化学系のポスドクとして研究活動をしているあなたは、現在の研究分野を活かすことができる仕事が見つかればベストです。しかし、現実はなかなかうまくいかないことも多いです。

化学系の研究を行っていると、無意識のうちに身についている知識、技術もあり、それらを活かすことで転職がうまくいくこともあります。

ここでは、化学系のポスドクが企業に就職活動をするときの求人の探し方、転職するためのポイントについて解説します。

専門分野での採用は難しい

企業への就職を考えるとき、ほとんどの人が現在携わっている研究テーマに関係がある仕事ができる企業へ就職したいと考えます。

化学系の分野での仕事を見つけることができれば一番いいですが、必ず見つかるとは限りません。あなたも、「ポスドクでの就活は大変」と考えているのではないでしょうか。

専門知識を活かせる求人で転職する

転職をするとき、多くの人は転職サイトを利用します。そして、ポスドクのあなたが転職サイトを使用して、あなたの専門分野に合った求人を探すことは可能です

ポスドクで研究活動をしている分野の知識、経験を活かして企業に就職することができれば、それに勝るものはありません。

下に、ポスドクを対象とした化学系の求人例を示します。この求人は福島県いわき市にある、希少金属のリサイクルを行なっている会社のものです。

この求人は、以下のようにポスドクも対象としています。

そして、この会社では金属のリサイクルを中心に事業を展開しています。

金属触媒に関する研究や、金属を用いた素材の開発研究を行なっていれば、その知識や経験を活かすことができるでしょう。

なお、この求人は転職サイトのdodaで見つけたものです。dodaでは、「ポスドク」で検索すると30件の求人がヒットしました。その中で、仕事内容が化学に関連するものはこの求人だけでした(派遣会社の求人は除く)。

このように求人数は少ないですが、あなたの研究内容と直結するような求人を見つけることはできます。

大学院卒以上の求人も対象になる

先ほど示したように、ポスドクを対象とした求人は決して多くありません。そこで、求人を探すときは大学院卒以上の求人も選択肢に入れましょう

具体的な求人例を下に示します。この会社は、大阪府吹田市にあるマイクロ波を利用した製品を研究開発、製造、販売している会社です。

ポスドクのあなたは、博士課程を修了しており、研究室の先輩としてリーダーシップを発揮しているはずです。

そして、求人情報には、下のように研究開発の中心人物としての活躍を期待していることが記されています。

ポスドクは、自分の研究は自分で押し進めることが求められます。また、自分のことだけでなく、学生への指導やアドバイスも求められると思います。

以上のことから、このような求人も現在のあなたに当てはまるでしょう。

派遣会社への就職も選択肢になる

あなたの研究内容とマッチする求人をピンポイントで見つけることができればいいですが、実際はなかなか厳しいです。

そこで、あなたの研究内容に合った求人を探すだけでなく、派遣会社の求人を探す方法もあります。

ちなみに私は学生時代、研究職として派遣会社に就職できることを知りませんでした。

私は学生時代、薬学系研究科で有機合成を専門にしていました。そのため、就職活動のときは、製薬会社や化学メーカーに応募しました。

同じように、私の周りには派遣会社に就職した友人はいませんでした。あなたも、派遣会社への就職は馴染みがないのではないでしょうか。

そこで、まずは派遣会社に就職して、研究を行う場合の雇用形態について説明します。

派遣会社に就職すると、あなたは派遣会社の職員になります。そして、派遣会社の職員として企業や研究機関に派遣されることになります。

このときの派遣先は、あなたがこれまで行ってきた研究分野や、今後あなたが行いたい研究内容によって決まります。

また派遣会社にも研究所を持っている会社もあり、企業や研究機関からの受託研究を行うこともあります。

これらを図でまとめたものが、下の図になります。

このように、派遣会社に就職することで、あなたの専門分野での研究を継続することが可能です

実際の求人例を紹介します。下の求人は、医薬品臨床開発分野や研究開発分野に注力している株式会社テクノプロのものです。

多くの研究分野に携わることができるのが、わかると思います。もちろんこの中に、化学系の仕事もあります。

注意しなければならないのは、職場が全国各地にあることです。下に、この会社に入社したときの勤務地について記載されている箇所を載せています。

あなたの希望する勤務地に希望する研究分野があるかは、求人情報だけではわかりません。

もちろん、面接のときに希望勤務地や研究分野についてのヒアリングはあります。希望に沿った研究案件があれば、派遣会社も就職先の選択肢になるでしょう。

転職サイトや転職エージェントは複数利用するのが基本

まず、ポスドクから就職活動をしようとしているあなたは、様々な方法で求人を探していると思います。

求人を探す方法はいろいろありますが、複数の媒体を利用することが大切です。その理由は、複数の媒体を利用することで、少しでも多くの求人を見つけることができるからです。

