ITインフラに関わる仕事は、上流工程から下流工程まであります。その中でも、「構築」工程は、上流工程に位置付けられており、下流工程と比べて求められる技術レベルが上がります。

インフラエンジニアとして働いていると、より高い技術レベルが求められる仕事を任されるようになりたいと考えることは自然です。

実は、求人票に「ITインフラの構築」が仕事内容として挙げられている求人は、かなり多いです。しかし、求人によっては、ほとんど構築業務には関われないこともあります。

そのため、あなたの希望を叶えるためには、求人の特徴を十分に確認しておく必要があります。

ここでは、インフラエンジニアがITインフラの構築工程に携わるために、事前に押さえておくべきポイントについて解説します。具体的には、「構築工程を任される求人例」「構築工程に必要なスキル」「求人の詳細を確認する方法」について順に説明します。

構築を担当するインフラエンジニア求人は多い

構築工程を担当する人材を募集している求人は、転職市場にどのくらいあるのでしょうか。

6万件を超える求人を取り扱っている、大手転職サイトのdodaで「インフラエンジニア 構築」で検索したところ、以下のように1,000件以上の求人がヒットしました。

これらの求人票に挙げられている仕事内容を確認すると、ほとんどの求人で「ITインフラの構築」が挙げられていました。

実際の求人を1例紹介します。下に紹介するのは、東京都港区にオフィスがあるNECフィールディングシステムテクノロジー株式会社の求人です。

この求人では、ITインフラの運用・保守・設計・構築業務を担当する人材を募集しています。具体的な業務内容も示されており、その中に「インフラの構築」も含まれています。

ここで注意しなければならないのは、ほとんどの求人で「構築工程以外の業務」も担当することです。NECフィールディングシステムテクノロジー社の求人でも、構築業務以外に、運用・保守の工程にも携わることが記載されています。

私の知り合いの会社では、5名のインフラエンジニアが企業の全事業部のITインフラ環境の企画から運用・保守までの工程を担当しています。プロジェクトマネージャー以外の4名は、全員が上流工程も下流工程も担当しています。

知り合いの会社では、構築工程だけを担当するインフラエンジニアはいません。構築以外の運用・保守などの下流工程も一般職のエンジニアが担当します。

ITインフラの構築を担当できる求人は多いです。しかし、構築以外の工程も任されることが多いことを認識しておく必要があります。

構築を含む上流工程だけを担当する求人もある

あなたが運用・保守などの下流工程ではなく、上流工程だけに携わりたいのであれば、対象になる求人は大きく減ります。しかし、求人票を確認していくと、構築業務を中心に任される求人も見つかります。

例えば、次に示すフルウィル株式会社の求人は、仕事内容に「要件定義・設計構築を中心にお任せします」と記載されています。

フルウィル社は、東京都品川区に本社がある、システムエンジニアリングサービス(SES)を提供している企業です。

求人票に挙げられている仕事内容も、設計・構築業務ばかりです。フルウィル社の求人は、あなたの希望を叶えることができる求人の1つと言えます。

また、下流工程を他社に委託している企業を中心に探すことで、構築工程を中心に携わることができやすくなります。

具体的には、下に示す株式会社ファミリーネット・ジャパンの求人が該当します。ファミリーネット・ジャパン社の求人には、監視運用はMSPやNOCに外注することが記載されています。

MSPは、・・・。NOCは、・・・。

ファミリーネット・ジャパン社の求人では、設計構築業務に携わることが明記されています。つまり、設計・構築の上流工程を自社が担当し、下流工程はMSPやNOCに依頼します。

図(工程ごとに関わる会社が異なる)

下流工程を外注している企業に転職することで、確実に構築工程に携わることができるようになります。

構築未経験者は運用・保守からステップアップする

未経験からインフラエンジニアとして働き始めた直後は、構築工程を任されることはありません。

まずは、運用・保守などの下流工程を担当し、ITインフラの知識・技術力を身につけてから構築工程に挑戦することができるようになります。

次に紹介する株式会社ウィズテクノの求人では、仕事内容の欄に上流工程へのステップアップについて以下のように記載されています。

構築を含む上流工程は、下流工程とは異なるスキルが求められます。

運用・保守は、あらかじめ手順書が作成されていることが多いです。そのため、経験が浅いエンジニアでも、手順書に従って作業をすることで、仕事を進めることはできます。

一方で上流工程では、自社内の他部署または客先企業が求める要件を正確に汲み取らなければなりません。企業によって、ITインフラに関する項目の優先順位は異なります。

実際に2つの会社を例に考えてみます。

A社は、性能は低くてもよいが、コストをできるだけ安くしたいと考えるかもしれません。また、B社は多少コストがかかっても、高性能なITインフラ基盤を構築したいと考えるかもしれません。

