化粧品会社の研究職は幅広く、多くの仕事があります。そのなかでも分析の仕事は新製品につながる基礎研究だけでなく、ライバル会社の製品を分析することもあり、その仕事内容は多岐に渡ります。

また、会社によって仕事内容は大きく異なります。研究職以外の仕事も兼任することもあり、どのような仕事に携わるのかを事前に確認していなければ、不幸な転職になってしまいます。

ここでは、化粧品メーカーの分析を担当する研究職の求人について解説します。具体的には、仕事の特徴、転職の際に求められたり、あると有利になる経験・スキルなどについて紹介します。

化粧品会社の分析技術の仕事を理解する

分析の研究職では、化粧品の効果や刺激性などの評価方法を開発したり、化粧品に添加されている成分を分析することが主な仕事です。

下に示す求人は、神奈川県横浜市にある大手化粧品会社のものです。仕事内容の欄には、細胞を用いた実験や組織科学の実験が挙げられています。

化粧品の研究開発では、基本的にはマウスなどの実験動物を使用することができません。そこで候補化合物や試作品の効果を判定するためには、適切なモデルの構築が必須です。

近年モデルとして開発されているのは、3D皮膚モデルです。ターゲットとする病態を再現できる細胞モデルを構築することは、分析の研究職の仕事です。

また評価系を利用して、候補化合物や試作品がどのような効果や有害事象を示すかを評価することも大切な仕事です。ときには、すでに市販されている商品で皮膚トラブルなどのクレームがあった場合に、原因を解明することも担当します。

また、自社の製品の分析だけでなく、他社の製品の成分分析も仕事内容に含まれます。下に示す求人は、会社名は非公開ですが、勤務地が大阪府の企業の求人です。仕事内容の1つに成分分析が挙げられています。

具体的には、ライバル会社が新製品を発売したときに、どこに改良を加えたのかについて成分分析を行って解析します。このとき、以下のような公開特許も参考にして、どの成分が添加されているかを分析します。

これらの仕事は分析と聞いたときにイメージしやすい仕事内容だと思います。そして、ほかにも分析の研究職には多くの仕事があります。

実は、会社によっては分析以外の仕事も兼任することは珍しくありません。続いて、具体的にどのような仕事に携わることになるのかについて紹介します。

成分分析以外に薬理や商品開発などを兼任することもある

実際に求人票を検索してみると、複数の仕事内容が挙げられている求人ばかりです。単一の仕事だけが挙げられている求人はほとんどありません。実際の求人例を下に2例示します。

まず1例目は、さきほど紹介した大阪府の企業の求人です。仕事内容として成分分析や有効性評価が挙げられており、分析の研究職の仕事に携わることになりますが、化粧品の処方設計も含まれています。

処方設計では、より商品の肌触りをよくしたり、安定性を改善したりする目的で、化粧品素材の配合比を検討します。処方設計の仕事も分類は研究職です。

ただし、処方設計の仕事は基礎研究ではなく、商品化に向けた試作品を作成することから、やや開発職よりの仕事といえます。

また、この求人では化粧品素材の研究から商品化までを任されることが謳われています。したがって、このような求人では分析の基礎研究以外の業務にも携わる可能性が高いです。

続いて2例目の求人も会社名は非公開ですが、化粧品以外にも医薬品や医薬部外品の開発、製造を行っている企業のものです。この求人の仕事内容の欄にも、分析・評価法の開発以外にも、商品開発や薬事などの申請・登録業務にも携わることが挙げられています。

新商品の開発は商品開発部が行うことが多いです。そして、化粧品会社の研究所の仕事は、商品開発部から開発依頼があったコンセプトの新商品の開発に向けた基礎研究を行うことです。

このように、商品開発や薬事申請の仕事は研究職とは明確に担当が分かれる仕事ですが、会社によっては研究職が兼任することもあります。

会社によって仕事内容は大きく異なる

分析の担当者は、さまざまな業務を担当することを説明しました。そして、担当する仕事内容は、会社によって大きく異なります。もちろん会社によっては、分析技術の研究だけを担当する会社もあります。

したがって、転職で失敗しないためには、求人票に挙げられている仕事内容をしっかりと確認する必要があります。

あなたが転職サイトのエージェントサービスを利用していれば、担当者を介して企業に具体的な仕事内容を確認することが最も確実な方法です。転職が不幸な結果にならないためにも、携わる仕事内容の確認を怠らないようにしましょう。

転職に必要な経験・スキル

では、化粧品メーカーの研究職の分析担当者として転職するためには、どのような経験やスキルが必要なのでしょうか。

分析の実務経験は必須だが、化粧品メーカーの経験はなくてもよい

分析の研究職に転職しようと考えたときに、最もよいのは化粧品メーカーで分析の研究職として働いた経験があることです。

下に示す求人は、会社名は非公開で医薬品メーカーとして知られており、化粧品事業にも進出している企業のものです。職場は埼玉県さいたま市で、化粧品メーカーなどで皮膚科学や生理領域の研究を積んだ人材を求めています。

