、管理だけを担当することもある

会社によっては、自社でデザインを行わず、外部企業に委託している会社もあります。具体的には、以下のような求人が該当します。

この求人は、東京都港区に本社を置くバイオベンチャー企業である株式会社ユーグレナのものです。この求人の仕事内容の欄には、複数の仕事が挙げられていますが、デザインはデザイン会社に依頼することが記載されています。

実は、外部企業にデザインを委託している食品メーカーは多いです。私の知り合いの会社では、自社内にデザイナーは何人かいるが、パッケージデザインは付き合いが長い外部企業に委託していると教えてくれました。

自社のデザイナーは外部企業に委託するときの素案を考え、外部企業とのやり取りの窓口を担当します。このような会社であれば、デザイン業務より管理業務を主に担当することになります。

パッケージデザイナーの転職で求められる経験・スキル

続いて、食品メーカーのパッケージデザイナーに転職するときにどのような経験やスキルが求められるのかについて紹介します。

PhotoshopやIllustratorの使用経験は必須

パッケージデザインを行うときには、主にPhotoshopとIllustratorを使用します。そのため、これらのソフトウェアの使用経験が必須条件に挙げられていることが多いです。

例えば、冒頭で紹介したパッケージデザイナーを募集している求人では、PhotoshopとIllustratorの使用経験が必須条件の1つとして挙げられています。

Photoshopは画像を編集するソフトウェアで、Illustratorはロゴ、イラスト、ポスターなどを作成するときに使用するツールです。例えば、Photoshopを用いると写真の一部を以下のように編集することができます。

引用:これからはじめるPhotoshopの本 2020年最新版 技術評論社 75ページより

いずれのソフトウェアもパッケージデザインでは必須のツールであり、ほとんどの求人でこれらのソフトウェアの使用経験が必須条件として挙げられています。

そして、外部の印刷会社に依頼するときには、Illustratorのデータで渡します。印刷会社によっては、「Illustratorのバージョン〇〇で入稿して下さい」とバージョンを指定されることもあります。Illustratorはバージョンが異なると、操作方法だけでなく互換性が変わります。

このように、PhotoshopとIllustratorは日常的に使用するソフトウェアであり、パッケージデザイナーの求人では使用経験が求められることが多いです。

色彩学や写真撮影の知識も求められる

パッケージデザインをするときには、消費者が商品を見たときに好印象を与え、購買意欲をそそるようなデザインにしなければなりません。

このときに必要になるのが、色彩学や写真撮影の知識です。闇雲にデザインすればよいわけではありません。

下の求人は、大阪府大阪市に拠点がある大手食品メーカーのものです。この求人もパッケージデザイナーを募集していますが、「応募資格」の欄に色彩学や写真撮影の基礎知識が挙げられています。

さきほどのカラムーチョのパッケージでは、辛さを連想させる赤色をメインにデザインされていました。

また、下に紹介するピザポテトのパッケージには、実際の商品の写真やピザの写真が用いられています。

これらの写真をどのように見せるか、どの角度で写真を撮ることで魅力的に写るのかを考えなければなりません。このように、色彩や写真撮影の知識はパッケージデザインで求められる場面が多いです。

ほかの仕事を兼任する場合は、デザイナーの経験は求められない

前の章では、パッケージデザインに携わるときには、デザイナー業務のみを担当する場合と、ほかの業務も兼任する場合があることを紹介しました。そして、デザイナー業務以外も担当する場合は、必ずしもデザイナーの経験が求められるわけではありません。

前の章で紹介した商品開発と商品企画の求人は、それぞれ以下のようにデザイナーとしての業務経験は求められていません。

これは企業の規模や部署の分け方による影響です。ある程度の規模の企業であれば、部署が細かく分かれており、デザイナーは専門のパッケージデザインだけを担当します。

その一方で、企業の規模が小さかったり、部署が細かく分かれていなかったりすると、デザイナー以外の業務も担当することになります。

食品メーカーの商品開発職で働いている私の知人は、自社のデザイナーとの打ち合わせでコンセプトを共有したり、デザインの素案を提案したりしています。そして、その会社ではデザインの立案はするものの、仕上げの作業は外部企業に委託しています。

私の知人の例では、メインの仕事は商品開発であり、パッケージデザインはサブの位置づけです。また、さきほど紹介した2例の求人も、職種は商品開発と商品企画を募集しています。

このような求人に応募する場合は、デザイナーとしての経験を問われることはありません。求められるのは、募集職種である商品開発や商品企画の経験です。

転職の失敗を防ぐための工夫をしよう

繰り返しになりますが、デザイナーの求人は、デザイナー業に専念できる求人と、商品開発や商品企画の業務の一部として担当する求人に分かれます。

あなたがデザイナーの仕事だけに専念したいのであれば、ほかの業務も兼任するような求人で採用されると、満足はできないでしょう。

そこで、ミスマッチを防ぐためには、採用されたときに担当する仕事内容をしっかりと確認しなければなりません。

求人票に挙げられている内容は、当然確認すると思います。それ以外にも、転職エージェントを通じてより具体的な仕事内容を確認することで、転職の失敗を回避しやすくなります。

また、転職エージェントはあなたが求人に応募できる条件を満たしているかの判断もしてくれます。

例えば、あなたがこれまでにPhotoshopの使用経験があっても、パッケージデザインのために使用した経験がない場合、デザイナーの求人に応募できるか判断が難しいです。

私も過去に転職エージェントを利用したときに、私の経歴で応募可能か転職エージェントを通じて確認したことがあります。

私の場合は研究職の求人に応募しようとして、求人票の文言では条件を満たしていると思いましたが、企業からの回答は「応募の対象ではない」でした。

求職者が企業と直接連絡をとってこれらの内容を確認することは、精神的なハードルが高いです。転職エージェントを有効活用することで、あなたの転職活動を円滑に進めやすくなります。

まとめ

ここでは、食品メーカーのパッケージデザイナーに転職するときの注意点について解説しました。

パッケージデザイナーの求人には、パッケージデザインだけに専念できる求人と、商品開発や商品企画の仕事と兼任する求人があります。また、自社ではデザインの素案だけを考えて、最終的なデザインは外注することも珍しくありません。

転職活動をするときには、あなたがパッケージデザインにどのように携わりたいかを整理して、希望に合う求人を探す必要があります。

パッケージデザイナーに転職するときには、PhotoshopとIllustratorの使用経験は必須です。ほかにも色彩学や写真撮影の知識も求められることがあるので、これらの知識があれば大いにアピールできます。

転職の失敗を防ぐためには、採用された後にどのようにパッケージデザインに関わることになるのかを転職エージェントを通じて事前に確認するとよいです。そうすることで、転職失敗のリスクを大幅に下げることができます。

研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。