あなたは「今の年齢で転職できるだろうか」と不安に感じていると思います。「若い方が転職成功させやすい」という話を訊いたり、周囲から「若いときに転職した方がいい」とアドバイスされたりしたことがあるのではないでしょうか。

では、システムエンジニアに転職をするときは、年齢は関係あるのでしょうか。実は求人によっては、若手よりもベテランの方が採用されやすい求人もあります。

システムエンジニアに転職をするときには、求人ごとに「どの年齢層をターゲットにしているか」を見極めて応募しなければ、採用を勝ち取ることは難しいです。

ここでは、システムエンジニアの転職と年齢の関係についてくわしく解説します。

システムエンジニア求人の年齢事情

まずは、システムエンジニアに転職を成功させている人の年齢構成を確認してみましょう。大手転職サイトのdodaに職種ごとの年齢構成が紹介されています。その結果が下の図です。オレンジ色で囲んだ部分が、システムエンジニアが含まれる職種です。

転職成功者の約半分は20代です。そして、年齢が上がるにつれて、転職成功者の数は減ります。

この結果から、若い方が転職を成功させやすいのは間違いありません。同じくらいのスキルの人材が2人いれば、若い人材の方が採用される可能性が高いです。

その一方で、全体の20%弱は40代以上です。つまり、40代以上のベテランでもシステムエンジニアに転職を成功させることはできます。

年齢が高くなると、転職成功者数は減るので、年齢に応じた戦略が大切になります。

何歳でもシステムエンジニアの転職は実現できる

ここからは、実際の求人票も確認しながら、システムエンジニアを募集している求人と年齢の関係を解説します。

大前提として覚えておく必要があるのは、求人を出すときに年齢制限を設けることは雇用対策法で禁止されています。具体的には、以下のように定められています。

事業主は労働者の募集及び採用について、年齢に関わりなく均等な機会を与えなければならない

つまり、20代であっても、50代であっても平等に採用されるチャンスがあるということです。転職に年齢の限界はありません。

例えば、下に紹介するガナシス株式会社の求人には、「年齢不問」であることが記載されています。ガナシス社は、東京都中野区にオフィスがあるIT企業です。特にJava言語を用いたソフトウェア開発に強みがあります。

システムエンジニアの求人は、転職市場に多くあります。しかし、この求人のように年齢について記載されている求人は少ないです。

年齢不問と記載されていなくても、年齢制限は法律で禁止されているので、基本的には年齢不問と考えてよいです。

例外的に年齢制限を設けている求人もある

では、どの求人も何歳でも応募できるかというと、そうではありません。実は、一部例外的に年齢制限を設けることが認められています。具体的には、以下の場合です。

長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を機関の定めない労働契約の対象として募集・採用する場合

要するに、「若手を採用して長く会社で働いてもらいたい」と考えている場合は、年齢制限を設けてもよいです。

実際に、年齢制限が設けられている求人例を紹介します。次に示すソプラ株式会社の求人では、38歳未満が応募条件に挙げられています。

ソプラ社は、大阪府に本社がある老舗SIerです。webシステム開発やクラウドサービス開発に強みがあり、この求人ではweb・業務系のシステム開発を担当する人材を募集しています。

ソプラ社の求人は、システムエンジニアの業務経験者を募集しています。未経験者は応募できません。

あなたが採用する立場になったときに、以下の3人が同時に応募してきた場合、どの人材を採用しますか? 会社や部署の将来を考えると、可能であれば20代の人材を採用して、長く働いてもらいたいと考えるのではないでしょうか。

このように、会社が、若い人材に入社してもらって、長く活躍してもらいたいと考えている場合には、例外的に年齢制限が設けられることがあります。

マネジメントを担当する人材募集の求人は年齢制限がほとんどない

さきほど紹介した求人のように、システムエンジニアの経験者を募集している求人でも、会社としては若い人材を採用したいと考えます。

では、システム開発のマネジメントを担当する人材を募集している求人はどうでしょうか。実際の求人を確認すると、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーを募集している求人は、年齢制限を設けている求人はほとんどありません。

例えば、次に紹介する株式会社ステップの求人では、年齢制限に関する記載はありません。つまり、実質「年齢不問」と考えてよいです。

そして、ステップ社の求人では、5名以上の部下のマネジメント経験が必須条件に挙げられています。プロジェクトリーダーや、プロジェクトの規模によってはプロジェクトマネージャーの経験が求められています。

この求人で採用されたときに担当する仕事内容は、以下の通りです。管理職としてマネジメント主体の業務を任されます。

このような仕事は、20代のシステムエンジニアが経験することは珍しいです。ほとんどの場合、30代以上の経験者が担うポジションです。

転職サイトでシステムエンジニアの管理職を募集している求人は、比較的簡単に見つけることができます。それらの求人のほとんどは、同じようにマネジメントの経験が求められ、年齢制限を設けていることはありません。

