転職活動をするときには、職務経歴書を書かないといけません。私も転職を経験しており、そのときに職務経歴書を作成しました。

そして、私は世間知らずだったこともあり、転職活動を始めた時点で職務経歴書というものの存在を知りませんでした。大学時代の新卒の就職活動では履歴書しか作成しなかったので、転職でも履歴書だけが必要だと思っていました。

私ほど無知な人は少ないと思いますが、特に初めての転職では職務経歴書をどのように作成すればよいかわからないと思います。

職務経歴書は、あなたの経験した業務をただ列挙すればよいだけではありません。企業の採用担当者に、あなたの業務経験・身につけたスキルをしっかりとアピールする必要があります。

ここでは、理系の研究職・開発職の転職で、職務経歴書を作成するときのポイント・書き方を解説します。

職務経歴書の作成で求人への応募が完了する

「この求人に応募したい」と思う魅力的な求人に出会うと、応募に必要な書類を準備して、企業に提出しなければなりません。そのなかの1つが、職務経歴書です。

職務経歴書は、あなたが就職してからの業務経験をまとめて、転職希望先の企業に説明・アピールするための書類です。

まずは、職務経歴書をどのようにして作成すればよいかを解説します。

インターネット上からテンプレートをダウンロードして活用すればよい

職務経歴書は、書店に行けば購入することができます。職務経歴書だけが売られているのではなく、履歴書とセットで販売されていることが多いです。コンビニでも販売しており、簡単に入手することができます。

では、店頭で販売されている職務経歴書を購入すればよいでしょうか。

実は、職務経歴書を書店で購入する必要はありません。インターネット上にあるテンプレートをダウンロードして利用すればよいです。

私は転職活動で、転職エージェントの支援を受けました。転職エージェントのサービスを受けると、マイページから職務経歴書のテンプレートをダウンロードすることができます。

例えば、10万件を越える求人を取り扱っているdodaでは、下のように多くの職種ごとに職務経歴書のテンプレートが準備されています。研究開発に関わる職種が細かく分けられています。

私は転職活動をするときに、dodaを含めた5社の転職エージェントに登録してサービスを受けました。どの転職エージェントでも、同じように職務経歴書のテンプレートが準備されていました。

また、複数の転職エージェントを利用している場合、ほかの転職エージェントが提供しているテンプレートを使っても問題ありません。

私も最初に作成した職務経歴書をほかの転職エージェントの担当者に添削してもらい、企業に提出しました。転職エージェントによってフォーマットは異なりますが、どのフォーマットを使ってもよいです。

あなたが転職する職種に合ったテンプレートをダウンロードして、活用しましょう。

職務経歴書はパソコンで作成する

職務経歴書のテンプレートをダウンロードしたら、そのままパソコンで内容を入力していきましょう。

履歴書は手書きで作成して、企業に提出します。一方で職務経歴書は、パソコンで作成して、データのまま提出して問題ありません。

私は転職活動で数社の求人に応募しました。どの企業にもデータのまま職務経歴書を提出しましたが、問題なく書類審査を通過しました。手書きの職務経歴書の提出を求められることはありませんでした。

職務経歴書はパソコンで作成して、データで提出するようにしましょう。

研究者・開発者への転職を成功させる職務経歴書の書き方

職務経歴書の各項目は、どのような内容を記載すればよいでしょうか。

職務経歴書は、これまでの業務経験を記載します。事実を記載していきますが、企業にあなたの経験や実力をアピールできる内容にする必要があります。

ここからは、それぞれの項目をどのように記載していくべきかについて、私が職務経歴書を作成したときの体験や内容も含めて紹介します。

社会人になってからの業務実績を詳しく記載する

職務経歴書は、あなたの業務経験とスキルをアピールするための書類です。社会人として働き始めてからあなたが従事した仕事内容を、採用担当者がイメージしやすいように記載する必要があります。

具体的に記載する内容は以下の点です。

  • 業務内容の概要
  • 会社名・会社概要
  • 所属部署
  • 具体的な業務内容・作業
  • 実績(学会発表、投稿論文、取得特許など)

実際に私が転職活動のときに作成した業務実績は、以下のとおりです。私は、化学メーカーで研究員として働いているときに転職活動をしました。

私の場合は、企業での特許取得や論文投稿などの実績がありませんでした。そのため、担当した業務内容・取り扱った分析機器を記載しました。

すでに市場に出ている商品・サービスの基礎研究や性能改善などに携わった経験があれば、製品名を記載して業務経験をアピールしてもよいです。

あなたが身につけたスキル・取り扱うことができる機器などを転職希望先の企業がイメージしやすいように記載するようにしましょう。

また、転職を経験している場合は、過去に在籍した企業・担当業務などの職歴をすべて記載しましょう。

大学・大学院・ポスドクの経験もアピールするとよい

実は、職務経歴書でアピールできるのは、社会人になってからの経験だけではありません。

研究職・開発職に転職する人の多くは、大学を卒業しています。大学院に進学してより専門的に学んだり、ポスドクとして研究を続けたりした人もいます。

これらの課程で身につけた知識、スキル、実績も、転職のときにアピールすることができます。私は、以下のような内容を記載しました。

ここでの実績は、論文投稿だけでなく、下の写真のような学会で発表した実績を挙げてもよいです。

学会発表も論文投稿も経験していなければ、学生時代の研究で身につけた実験手技や扱った実験機器を載せるようにしましょう。

学生時代の研究内容と、就職してからの仕事内容は、必ずしも一致するわけではありません。

私の後輩で、電機メーカーにエンジニアとして就職した人がいます。彼は学生時代にプログラミングやシステム開発を行っていましたが、就職後に任された業務は、全く未経験の電気回路設計でした。電気回路設計を任されたときは、勝手がわからないから苦労したと言っていました。