実際に転職サイトで、「ポスドク」で検索した結果を示します。doda、マイナビ転職、リクナビNEXTの3社で検索したところ、ヒットしたのは以下のように「30件」「4件」「5件」でした。

このように、求人情報に「ポスドク」と載っている求人は少ないです。そして、転職サイトによって扱っている求人は異なります。

また、転職サイトだけでなく、転職エージェントも積極的に利用した方がよいです。

転職エージェントを利用すると、あなたの希望に合った求人を担当者が紹介してくれます。そして、自分で転職サイトをチェックしただけでは見つけることができないような求人(非公開求人)や、公開求人のより詳細な情報についても教えてくれます。

ところで、研究職として働いているあなたは、日々の仕事の内容が多いのではないでしょうか。

私の周りのポスドクでも、毎日定時に仕事を終えて帰宅している人は一人もいません。皆遅くまで実験をしています。

そのような生活を送りながら、自分の希望に沿った求人を自分で探し、応募し、面接の日程を調整するのは大変です。転職エージェントを利用すれば、これらを全て代行で行ってくれます。

このように、転職サイトや転職エージェントを複数利用することで、多くの求人に触れることができ、転職活動を円滑に進めることができます。

化学の知識を活かして、ほかの分野へ転職する

あなたの希望に沿った求人を見つけることは難しいことを第1章で説明しました。そこで、これまでの経験を活かして、ほかの分野に転職をする方法を紹介します。

有機化学の知識、経験を活かして分析分野に転職する

まず一例目は、有機化学の知識を活かして、分析に関わる仕事に転職する方法です。

下の求人は、茨城県日立市の日立/JXTGグループの分析分野での求人例です。まず応募資格を紹介します。

有機化学を専攻していることが必須条件に謳われています。また、ポスドク歓迎と記されており、あなたも十分応募資格があります。

続いて、実際に行う予定の仕事内容について説明します。この求人に記されている、仕事内容の項目が下の内容です。

有機化学を専攻していると、化合物を合成します。これは生理活性物質の探索でも、反応触媒開発でも共通です。

そして、化合物を作った後は、目的化合物ができているかを確認するために様々な分析を行う必要があります。

分析の結果を解析するときは、芳香環の電子密度、官能基の違いによる脂溶性への影響などを意識する必要があります。

私も大学の研究室で有機合成をしているときは、化合物ができると必ずNMRとMSを測定して、化合物ができているかを確認していました。

また、化学メーカーに就職してからは、反応の進行具合を確認するためにHPLCやIRを使用したり、化合物の純度測定のためにGCを使用したりしました。

有機化学を専攻していると、このような分析の知識が身についています。そして、有機化学の知識があれば、分析結果を解析するときや、分析条件を検討するときに深く考察することができます。

このように、有機化学の知識を活かして分析分野に転職することができます。

化学系の知識を活かしてプランナーやライターに転職する

化学系の研究を行っていると、最新の研究に触れたり、化学系の雑誌を読んだりする機会が多いと思います。

実は、それらによって得た情報を発信する仕事があります。

下の求人は、東京に本社がある株式会社ヌーベルプラスのものです。

この会社では医療関係の資材を作成したり、専門誌の記事広告を企画したりします。

例えば、医学系や薬学系で研究をしているのであれば、これらの研究分野の最新情報に触れる機会が多いのではないでしょうか。

そして、論文を読んだり、学会に参加したりして、様々な情報を収集し、それらをまとめる経験は豊富なはずです。このように、研究活動をするときに自然と行っていることを活かすことができます

この求人でも、以下のようにポスドクも募集対象に含まれています。

以上のように、これまでの経験を活かして資材を作成したり、広告を作ったりする仕事に従事することができます。

まとめ

ここでは、化学系のポスドクが企業に就職活動をするときの求人の探し方、転職するためのポイントについて解説しました。

転職サイトを利用することで、あなたの希望に沿った求人を見つけることは可能です。しかし、ポスドクを対象とした求人自体が少ないことは覚えておきましょう。

そこで、大学院卒以上を対象とした求人や、派遣会社も選択肢に入れることで、転職しやすくなります。

また、転職サイトを利用するだけでなく、転職エージェントを活用することで、あなたの負担を大幅に軽減することができます。

そして、これらを利用するときは、より多くの求人に触れるためにも複数の転職サイトや転職エージェントを利用するようにしましょう。

これまで身につけた知識を活かして他分野での転職をすることも可能です。あなたの専門と、今後やりたいこと、求人情報などを冷静に見比べて、転職活動を行うようにしましょう。

研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。