システム開発とは無縁の文系出身者でも、システムエンジニアに転職することができます。転職市場には、文系出身者が応募できるシステムエンジニアの求人は一定数あります。
ただし、闇雲に転職をしても、転職後に後悔する可能性が高いです。システムエンジニアの仕事内容をしっかり把握するだけでなく、転職活動も戦略的に行わなければ、満足できる転職は実現できません。
ここでは、文系出身者がシステムエンジニアに転職するときの実情や、システムエンジニアに求められるスキル、転職活動の方法についてくわしく解説します。
もくじ
多くの文系出身者がシステムエンジニアとして活躍している
あなたは、「システムエンジニアは理系出身者が多く、文系出身者の転職は難しいのではないだろうか」と感じているのではないでしょうか。実は、システムエンジニアとして活躍している人のなかには、多くの文系出身者がいます。
独立行政法人 情報処理推進機構(日本のIT国家戦略を技術面・人材面から支えるために設立された法人)の調査によると、システムエンジニアの約30%は文系出身者です。調査結果を下の図で示しています。
引用:独立行政法人 情報処理推進機構 IT人材白書より
理系出身者に比べると、文系出身者のシステムエンジニアは少ないです。しかし、ある程度の割合で文系SEが活躍していることが分かります。
求人票によっては、会社内の文系出身者の割合が記載されているものもあります。
下に示す株式会社ホープスの求人には、60%以上が文系出身者であることが紹介されています。この求人は、文系・理系問わず応募することができます。
ホープス社は、東京都中央区に本社がある企業です。東京都のほかに、北海道、大阪府、福岡県にも支店・営業所があります。
私には、高校・大学と文系で、最初は営業職として働いていましたが、現在はシステムエンジニアとして働いている友人がいます。彼は、現在管理職の立場になっています。
彼は仕事中に文系出身であることでデメリットがあるかについて、以下の話をしてくれました。
理系出身者は、数字に強い。なので、データ解析をするときには、理系出身者に比べると時間がかかることはある。
しかし、困ることがあるかと聞かれると、特にない。問題なく仕事はできているし、周囲についていけないこともない。
仕事は楽しい。システムエンジニアになって本当に良かったと思う。
このように、文系出身者であっても、システムエンジニアに転職し、活躍し続けることができます。
文系出身者がシステムエンジニアに転職するときに必要なスキル・求められる姿勢
文系からシステムエンジニアに転職するときは、システム開発の経験や知識がないのは全く問題ありません。
では、文系出身者がシステムエンジニアに転職するときに求められるものは何でしょうか。
最低限のパソコンスキルがないときつい
システム開発や運用に必要な知識は、転職後に学んで習得すれば問題ないです。
システムエンジニアの仕事は、パソコン作業の占める割合が多いです。そのため、最低限のパソコンのスキルをもっていないと転職してから苦労する可能性があります。
例えば、Word、Excel、PowerPointなどのオフィスソフトは、日常的に使用します。実際にシステムエンジニアとして働いている友人何人かに話を訊くと、そのなかでもExcelの使用頻度が最も高いと教えてくれました。システムを設計するとき、データを整理するとき、書類を作成するときなど、さまざまな場面でExcelを使用しています。
パソコンスキルがあれば、転職後に十分活かすことができます。
論理的思考は必須の考え方
システムエンジニアの仕事は、常にうまく進むわけではありません。設計したシステムが思った通りの動きをしてくれなくて、修正を繰り返すこともあります。
例えば、不具合が生じたときに、「よくわからないけど動きません」という曖昧な説明では上司は納得してくれません。
最初に結論を言って、不具合が具体的にどのような現象で、なぜ不具合が起きているのか、どの部分が影響して不具合が生じている可能性が高いのかを順序だてて説明しなければなりません。
このような論理的思考は、システムエンジニアとして働くときには必須の考え方です。
コミュニケーションスキルはシステムエンジニアに転職しても活かすことができる
システム開発は、1人のシステムエンジニアだけで行うわけではありません。何人かの開発メンバーで分担して行います。
そして、システムエンジニアとして働くときには、コミュニケーションスキルは必ず求められます。
求人によっては、コミュニケーションスキルについて触れられているものもあります。下に紹介する株式会社コスメディアの求人には、コミュニケーション力に自信がある人は活躍できることが挙げられています。
さきほど紹介した文系出身でシステムエンジニアとして働いている友人は、コミュニケーションスキルについて以下の話をしてくれました。
私の場合は、システムの設計や開発に関する相談を他部署とすることが多い。そのときには、システムで実現しようとしていることを端的に説明しなければならない。
相談する相手がシステムのことを分かっていない人なので、一定のコミュニケーションスキルは必要だと感じている。
