システムエンジニアとして働き始めて2年・3年が経過すると、徐々に仕事に慣れてきます。責任ある仕事を任されることも増えてきていると思います。
それと同時に、しんどさを感じたり、理不尽な思いをしたりすることも増えてきているかもしれません。
実は、2年目、3年目のシステムエンジニアは、転職しやすいです。転職市場にはあなたが応募できる求人が多くあります。
しかし、応募できる求人が多いので、手あたり次第応募しても、転職後の働き方に満足できない可能性があります。あなたの悩みを解決してくれる企業や働き方を戦略的に探さなければなりません。
ここでは、入社2年目、3年目のシステムエンジニアが転職するときの戦略について解説します。
もくじ
2年目・3年目のシステムエンジニアが転職を考える理由
システムエンジニアは、そもそも転職が多い職種です。あなたの会社にも、転職組の人がいるのではないでしょうか。
しかし、それぞれのシステムエンジニアが転職を考える理由は異なります。転職理由によって転職で探すべき企業も変わります。
まずは、あなたが転職したい理由を明確にしましょう。
求められるレベルについていけない
入社して1年目は、先輩社員がマンツーマンで指導してくれることが多いです。そのため、任される仕事の負荷もそこまで大きくなく、比較的簡単にこなせるレベルであることがほとんどです。
しかし、入社2年目以降になると、少しずつ仕事の負荷も大きくなっていきます。
私の大学時代の後輩に、電機メーカーでシステムエンジニアとして働いている人がいます。彼はチームのリーダーとして4人のメンバーをまとめているそうで、以下の話をしてくれました。
1年目と2年目以降では、求めるレベルが変わる。実際に2年目以降の人には上のレベルを要求している。仕事の目標を設定するときも、難易度を上げるようにしている。
例えば、「ここの分野の作業はとりあえず一人でしばらくお願い」という形で仕事を依頼することがある。もちろん、トラブルが起きたときや行き詰ったときには相談に乗るようにしている。
働き始めて2年、3年経つと、ほかの部署の人が話す内容も少しずつ理解できるようになる。前年入社してきた新卒2年目の人には、そろそろほかの部署とのやり取りもさせたいと思っている。今はメールやチャットで私が対応している内容を、案件によっては2年目の人にも任せたい。
このように、上司の立場の人も、入社2年目、3年目の人材をどのように育てていくかを考えながら仕事を任せています。
しかし、与えられるミッションの内容によっては、あなたの知識・スキルでは対応困難なものもあります。
例えば、顧客とのやり取りは、2年目や3年目のシステムエンジニアが担当することはほとんどありません。ほとんどの場合はプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーなどの管理職がメインで行います。
このような仕事を入社2年目や3年目で任されると、メンタルへのストレスも大きく、「会社を辞めたい」と感じることもあると思います。
一般的な2年目・3年目のシステムエンジニアに求められるレベルを大きく上回る仕事を任されているのであれば、あなたに合ったレベルの仕事を担当できる会社への転職を考えましょう。
会社の将来が不安
入社直後は、会社の経営状態を気にすることはほとんどないと思います。すべての仕事が初めてで、与えられた仕事を一生懸命こなすだけで毎日が終わっていると思います。
しかし、2年目・3年目となると、少しずつ余裕も出てきます。自分の仕事だけでなく、先輩やほかの部署の仕事や、会社全体の状況もわかるようになってきます。
そうすると、「このままこの会社にいて大丈夫だろうか」と不安になることもあります。
私には大学を卒業してシステムエンジニアとして働き始めた友人が何人かいますが、そのなかの1人は入社して3年で転職していました。
彼は、とある電機メーカーに新卒で入社しました。しかし、社会人2年目に会社の経営が急激に悪化し、最終的に彼の会社は海外の企業に買収されていました。
私の友人は入社3年目に転職を決意しましたが、転職理由は「赤字企業に嫌気が差したから」と言っていました。
そして、経営難が明るみになった直後に、退職者が増えたと言っていました。彼の周囲には組み込み系のエンジニアが多かったこともあり、車業界に転職した人が多かったと教えてくれました。
私も職種は違いますが、新卒で就職した会社を3年目で辞めました。転職理由はいろいろありましたが、そのなかの1つに「会社の将来への不安」もありました。
入社した直後のオリエンテーションで事業の説明を受けたときには、「どの事業も売り上げが出てるんだなあ」と感じました。