このように、学生時代と就職してからの業務内容に違いがある場合は、学生時代の経験も含めてアピールするとよいです。

学生時代に経験したものも含めて、あなたのスキル、実績を少しでも多く企業にアピールするようにしましょう。

取得資格があればすべて記載する

これまでに取得した資格があれば、すべて記載するようにしましょう。これは、これから担当する業務やこれまで担当した業務と直接関係ない資格でも問題ありません。

私は薬学部を卒業して、薬剤師の国家資格を取得しました。そして、化学メーカーの研究職として働いているときに、危険物取扱者甲種資格を取得しました。そんな私の職務経歴書の取得資格欄は、以下の通りです。

ここで挙げられている日商簿記検定は、私の経歴のなかでは異色の資格です。

私が化学メーカーに就職して最初の半年は、ほとんど残業はなく、帰宅したあとは暇でした。この時間を有効に使えないかと考えて、これまで全く触れたことがない分野の勉強をしようと思いました。そこで独学で勉強して取得したのが、日商簿記検定でした。

私が働いていた化学メーカーで、日商簿記検定が必要な業務を担当したことは1度もありませんでした。もちろん、転職活動で受けた企業・職種でも、日商簿記検定が活かせるものは1つもありませんでした。

仕事とは全く関係ない資格でしたが、この資格を職務経歴書に記入したことでマイナス評価をされることはありませんでした。もちろん、無事転職を成功させることができました。

資格取得でアピールできるのは、習得した知識だけではありません。あなたが、資格を取得するために継続して努力できる人材であることも示すことができます。

取得資格欄には、あなたがこれまでに取得した資格をすべて記入するようにしましょう。

パソコンスキルを具体的に示す

研究職や開発職に限らず、仕事でパソコンを使うことは当たり前の世の中になりました。パソコンを使えるのが当たり前で、使えないと困るような世の中です。

研究職や開発職で働くときには、Office(Word、Excel、PowerPoint)を利用することが多いです。これらのソフトウェアを、どの程度使いこなすことができるのかを記載しましょう。

私が記載した内容は、以下の通りです。研究職や開発職で働いていれば、どの業界でも同じようなパソコンスキルが求められます。

あなたがパソコンでできることを、具体的に記載しましょう。

自己PRで強み・目標をアピールする

自己PRや目標は、履歴書の志望動機の欄にも記載します。しかし、履歴書の志望動機欄はスペースが少ないです。記入できる文字数が限られているので、アピールできることも限られます。

そこで、あなたの目標や、思い描いているキャリアビジョンなどを職務経歴書でアピールしましょう。具体的には、あなたの強みや経験を、転職後にどのように活かすことができるかを記載しましょう。

私が実際に作成した自己PRと目標は、以下の通りです。

私は工場内にある研究室で、新製品の製造工程の改良やコストダウン検討を担当していました。この業務では、製造現場の運転員や品質管理部などの関連部署との連携が必要不可欠でした。

多くの部署とコミュニケーションをとりながらプロジェクトを進めた経験を、職務経歴書でアピールしました。

あなたがこれまでに従事した仕事や、学生時代の経験を、転職後の仕事にどのように活かし、企業にどのように貢献できるかを具体的に記載しましょう。

作成した職務経歴書は提出する前に第三者に確認してもらおう

それぞれの欄を埋めたら、そのまま転職希望先の企業に提出するのではなく、第三者に内容を確認してもらうことをおすすめします。

自分で作成しただけでは、内容が不明瞭だったり、そもそも企業へのアピールがずれていたりすることに気づきにくいです。

手軽なのは、あなたの身近な人に確認をしてもらうことです。そして、最も的確なアドバイスをもらうことができるのは、転職エージェントに添削をしてもらうことです。

私が転職活動をしたときには、転職エージェントに登録して多くのサービスを受けました。そのなかの1つに職務経歴書の添削がありました。

例えば、とある化学メーカーの研究職求人に応募するときの職務経歴書を添削してもらったときには、以下のメールのようなアドバイスをもらいました。

ほかにも転職エージェントは、業績や実力をよりアピールするための方法もアドバイスしてくれます。

私が最初に職務経歴書を作成したときには、そもそもどのように書けばよいか全くわからない状態でした。よくわからないまま、テンプレートに必要事項を記載するだけでした。

その状態のものを転職エージェントに添削してもらったものが、下の図です。赤色の部分が添削内容です。

転職エージェントは、求職者の転職を支援するプロです。多くの求職者の転職を成功させています。そのような専門家に添削してもらうことで、書類選考を通過する可能性を高めることができます。

まとめ

ここでは理系の研究職・開発職に転職するときの職務経歴書の書き方について解説しました。

職務経歴書を作成するときには、インターネット上からテンプレートをダウンロードして活用しましょう。企業に提出するときも、紙ではなくデータで問題ありません。

社会人になってからの業務実績だけでなく、学生時代に経験した研究・実験もアピールするとよいです。取得した資格があれば、すべて記載するようにしましょう。

職務経歴書には、履歴書に書ききれない自己PRやキャリアビジョンを書くことができます。あなたの経験や強みを活かして、どのように活躍できるかを先方企業に伝えましょう。

内容の記載が完成すると、第三者に添削をしてもらうことをおすすめします。添削をしてもらうことで、書類選考を通過しやすくなり、転職成功の可能性を高めることができます。


研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。