これからシステムエンジニアに転職を考えているあなたは、「資格なしでも転職できるだろうか」「先に資格を取った方が有利に転職できるのではないか」と悩んでいると思います。

資格はあなたの知識・技術を客観的に証明してくれます。資格があれば、資格がないよりも有利に転職できるのは間違いありません。

しかし最初に結論を言うと、資格取得を目指すよりも転職活動を始める方が、優先順位が高いです。そして、資格なしでもシステムエンジニアへの転職はできます。

ここでは、「資格なしでも転職活動を優先すべき理由」「実際の求人票に挙げられている応募条件」についてくわしく解説します。

資格取得よりも転職活動を優先すべき理由

システムエンジニアに転職しようとしたときに、資格取得を優先させてはいけません。

では、なぜ資格取得よりも転職活動を優先する必要があるのでしょうか。その理由を3つ紹介します。

システムエンジニアとして働くために資格は必要ない

システムエンジニアが取得を目指す資格はいろいろあります。特に、システムエンジニアとして働き始めて経験が浅いうちに取得することが多い資格は、以下の3つです。

  • ITパスポート試験
  • 基本情報技術者試験
  • 応用情報技術者試験

あなたが取得すべきか悩んでいる資格も、この3つのどれかだと思います。いずれの資格も、受験のためにシステムエンジニアとして働いた経験は必要なく、独学で勉強して取得することが可能です。

言い換えれば、これらの資格はシステムエンジニアとして働くために必須の資格ではありません。資格がなくても、システムエンジニアとして働くことはできます。

転職後に会社の補助を受けて資格を取得した方がお得

資格なしでシステムエンジニアに転職できますが、転職を成功させた後には資格取得を促される可能性があります。実際に、システムエンジニアとして働いている人の多くは、さきほど紹介した資格を取得しています。

転職前に資格を取得する場合と、転職後に資格を取得する場合の大きな違いは、資格取得に必要な費用を会社が負担してくれるか否かです。

システムエンジニアに転職する前に資格取得を目指す場合は、勉強のためのテキスト代、受験費用、試験会場までの交通費などはすべて自己負担です。

一方で、システムエンジニアに転職してから資格取得を目指す場合は、多くの企業でこれらの費用のすべてまたは一部を会社が負担してくれます。

例えば、下に紹介する株式会社アンサーの求人では、書籍購入費が補助されたり、資格取得のための支援制度が整備されたりしていることが記載されています。

アンサー社は、東京都千代田区にオフィスを構える企業で、システム開発事業以外にも教育事業、受託開発サービス事業を展開しています。

また、多くの企業で、資格を取得したら一時金が支給されます。さきほど紹介したアンサー社の求人では、基本情報技術者試験を取得すると2万円が支給されることが記載されています。ほかにも、システムエンジニアが取得を目指す多くの資格を取得したときの一時金について紹介されています。

基本情報技術者試験は、システムエンジニアが最初に取得を目指すことが多い資格です。

このような一時金は、転職前に取得してももらうことができません。システムエンジニアとして働き始めてから資格を取得することで手にすることができます。

私の友人で、電機メーカーでシステムエンジニアとして働いている人がいます。彼は新卒で入社した後に、基本情報技術者試験を取得しています。

そして、彼に資格を取得した理由を訊くと、「ぶっちゃけ、一時金がもらえるから。会社から取得を促されたわけでもないし、仕事に役立つから取得したわけではない」と答えていました。彼の場合は、基本情報技術者試験を取得して1万円を会社からもらっています。

一時金をもらうことで、少しでも年収アップにつながります。金銭的にも資格取得は転職後に目指した方が、メリットが大きいです。

資格取得には時間がかかり、転職は早い者勝ち

資格取得を決意しても、最終的に資格が取得できるまでには時間がかかります。最初はテキストを購入して勉強しなければなりません。

そして、試験はいつでも開催されているわけではありません。

例えば、冒頭で紹介した資格のうち、応用情報技術者試験は、下の図のように年2回しか試験が実施されていません。

一方で、転職は新卒の就職活動と違って早い者勝ちです。企業が希望する人材を確保できたら、ほかの求職者は応募できなくなります。

また、求人に応募できる期間には限りがあります。さきほどから紹介しているアンサー社の求人は、掲載予定期間が約2カ月です。

ちなみに、掲載期間が短い求人では、2週間程度に設定されているものもあります。そして、この期間を越えると、求人を閲覧することも応募することもできなくなります。

このように、転職を成功させた後に資格取得を目指すべきです。

資格が応募条件に挙げられることはほとんどない

最後に、実際にシステムエンジニアを募集している求人票の応募条件を確認してみましょう。ここでは、システムエンジニア未経験者が応募できる求人を2例紹介します。

1件目の求人は、東京都渋谷区にオフィスを構える株式会社Gizumoから出されている求人です。この求人では、webサイトやアプリ、ゲームの開発を担当する人材を募集しています。

Gizumo社は、web制作やシステムの受託開発を主な事業としているIT企業です。

Gizumo社の求人の応募条件は、以下の通りです。未経験でも応募でき、応募条件に資格は挙げられていません。

2件目の求人は、株式会社エージェント・スミスから出されているものです。この求人では、インフラやアプリ開発を担当する人材を募集しています。

エージェント・スミス社の求人の応募条件は、以下の通りです。ITパスポート試験と基本情報技術者試験が挙げられていますが、いずれも必須の条件ではなく歓迎条件です。資格があれば、有利に転職できますが、なくても全く問題ありません。

このように、未経験者がシステムエンジニアに転職するときには、実際の求人票でも資格が求められることがないと考えてください。

前の章で述べたように、あなたが今から資格の取得を目指すのは、メリットよりもデメリットの方が大きいです。

そして、将来的には資格取得を目指すことになる可能性が高いです。私の友人でシステムエンジニアとして働いている人は、全員働き始めてから基本情報技術者試験を取得しています。

会社によっては、働き始めて1年以内に基本情報技術者試験の取得を求められることもあります。

これからシステムエンジニアに転職しようとするあなたは、まずは転職活動を優先させて、転職を成功させてから資格取得を目指しましょう。

まとめ

ここでは、未経験から資格なしでシステムエンジニアに転職するときのポイントを解説しました。

システムエンジニアに転職するときには、資格取得よりも転職成功を始めることをおすすめします。資格がなくてもシステムエンジニアに転職することはできます。

転職後に会社の制度を活用することで、資格取得に必要な費用を会社に負担してもらうことができます。また、多くの企業で、資格を取得すると一時金が支給されます。

転職前は、これらの制度を利用することができません。転職後に資格取得を目指した方が金銭的なメリットが大きいです。

また、資格取得には時間がかかります。資格取得を目指している間に、あなたに合った魅力的な求人を逃してしまう可能性もあります。まずは転職を成功させて、システムエンジニアとして働き始めてから資格取得を目指しましょう。


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