システムエンジニアは転職する人が多い職種です。なかには、システムエンジニアからほかの職種に転職を考える人もいます。

せっかくこれまでシステムエンジニアとして働いてきたので、身に着けた知識や技術を活かせる職種に転職した方が、少しでもストレスなく働き始めることができます。その方が転職成功の確率も高いです。

ここでは、システムエンジニアが他職種に転職するときに、どのような求人が選択肢になるかについてくわしく解説します。

SEを辞めたくなる理由

システムエンジニアを辞めたい理由は、人それぞれ異なります。

残業が多い

最初に紹介する理由は、残業時間の多さです。

システムエンジニアが働く企業は、かつてブラック企業が多かったです。法整備が進み、毎月100時間以上の残業をするようなことは、ほとんどなくなりました。

しかし会社によっては、いまだに夜遅くまで残業をさせられることがあるのも事実です。

私の友人のなかにも、連日夜遅くまで残業をさせられていたシステムエンジニアがいました。彼は体力的にも精神的にもしんどい想いをして、最終的にはシステムエンジニア自体の仕事も嫌になってしまいました。

その結果、システムエンジニアとしてほかの会社に転職するのではなく、ほかの職種に転職していました。「あの仕事は合わなかった。もう嫌だ」と話していました。

私の友人のように「システムエンジニアとしてほかの会社に転職しても、また同じような想いをするのではないか」と感じる人は、ほかの職種に転職することも選択肢の1つです。

給料が少ない

2つ目の理由は、給料の少なさです。

システムエンジニアの給料は、厚生労働省が毎年調査・報告している賃金構造基本統計調査で知ることができます。

システムエンジニアが含まれるソフトウェア開発者とその他の情報処理・通信技術者の年代別平均年収をグラフ化したものが、下の図です。

引用:賃金構造基本統計調査より

このグラフは、あなたが将来もらうことができる年収の平均値を表しています。

現在あなたがもらっている年収や、そのまま働き続けて得られる年収が、システムエンジニアの年収よりも大幅に低いのであれば、年収面でモチベーションを維持し続けるのは難しいです。

また、そもそもグラフで示した平均年収にも満足できないようであれば、より高い給料がもらえる職種に転職することを考えなければなりません。

スキルが追い付かない

新卒で入社したばかりのときは、即戦力として活躍することはできません。これは、未経験の文系出身者であっても、大学でシステム開発の基礎を学んでいる人であっても同じです。

しかし、入社後の成長スピードは、人によって全然違います。なかなか成長できずにつらい想いをする人もいます。

私の友人の会社には、文系出身者で採用された人がいました。その人について、友人が以下の話をしてくれました。

パソコンをほとんど触ったことがない人だった。なので、研修中はキーボードを指1本で打っていた。研修が終わって部署に配属されてからは、1つクリックをすると、「次は何をしたらいいですか」という雰囲気でずっと指示を待っていた。

結局その人は、配属されて3か月くらいでシステムエンジニア以外の職種に転職した。

このように、スキルが追い付かずにつらい想いをして、システムエンジニア以外の職種に転職をする人もいます。

SEから他職種に転職するときの候補となる職種

続いて、システムエンジニアで培った経験・知識を活かせる職種を、具体的な求人例を示しながら解説していきます。

IT講師

最初に紹介するのは、IT講師です。

下に示す株式会社テクノコアの求人は、法人向けのIT講師として働く人材を募集しています。テクノコア社は、東京都中央区にオフィスがある企業です。教育事業部で現役のエンジニアや就職希望のエンジニアに対する技術教育を行っています。

この求人の応募条件は、以下の通りです。システムエンジニアとして開発経験が3年以上あり、教育に対して熱意があれば条件を満たします。

IT講師は、新人のエンジニアや、さらに技術力のアップを狙うエンジニアに対して教育を行います。そのため、システムエンジニアとして培った知識・技術だけでなく、教育に対する興味や熱意も転職では求められます。

ITコンサルタント

2例目は、ITコンサルタントです。ITコンサルタントは、企業の情報システムに関する相談を受け、課題を解決する職種です。

次に紹介する株式会社ファクトセンスでは、大手企業から中小企業まで幅広くコンサルタントしています。

そして、この求人の応募条件は、以下の通りです。

ITコンサルタントは、顧客企業の情報システムに関する課題を解決することが任務です。

これまでエンジニアとして、自社内や顧客の課題解決に寄与した経験があれば、その経験やスキルをアピールできます。

そして、ITコンサルタントの特徴の1つは、システムエンジニアと比べて年収が高いことです。

下に、ITコンサルタント(システムコンサルタント)とシステムエンジニアの平均年収を比較したグラフを示します。

引用:賃金構造基本統計調査より

ちなみに、ここで紹介したファクトセンス社の求人では、以下のように650万円~800万円が提示されていました。この金額は、ITコンサルタントとしては平均的、システムエンジニアの平均年収と比べると高い水準です。

システムエンジニアとして働いていて年収に不満がある人は、ITコンサルタント(システムコンサルタント)に転職することで、年収面の不満を解消できます。

総務

続いて紹介するのは、総務の求人です。

下に示す株式会社NTTデータMSEの求人では、SEからのキャリアチェンジを歓迎しています。仕事内容は、施設・インフラ管理を含む総務全般です。

システムエンジニアとしての経験を活かせるのは、施設・インフラ管理です。

私の会社では、パソコンの設定や、サーバーの管理を総務部の人が担当しています。ほかにも、計画停電やエレベーターの点検があるときには、社内に通知したり、どの機器を非常電源に切り替えて運転を継続しなければならないかなどをチェックしています。

総務で働く場合は、システムエンジニアの経験を活かせる仕事以外にも、会社の事業運営にかかわるあらゆる仕事を任せられます。

私の会社では、求人に関連する業務も総務が行っています。ハローワークに赴いて求人を出す手続きを行ったり、ホームページに求人を掲載したりする業務を担当しています。

このように総務で働くと、会社の事業運営にかかわる幅広い業務を担当することになります。

営業

最後に紹介するのは、営業職の求人です。

下に紹介するJBCC株式会社の求人では、顧客のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を実現するITサービスを提案することが仕事内容に挙げられています。

JBCC社は、東京都大田区にオフィスを構えるITサービス企業です。求人票にも挙げられているデジタル・トランスフォーメーションの実現に力を入れています。

そして、JBCC社の求人の応募条件は、以下の通りです。何かしらの要件定義、システム設計・構築の経験があれば応募条件を満たし、SEから営業へのキャリアチェンジを歓迎することが明記されています。

営業職は、自社の技術・製品を顧客に提案し、契約・納品までこぎつけることです。システム設計や開発は、システムエンジニアが担当します。

営業職に求められるのは、顧客や見込み客のニーズを的確に把握し、会社が抱える課題を解決できる製品や技術を提案できるスキルです。

そのためには、製品や技術に関する知識だけでなく、コミュニケーションスキルが強く求められます。

まとめ

ここでは、システムエンジニアを辞めて、他職種に転職するときの方法について解説しました。

システムエンジニアを辞めたいと考える理由は、人それぞれ異なります。残業時間、年収の低さ、スキルの足りなさなどです。

そして転職では、不満が解消できる職種を探しましょう。具体的には、IT講師、ITコンサルタント、総務、営業職などが転職先の選択肢になります。

あなたが感じている不満を解消できるか、あなたが望む働き方ができるかを基準に、どの職種が合っているかを考えてみてください。


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