この求人では化粧品メーカーでの業務経験があれば、自信をもってエントリーできるでしょう。しかし、求人によっては化粧品業界で研究活動を行っていた経験がなくても転職できるものもあります。

次に示す求人は、神奈川県にある日系大手化粧品メーカーの求人です。応募資格には細胞や皮膚の研究実績は挙げられていますが、化粧品業界の経験については謳われていません。

例えば、医薬品の基礎研究においても細胞を用いて薬効を評価することはあります。また、食品業界でも化合物が人体に与える影響を細胞レベルで観察します。

つまり、分析業務に携わると、業界が異なっても、取り扱う機器や実験対象物は類似していることが多いです。そのため、他業界での経験を活かして化粧品業界の分析研究者として転職することは可能です。

薬理評価系に関する知識があると有利

化粧品は作用が緩和であり、人の身体を清潔にしたり、美化したりするものであることが薬事法で定められています。つまり、化粧品は医薬品のように病気を治すためのものではく、あくまで嗜好品です。

ただ、ヨーロッパ、アメリカを中心に化粧品はただ美しくしたり清潔を保ったりするためのものではなくなってきています。この流れは日本にも影響を及ぼすようになっており、ユーザーが化粧品に求める効果も医薬品に近いレベルになっています。

そのため、分析の研究者にも薬理試験ができる知識・スキルも求められるようになってきています。さきほど紹介した求人の応募資格の欄には、薬効薬理の研究経験が必須条件に挙げられています。

薬理評価とは、具体的にはin vitroでの評価であり、酵素阻害活性評価や遺伝子解析の技術です。冒頭でも紹介したように、化粧品の研究では基本的に実験動物は使用できません。

より効果がある製品を開発するために、どの酵素を阻害するのがよいのか、敏感肌の人はどのタンパク質の発現が亢進しているかなどを分析します。

分析の研究職は、これらの研究結果を出すことで、新製品の開発に貢献するようになります。

会社によっては高い英語力が求められる

化粧品の販売先は日本国内だけではありません。アメリカやヨーロッパ市場に加えて、中国や東南アジアの市場も開拓が盛んに行われています。

そして、研究職として働く場合も日本国内だけでなく、海外のグループ会社と共同研究を行うこともあります。そのため、電話会議やメールのやり取りが必要になることもあります。

下の求人は神奈川県横浜市にある大手化粧品会社の求人です。この求人の応募資格の欄には、日常会話レベルのスピーキング、リスニング、リーディングができることが必須条件に挙げられています。

大手化粧品会社で研究職として働く私の知り合いは、部署内で2年に1人くらいの頻度で海外駐在を任されると話していました。

ただし、すべての化粧品会社で仕事のときに英語が必要になるわけではありません。会社の規模によっては海外の企業とのやり取りがほぼないこともあり、転職のときにも英語力が求められないこともあります。

下に示す求人では、「英語力不問」と記載されています。この求人票のどこにも「海外出張がある」や「英語を使用する頻度が多い」などの記載はありませんでした。

もちろん、英語ができて困ることはありません。入社したときは英語が必要なくても、事業の展開次第では海外出張が発生したり、海外の関連企業とメールでやりとりする場面ができたりする可能性は十分考えられます。

英語を使うことに抵抗がなければ、どのような求人でも自信をもってエントリーできるでしょう。一方で、英語に自信がなかったとしても、すべての会社で英語が必要なわけではないので、悲観することなく転職活動を行うようにしましょう。

学会発表経験があれば転職に有利になる

基礎研究に携わっていると、研究成果を報告書としてまとめるだけでなく、業績を関連学会で発表することもあります。学会に参加することで、他社の動向を調査し、自社製品の研究開発の参考にすることも大切な仕事です。

下の求人は、この章の冒頭で紹介した医薬品メーカーのものです。この求人では、海外学会で口頭発表経験があれば有利になります。

学会発表をするためには、研究を推し進める実力だけでなく、結果をまとめて考察する力も求められます。そのため、学会発表の経験があれば、研究職の転職ではアピールポイントになります。

なお、この求人で挙げられているように海外での学会発表経験があれば、英語力も示すことができます。特に口頭発表は、ある程度英語力に自信がないとできません。

まとめ

ここでは化粧品メーカーの分析技術の研究職求人に転職する方法について紹介しました。

分析担当者の仕事は、細胞を用いた基礎研究、評価系モデルの構築、他社製品の成分分析などがあります。そして、会社によって仕事内容は大きく異なっており、商品開発や薬事申請なども兼任することもあります。事前に仕事内容をしっかり確認するようにしましょう。

転職するためには分析の実務経験が必須です。ただし、化粧品業界での経験がなくても、他業界で分析の研究職としての経験があればエントリーできる求人もあります。

化粧品の性能向上に伴い、薬理評価の経験や知識が求められる求人もあります。そして、会社の規模によっては高い英語力が必須条件として挙げられることもあります。また、学会発表経験があれば研究の実力をアピールすることができます。

研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。