化粧品会社のマーケティング職は、新製品の発売に関わる大変重要な仕事です。マーケティング職は経営に近い仕事になるので、会社の売上を左右するやりがいを感じやすい職種の1つです。

そのような仕事の特徴のため、マーケティング職は人気の職種であり、競争倍率が高いです。

そして、一言でマーケティングと言ってもその業務内容は多岐に渡ります。また、会社によって担当する仕事内容は大きく変わるので、求人情報をしっかり確認して転職しないと不幸な転職になりかねません。

ここではまず、化粧品会社のマーケティング職の仕事内容を解説します。そして、転職のために求められる経験やスキルについて紹介します。

マーケティング職の仕事内容は多岐に渡る

化粧品メーカーのマーケティングとは、一言でいうと「販売戦略の立案」が主な仕事になります。そのために市場を調査したり、ライバル会社の製品を分析したりした結果を基に、販売戦略を考えます。

しかしその仕事内容は幅広く、インターネットの発達や市場のグローバル化によって、多くの仕事を担うようになっています。

実際の求人例を示します。この会社は東京都にある化粧品の製造・販売を主な事業にしている大手製薬メーカーです。具体的な仕事内容が多く挙げられていますが、どれも商品の販売戦略を立てるために必要な仕事です。

売上実績の分析は自社のデータを解析します。市場調査は自社で調査を行うだけでなく、調査会社が集計したデータを購入して解析することもあります。

また、かつて化粧品はデパート、スーパーマーケット、ドラッグストアなどの店頭だけで売られるものでした。今では日本全国にあるコンビニエンスストアは、24時間いつでも化粧品を購入できるようになっています。

その一方で、インターネットが発達したことにより、店頭だけでなく、オンラインショップでも販売されるようになりました。それに伴い、インターネットを活用した販売戦略も積極的に展開されるようになっています。

次に紹介する求人は、WEBを活用した販売の戦略を立案するWEBマーケティングの求人です。

下の写真は、大手化粧品会社の株式会社資生堂のオンラインショップです。WEBマーケティングでは、オンラインで使用する広告の内容を考えたり、オンラインショップを訪問するユーザーのデータを集計、分析したりして、販売のための戦略を考えます。

引用:オンラインショップ ワタシプラス 資生堂より

そして、SNSが盛んに利用されるようになったことにより、アプリケーションなども含むデジタルツールを用いた販売戦略も重要になっています。WEBだけでなくSNSなどのデジタルツールを用いたマーケティングは、デジタルマーケティングと呼ばれます。

あなたもLINEやTwitterなどのSNSを活用して、商品の最新情報を入手しているのではないでしょうか。送られてくる広告やクーポンを利用して商品を購入した経験がある人もいると思います。

デジタルマーケティングでは、どのタイミングでどのような広告を出すのがよいかなどを考えます。

なお、化粧品の市場は日本国内だけではありません。アジア、ヨーロッパ、アメリカなど、世界に向けて商品を販売している会社が多いです。

この場合、海外の市場を調査して販売戦略を考える必要があり、この仕事は国際マーケティング(グローバルマーケティング)と呼ばれます。

次に紹介する求人は大阪府大阪市にある大手化粧品メーカーの求人で、採用されると国際マーケティングを担当することになります。

このようにマーケティングでも複数の種類に分類することができ、求人によって仕事内容が異なることがわかります。

大手ほどマーケティングの部門が特化される

マーケティングの仕事は多岐に渡りますが、すべての会社でマーケティングの部門があるわけではありません。基本的にはマーケティング職としての求人があるのは、規模が大きい化粧品メーカーに限られます。

下の求人は、会社名は非公開ですが東京都港区にある大手化粧品メーカーのものです。この会社の従業員数は約3,000人であり、大手企業に分類されます。そして、この求人の仕事内容の欄にはマーケティングに関する業務しか記載されていません。

この求人で採用されると、マーケティングのスペシャリストとして働くことになります。

その一方で、次の求人は本社が大阪府にあり、支店は東京都、北海道、愛知県など全国に5カ所にあるピアス株式会社のものです。この求人では、製品企画の担当をしつつ、マーケティング職の仕事も兼任することが記載されています。