このように、コミュニケーションスキルは、システムエンジニアとして働くときに必要なスキルの1つです。
システムエンジニアになりたい姿勢に説得力をもたせる
文系出身で、これまでシステムエンジニアとして働いた経験がなくても、システムエンジニアに転職することはできます。
では、未経験者が応募できる求人に応募すれば必ず採用されるでしょうか。
私は過去に転職フェアに参加して、IT企業の人事担当者と話をしたことがあります。その人は以下のような話をしていました。
未経験者の採用もしているが、気持ちが中途半端な人が多い。「システムエンジニアになるために何か勉強したり調べたりしていますか?」と質問しても「いや~何もしていません」という人がほとんど。
過去に「AIをやりたいです」という人がいた。その人に「AIでどういうことができますか? AIはどういう場面で使われますか?」と質問したら、返答に困っていた。
興味があれば、普通は少しでも勉強をする。そういう人を採用したい。
文系出身者がシステムエンジニアに転職するときには、システム開発や運用の具体的な手技や専門知識が求められるわけではありません。転職する前にこれらを学ぶ必要はありません。必要なのは、「これからシステムエンジニアに転職して活躍したい」という想いです。
中途半端な気持ちで採用試験に臨むと、書類選考や面接の過程であなたの熱意は人事担当者に見抜かれます。「なんとなく」などの中途半端な気持ちでは、システムエンジニアへの転職は目指すべきではありません。
あなたには、システムエンジニアを目指すきっかけがあったと思います。これから転職活動を本格的に進めるにあたり、システムエンジニアになったらどのような仕事をしたいのかを具体的に説明できる準備をするとよいです。そうすることで、あなたのシステムエンジニアへの想いに説得力を持たせることができ、採用担当者に好印象を与えることができます。
文系出身・未経験者がSEになるには、早く転職活動を始めるべき
システムエンジニアへの転職を考えているのであれば、少しでも早く転職活動を始める必要があります。それは、求人によっては「年齢制限」を設けていることがあるからです。
実際に年齢制限を設けている求人を2件紹介します。
1例目は、トーテックアメニティ株式会社から出されている求人です。この求人では、文系出身の方も大歓迎と記載されていますが、25歳以下の条件も挙げられています。
トーテックアメニティ社は、東京都新宿区にオフィスを構える企業です。システムエンジニアを含むIT業界で活躍する技術者が多く在籍しています。
2例目は、株式会社夢テクノロジーから出されている求人です。この求人も文系歓迎と謳われていますが、35歳以下の条件付きです。
夢テクノロジー社もトーテックアメニティ社と同様に、多くの技術者が在籍しており、全国の企業に人材を派遣している企業です。
求人を出すときに年齢制限を設けることは、雇用対策法で禁止されています。しかし、この法律では一部の例外が認められています。その例外の1つに、「若手を採用して長期的にキャリア形成を図る目的で求人を出す場合」があります。
実際に、ここで紹介した2つの求人にも、同様の理由が記載されていました。
少し極端な例ですが、以下の2人が同時に応募してきたときに、あなたが採用担当者ならどちらの応募者を採用しますか? 間違いなく20代の人材を採用すると思います。
文系出身・未経験のあなたは、入社後にゼロから教育を受けて、一人前のシステムエンジニアに成長していかなければなりません。採用する企業も、早く一人前になってもらって、少しでも長く会社で活躍してもらいたいと考えています。
このような理由から、未経験者が応募できる求人には年齢制限が設けられていることがあります。応募できる求人の選択肢を広げるためにも、少しでも早く転職活動を始めることが大切です。
まとめ
ここでは文系出身者がシステムエンジニアに転職するときのポイントや考え方を解説しました。
システムエンジニアの約30%は文系出身者です。そのため、文系出身者のあなたもシステムエンジニアに転職して活躍することは十分可能です。
システムエンジニアの仕事は、パソコン作業が中心です。最低限のパソコンスキルがないと、転職後に苦労する可能性が高いです。
論理的思考やコミュニケーションスキルは、システムエンジニアとして働くときに強く求められます。
あなたがなぜシステムエンジニアに転職したいのか、転職してどのような仕事をやってみたいのかを少しでも具体的に説明できる準備をしましょう。そうすることで、転職活動で好印象を与えることができます。
文系出身・未経験が応募できる求人には、年齢制限が設けられていることがあります。そのため、少しでも早く転職活動を始めた方が、転職成功の可能性は高くなります。
研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。
一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。
これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。