しかし、マネジメントを担当する求人でも、企業としては「採用したら少しでも長く活躍してもらいたい」と考えます。そのため、少しでも若い方が採用されやすいです。

珍しいケースですが、PLやPMの募集でも年齢制限を設けている求人もあります。次に紹介する株式会社オプティマの求人では、PMの候補者を募集していますが、40歳未満の年齢制限が設けられています。

マネジメントの担当者を募集している求人であれば、40代以降の求職者でも採用される可能性が高いです。しかしそれでも、企業としては少しでも若い人材を採用したがっていることを理解しておきましょう。

未経験からでもシステムエンジニアに転職できるが、より若い方が転職しやすい

ここまで紹介したのは、システムエンジニアの経験者が転職する場合の事例です。続いて、未経験からシステムエンジニアに転職しようとしたときに、年齢がどのように影響するかを解説します。

未経験者がシステムエンジニアに転職する場合は、経験者に比べてより若い人材を採用したがります。これも、採用する企業の立場になって考えるとわかりやすいです。

以下の2人が同時に応募してきた場合、あなたが採用する立場であればどちらの人材を採用しますか? 間違いなく20代を採用すると思います。

もちろん、雇用対策法で年齢制限を設けることは基本的には禁止されています。そのため、未経験者でも応募できるほとんどの求人は何歳でも応募できます。

しかし、一部のシステムエンジニアを募集している求人には、経験者の求人と同様に年齢制限が設けられていることがあります。その傾向は、未経験者募集の方が顕著です。

例えば、次に紹介するウェブ・プロ株式会社の求人では、経験者は年齢不問ですが、未経験者は25歳以下でなければ応募できません。

未経験からシステムエンジニアに転職する場合は、経験者よりもより若い人材が求められていることを理解しましょう。本気でシステムエンジニアへの転職を目指すのであれば、少しでも早く転職活動を始めなければなりません。

企業が求めている人物像にマッチする求人に応募する

企業が求人を出すときには、どのような人材がほしいかをイメージしています。例えば、以下のような内容です。

  • 20代でこれからシステムエンジニアになりたい人
  • 30代で業務経験が10年程度あって、後輩システムエンジニアの指導経験がある人
  • 40歳前後でプロジェクトをマネジメントした経験がある人

これらのイメージが求人票に直接記載されていることはほとんどありません。

そして、転職ではあなたが企業を選ぶだけではありません。当たり前ですが、企業もあなたを選びます。

年齢制限を設けることは基本的には禁止されているので、あなたは年齢を気にせずに求人に応募はできます。しかし、企業のイメージと合致しなければ、採用されることはありません。特に年齢がネックの場合は、「厳正なる選考の結果、ご希望に添いかねる結果となりました」とやんわりと断られるだけです。

転職活動では、応募までに多くの準備が必要です。不採用になると、それまでの準備が水の泡になります。私も転職活動で何度も不採用通知を受け取りましたが、「せっかく準備したのに」と思い、精神的にしんどかったことを覚えています。

そのような想いを少しでも減らすためには、まずはしっかりと求人票を読み込みましょう。闇雲に応募するのではなく、企業が欲している人物像をイメージしてから応募するようにしましょう。

転職エージェントを介して企業の本音を知る

企業がどのくらいの年齢層の人材を求めているかが事前にわかれば、あなたが採用される可能性が高い求人にピンポイントで応募できます。

求人票に年齢制限が記載されていれば、企業がどのくらいの年齢の人材を求めているかがわかりやすいです。しかし、年齢制限が記載されている求人は多くありません。

そこで、企業の本音を知る1つの方法は、「転職エージェントを介して求人の詳細を確認すること」です。

私も転職を経験し、そのときには転職エージェントのサービスを受けました。企業と私の間に転職エージェントの担当者が入ってくれて、必要書類の提出や面接の調整をしてくれました。

転職エージェントは、企業の採用担当者と情報交換をしています。つまり、求人を出す企業がどのような人物を採用したがっているかを熟知しています。

つまり、転職エージェントはあなたが採用される可能性の高い求人だけを紹介してくれます。転職エージェントが紹介してくれる求人は、年齢がネックで不採用になる可能性は極めて低いと言えます。

あなた自身が求人票を読み込むだけでなく、第三者の力も借りて、採用を勝ち取れる可能性を高めるようにしましょう。

まとめ

ここでは、システムエンジニアに転職をするときの年齢がどのように影響するかについてくわしく解説しました。

求人を出すときに年齢制限を設けることは法律で禁止されています。しかし、その法律には例外が認められています。

ほとんどの企業の本音は、少しでも若い人材を採用したいと考えています。

システムエンジニアの転職は、20代が最も成功させやすいです。一方で、プロジェクト全体やチームのマネジメントを担当する人材を募集している求人には、30代や40代以上のマネジメントを経験している人材の方が採用される可能性が高いです。

未経験からシステムエンジニアへ転職する場合は、経験者が転職する場合よりも若い人材の方が求められる傾向が強いです。

転職成功の可能性を高めるためには、企業が求めている人物像を求人票から読み解かなければなりません。企業の採用担当者とつながりがある転職エージェントから採用側の本音を聞き出すことも有効な手段です。


研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。