しかし、実際に現場で働くようになって、さまざまな部署の人と話をしていくうちに、会社の実情が見えるようになってきました。
将来的に大きな利益になりそうなプロジェクトは、私が見る限りはありませんでした。ほかの部署の人と話していても、「この製品は作っても全然利益にならない」「この製品は売り上げがどんどん下がっている。コストダウンをするように事業部から言われているが、これ以上は難しい」と愚痴を聞くことが多かったです。
2年目・3年目になると、このように会社の将来に不安を感じて、転職を考える人もいます。
残業や休日出勤が多く、サービス残業もある
「システムエンジニアは残業が多い」「IT業界はブラック企業が多い」と聞いたこともある人もいると思います。
働き方改革や法の整備が進み、システムエンジニアの就労環境は昔と比べると明らかに改善されています。
私の大学時代の同級生も「入社した頃は、終電まで残業することもあり、残業時間が月に100時間を超えることもあった。でも今は、多くても40時間弱」と話してくれました。
新人のときは、仕事の負荷も軽いので、遅くまで残業をすることはほとんどありません。
しかし、仕事に慣れてくると、少しずつ負荷のかかる仕事を任されるようになります。それに伴って、残業時間が多くなり、場合によっては休日出勤をせざるを得ないような状況になることもあります。
また、友人は「残業代が支給されない会社もある」とも教えてくれました。
求人票によっては、残業時間の目安や残業代について記載されているものもあります。
例えば、下に紹介する株式会社アクセスネットの求人票には、月の残業時間が15時間程度であることが記載されています。
残業代が支給されないのは、明らかに違法です。そのような企業で働いているのであれば、真っ当な企業に転職を考えた方がよいです。
また、2年目、3年目になっても残業時間が変わらないこともあります。チームリーダーとして働いている友人に話を訊くと、チーム運営について以下の話をしてくれました。
2年目、3年目になると、任せる仕事の難易度を少しずつ上げるようにしている。難易度が上がっても残業時間が増えないように、業務量を調節するようにしている。
私の会社では、残業時間は月に10時間以下が普通。定時で退社できることが多い。
このように、2年目、3年目になっても残業時間が増えないようにマネジメントできている企業もあります。
人間関係がしんどい
多くの場合、働き始めて最初のころは、先輩社員がOJTで指導を実施します。そして、半年~1年が経つと、一人で仕事を任される場面も増えてきます。
しかし、当然のように経験がほとんどないので、先輩社員や上司に相談しながら仕事を進めなければなりません。ここで、人間関係が問題になることがあります。
相談をしたときに「そのくらい自分で考えてやって」「そんなこともできないの?」「この前も同じこと聞いてきたよね」などと言われ、つらい想いをした経験があるかもしれません。
私も入社1年目の後半から1人で仕事を任される機会が増えました。しかし、最初は直属の上司に相談しながら仕事を進めましたが、その上司は私よりも年齢が10上でした。しかも、寡黙で不愛想な人だったので、「厳しい人」と思ってしまい、正直相談しにくいと感じていました。
近い年齢の人が同じ部署にいなかったので、気軽に相談できる人がおらず、心細い想いをしたのを覚えています。
会社によっては、年齢構成が求人票に記載されているものもあります。例えば、下に紹介する株式会社サンシーアの求人には、それぞれの年代の構成割合が紹介されています。
また、2年目、3年目になると、自分のチームだけでなく、ほかのチームやほかの部署の担当者と関わる機会も増えます。そうなると、話しにくい人や、接しにくい人とも一緒に仕事をしなければならない状況になります。
そのような人と今後も一緒に仕事をしていく自信が持てない場合は、思い切って転職して、新たな環境に身を置くのも選択肢の1つです。
2年目・3年目の第二新卒システムエンジニアが応募できる求人は多い
冒頭でも触れましたが、2年目、3年目の第二新卒に分類されるシステムエンジニアは、転職を成功させやすいです。なぜなら、第二新卒のシステムエンジニアを募集している求人は、転職市場に多いからです。
実際に転職サイトで求人を検索した結果を紹介します。転職サイトは、10万件を超える求人を取り扱っている大手転職サイトのdodaを用いました。
dodaで「システムエンジニア」のキーワードで求人を検索すると、以下のように約4,000件の求人がヒットします。
この約4,000件の求人のなかには、未経験者が応募できるものや、プロジェクトマネージャークラスを募集しているものもすべて含まれます。