このように、会社の規模によってはマーケティング以外の仕事も担当する可能性があるので、あなたがやりたい仕事と合致するかをしっかりと確認する必要があります。

会社によってやりがいも変わる

マーケティング職として働くと、化粧品の研究開発の上流の工程を担当することになります。そして、あなたが考えた販売戦略に基づいて製品が開発され製造・販売されます。

あなたの仕事は化粧品の開発、製造、営業、販売のすべての工程に大きな影響を及ぼします。言い換えれば、頑張り次第で売り上げに大きく貢献もでき、それがやりがいとして感じられます。

また規模が小さい会社では、さきほど紹介したピアス株式会社のようにマーケティング職だけでなく、化粧品企画も兼任することになります。その場合は、パッケージやデザインの選定にも関わることになります。

このような会社で働くと、あなたが規格した商品が将来世の中に出回ることになります。実際に自分が考えた商品が店頭に陳列されているのをみると、何とも言えない満足感がこみ上げてきます。

このように、同じマーケティングに携わる場合でも、会社の規模や仕事内容によって感じるやりがいは変わってきます。

マーケティング職に転職するときに求められる経験、スキル、資格

では、化粧品会社のマーケティング職になるには、どのような経験、スキル、資格が求められるのでしょうか。

マーケティングの経験があれば化粧品業界未経験でも転職可能

あなたにこれまでマーケティング職としての業務経験があれば、その経験を活かして転職することができます。

前の章で示した大手化粧品メーカーの求人では、マーケティングの実務経験が2年以上あれば応募することができます。

そしてこの求人は、化粧品メーカーではなく、健康食品やダイエット食品のマーケティング経験があっても応募することができます。つまり、化粧品メーカーの経験は必須ではなく、食品業界や医薬品業界からでも転職は可能です。

もちろんあなたに化粧品メーカーでのマーケティング経験があれば、自信をもって求人にエントリーすることができるでしょう。

製品開発やコンセプト開発の経験があっても採用される

では、マーケティングの経験がなければマーケティング職の求人に応募はできないのでしょうか。実は、マーケティングの経験がなくても応募できる求人はあります。

前の章で紹介した国際マーケティングの求人では、一般消費者向けの消費財のコンセプト開発や製品開発の経験があれば応募できます。

私の知り合いにも、化粧品会社の商品開発部からマーケティング職に転職した人がいます。この友人は転職後について以下のように話してくれました。

化粧品の商品開発の経験があれば、その経験をマーケティング職で活かすことができる。特に商品の成分やパッケージなどの具体的な話になると、商品開発に携わった経験が役に立つ。

その一方で製品のことはわかるが、CM作りの経験がなかったので最初は苦労した。出演する人、セリフなどを考えるのが大変だった。

このように、マーケティング職の経験がなくても応募できる求人はあります。しかしその数は少ないので、転職サイトで根気強く探すか、転職エージェントを活用して非公開求人を紹介してもらうなどの工夫が必要です。

パソコンスキルは日常業務で必要になる

マーケティング職では、市場調査から始まり、売り上げ目標、原価、利益率の計算をします。そのため、デスクワークで数字を解析し、計算する場面が多いです。

これらの業務をするためには、パソコンのスキルは必須です。求人によっては以下のように具体的に使用するアプリケーションを記載しているものもあります。

マーケティング職では、数字を取り扱うことが多く、エクセルを利用してデータを解析します。

そして、最もよく使用するのはパワーポイントです。マーケティング職は部署内の会議でもパワーポイントで資料を作成して、自らの考えを発表しなければなりません。日によっては、一日中打ち合わせが組まれていることもあります。

また、マーケティング職が考えた戦略は他部署にプレゼンテーションをして、戦略を理解・納得してもらわなければなりません。そのためにはパワーポイントを使用した説明が必要になります。