図(企業によって優先順位は異なる)

プロジェクトごとに顧客の満足度の高いITインフラを提案・構築しなければなりません。このような仕事に携わるようになるので、幅広い経験・知識だけでなく、顧客とのコミュニケーションスキルも必要です。

そして、ウィズテクノ社の求人で示されているように、いきなり上流工程をメインで任されるわけではありません。先輩社員のアシスタントから始めて、徐々に仕事を任されるようになります。

社内SEは構築をベンダー企業に委託する

ITインフラの構築が仕事内容に挙げられている求人はたくさんあります。

冒頭で紹介した1,000件を超える求人を確認していくと、社内SEを募集している求人も見つかります。

そのうちの1つが、下に紹介する株式会社北電子ホールディングスの求人です。北電子ホールディングス社は、パチンコ台、印刷関連製品などを開発・販売している電子機械メーカーです。

北電子ホールディングス社の求人には、社内情報システム全体の管理・運用が仕事内容として記載されています。そのなかに、システムの新規構築が挙げられています。

ところが、この求人にはインフラの構築工程は、外部ベンダーに対応を依頼していることが記載されています。つまり、社内SEがメインで構築の実務を行うことはなく、ベンダー企業の作業進捗を管理することが主な仕事になります。

このように、社内SEは自社内のITインフラの構築を担当することは少ないです。そのため、構築を担当したくて社内SEに転職しても、目的を達成できない可能性が高いです。

構築工程担当者に転職するために必要なスキル

これまで構築工程に携わった経験があれば、その経験をアピールして転職することができます。

例えば、下に示す富士通エフサス・カスタマサービス株式会社の求人では、ITインフラの設計・構築の経験が必須条件として挙げられています。

あなたがこれまで上流工程を担当していれば、このような求人に応募できます。

実は、これまで下流工程の運用・保守の経験しかなくても、構築工程の担当者を募集している求人で応募できるものがあります。そのような求人は多く存在しています。

ITインフラの運用・保守の経験があれば構築に携われる

これまで構築工程に携わったことがなくても応募できる求人例を紹介します。この求人は、前の章で紹介したウィズテクノ社のものです。

前の章で紹介したNECフィールディングシステムテクノロジー社の求人では、「対象となる方」の欄にネットワーク・サーバーの運用・保守の経験がある方が条件に挙げられています。上流工程に関わった経験は挙げられていません。

このように、運用・保守の経験があれば、転職で上流工程の担当者にステップアップできます。

ネットワーク・サーバー関係の資格を取得していれば有利になる

インフラエンジニアが上流工程に携わるときに、資格は必要ありません。そのため、資格がなくても転職を成功させることはできます。

しかし、資格を保有していれば、ITインフラを構築するために必要な知識・スキルを有していることを客観的な指標で示すことができます。

具体的には、ネットワークやサーバー関係の資格を保有していれば、歓迎されることがあります。

前の章で紹介したウィズテクノ社の求人では、対象となる方の欄にネットワーク・サーバー資格を有していれば活躍できることが記載されています。

ネットワークとサーバーに関する資格は複数知られています。具体的に取得していれば有利になる資格は、下に示すものが該当します。

図(資格の一覧表)

例えばCCNAは、ネットワークエンジニアの登竜門として位置づけられている資格です。インフラエンジニアのあなたが取得していれば、ネットワークに関する知識・技術を有していることを示すことができます。

転職活動をするときに、資格を有していれば資格がない求職者と比べて転職活動を有利に進めることができます。

やりたい仕事を実現するために求人の詳細を調査する

ITインフラの構築だけを担当できる職場は少ないです。冒頭でも紹介したように、構築以外にも運用・保守も担当することが多いです。

また、求人票に構築工程を担当することが記載されていても、その業務のほとんどをベンダー企業が担うこともあります。

そのため、転職後に構築工程にどの程度携わるのかを事前に確認しておかなければ、転職後の後悔につながる可能性が高いです。

気になる求人が見つかれば、企業に「構築の工程にどの程度携われるか」を確認するようにしましょう。

もし直接企業に質問をするのが気が引けるようであれば、転職エージェントのサービスを活用するとよいです。あなたの代わりに、企業に仕事内容の詳細を質問してくれます。

図(企業に仕事内容を問い合わせる)

転職して働き始めてから、あなたが思い描いていた仕事ができないと、何のために転職をしたのかがわからなくなります。転職後に後悔しないためにも、事前に転職後の仕事内容を詳細に確認するようにしましょう。

研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。