そして、「第二新卒歓迎」を条件に加えて求人を検索した結果が、下の図です。
「システムエンジニア」をキーワードに検索してヒットした求人の半数弱が、第二新卒を歓迎しています。つまり、働き始めて2年、3年しか経っていないあなたでも、応募して採用される可能性は十分あると言えます。
しかし、どの企業でもあなたの不満を解消してくれるわけではありません。求人票を読み込んで、あなたの転職理由を解決してくれる企業を探しましょう。
異職種への転職もできる
実は、あなたがこれまで働いて身につけたスキルを活かして異職種に転職することができます。ここでは営業職に転職する事例を紹介します。
下に紹介する東京メディコムホールディング株式会社は、病院や町の診療所で利用する電子カルテシステムなどを販売している企業です。この求人では、医療システムの提案を行う営業担当者を募集しています。
病院を受診したときに、下の写真のように医師や看護師がパソコンに向かって作業をしている場面を見たことがあると思います。このときに利用しているのが電子カルテです。
東京メディコムホールディング社の求人の応募条件は、以下の通りです。必須なのは普通運転免許だけで、営業経験がない人も歓迎されることが記載されています。
規模が大きい病院であれば、病院内にシステム課があり、システム運用の担当者がいます。しかし、規模の小さい病院や町の診療所には、システムにくわしい人がいないことも普通です。
このような病院や診療所で医療システムにくわしくない医師や看護師に対して、医療システムを提案するのが仕事になります。
営業職なので、システム開発を担当するわけではありません。営業職には、システムの内容をわかりやすく説明・提案できるスキルが求められます。
システムエンジニアとして働き続けることに、限界を感じている人もいるかもしれません。そのような人は、システムエンジニア以外の職種も含めて求人を探すとよいです。
システムエンジニアの年収相場を理解する
転職を考えているあなたは、今の年収に満足していますか?
私の知り合いで、SIer企業のシステムエンジニアで働いている人は「うちの会社は給料が安いから、どんどん人が辞めていっている」とぼやいていました。
年収に不満があって転職するとしても、システムエンジニアの年収相場を把握しておかなければなりません。そもそも、入社して2年目、3年目の給料は、初任給とほとんど変わりません。
システムエンジニアの年収相場は、厚生労働省が毎年調査している賃金構造基本統計調査を確認することでわかります。
経験年数が1~4年のシステムエンジニアの平均年収が、下のグラフです。
新卒で働き始めた直後は、どの企業で働いても年収の違いは少ないです。しかし、長く働くにつれて年収の差が大きくなります。
続いて紹介するのは、システムエンジニアの年代別の平均年収です。
先輩社員や上司と話していて、今の会社で働き続けた場合の将来の年収がある程度予想できている人もいると思います。
求人によっては、将来の年収の目安が紹介されているものもあります。例えば、前に紹介したアクセスネット社の求人では、中途入社の33歳と45歳の年収が記載されています。
ちなみに、ここで提示されている年収は、さきほど示した年代別の平均年収と比較すると、いずれもやや低い水準です。
このように、年収にこだわって転職を考える場合は、求人票に記載されている年収と年収相場を比較しながら求人を選ぶようにしましょう。
まとめ
ここでは、働き始めて2年目・3年目のシステムエンジニアが転職するときのポイントを解説しました。
システムエンジニアが転職を考える理由は、それぞれ異なります。あなたが今の企業や部署に感じている不満や、将来に対して望むものを明確にしましょう。
2年目・3年目は、いわゆる第二新卒に分類されます。第二新卒のシステムエンジニアが応募できる求人は、転職市場に多いです。
システムエンジニアとして働き続ける自信が持てない場合は、ほかの職種に転職することも含めて考えるとよいです。
将来の年収が不安になって転職を考える場合は、まずシステムエンジニアの年収相場を確認しましょう。
これらのポイントを押さえて転職活動をすることで、納得できる転職を実現することができます。
研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。
一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。
これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。