同じデータを説明する場合でも、資料の作り方が変われば、説明を聞いた人が受ける印象は変わります。パワーポイントはマーケティング職がほぼ毎日使用するアプリケーションの1つです。

海外のマーケティングをするのであれば英語力が必要

求人によっては、高い英語力が求められる求人があります。

下に示すのは、東京都にある香水・化粧品事業を担う企業の求人です。この会社では、特にスキンケア製品の輸入・販売をメインに行っています。そして、この求人の応募要件の欄には、ビジネスレベルの英語力が必須要件の1つとして挙げられています。

例えば、東南アジアの市場を狙う場合は、現地の関連会社との打ち合わせがあり、現地を訪問しなければなりません。その際の公用語は英語です。現地の担当者と英語で議論しなければなりません。

あなたに高い英語力があれば、このような求人に自信をもって応募できるでしょう。また、採用された後もグローバルマーケティングや海外のグループ会社への赴任などを任させるかもしれません。

しかし、多くの求人を見てみると、「英語力不問」を謳っている求人も多くあります。下の求人では、英語力がなくても応募することができます。

実際、日本国内で仕事をしていて、商品の販売先が日本国内だけであれば英語を使う場面はありません。

もちろん英語力があって困ることはありません。しかし、あなたに英語力がなかったとしても応募できる求人は多くあることを認識しておきましょう。

業務をするために必須の資格はない

マーケティング職として仕事をするときに必要になる資格はあるのでしょうか。実は、資格がなくてもマーケティングの仕事をすることができます。そのため、求人票でも資格が必須条件に挙げられている求人はありません。

私の知り合いでマーケティング職として働いている人に資格について話を聞くと、以下のような話をしてくれました。

マーケティングをするために必要な資格はないが、人によっては化粧品成分検定や化粧品検定などを持っている人はいる。これらの資格の難易度は高くなく、私も入社後に化粧品の知識を深めるために取得した。

ただし、それらの資格を持っているからといって、何かが有利になったり、年収・給料が上がったりすることはない。基本的には自己研鑽のために取得する。

ちなみに私の職場では、資格取得よりは、時間があれば英語の勉強をすることが優先される。

このように、化粧品に関する民間資格はあります。しかし、転職を成功させるために資格を取得する必要はありません。

コミュニケーション能力は必須のスキル

マーケティング職に転職するときに求められる経験・スキルについて説明してきましたが、実は、マーケティング職として働くときに最も求められるのは「コミュニケーション能力」です。

化粧品の開発には同じ部署だけでなく、他部署との協力が必要不可欠です。下図のように、マーケティング職は多くの部署や関連会社と関わることになります。そのため、部署間で良好なコミュニケーションがとれるスキルが求められます。

ただしこのスキル以外にも、一緒に仕事をする人に仕事を遂行してもらうためのコミュニケーションがとれる能力も求められます。

他部署は、マーケティング職が立てた販売戦略に従って仕事をすることになります。このときに、他部署の人にいつまでに何をしなければならないかというシビアな話ができ、仕事を進めていく能力が必要になります。

この能力は化粧品会社の職種のなかでも、特にマーケティング職では求められることを覚えておきましょう。

まとめ

ここでは化粧品メーカーのマーケティング職に転職するときのポイントを解説しました。

マーケティング職は販売戦略を考える職種で、会社の売上に直結する仕事を担当します。そのため、やりがいのある職種といえます。

マーケティングにはWEBマーケティング、デジタルマーケティング、グローバルマーケティングなど、従来のマーケティングから派生した仕事もあります。

マーケティング職に転職するためには業界を問わずマーケティングを担当した経験が求められることが多いです。ただし、化粧品の商品企画に携わった経験があれば応募できる求人もあるので、できるだけ多くの求人に触れるようにしましょう。

また、英語力に自信があれば応募できる求人の選択肢が増えます。化粧品に関する民間資格はありますが、取得しても転職に有利になるわけではありません。

マーケティング職として働くときに最も重要なのはコミュニケーション能力です。部署内だけでなく、他部署とも密に連携をとりながら仕事を進める必要があります。

研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。