「通勤の負担が減る」「育児や介護との両立ができる」などの理由で、在宅勤務を希望するシステムエンジニアは多いです。それに合わせるように、在宅勤務・リモートワークを推進する企業も増えています。
転職市場に「リモートワーク可」のシステムエンジニア求人は多いです。しかし、その働き方は企業や担当するプロジェクトによって変わります。
また、転職で在宅勤務が実現できたとしても、その後も在宅勤務をずっと続けることができるかはわかりません。
ここでは、システムエンジニアが転職で在宅勤務・リモートワークを実現させるための求人の探し方や、在宅勤務の注意点を解説します。
もくじ
システムエンジニアの求人は在宅ワーク可能なものが多い
リモートワーク・在宅勤務は、多くの職種で導入が検討されてきました。そのなかでも、システムエンジニアはリモートワークがやりやすい職種の1つです。
システム開発の仕事は、パソコン作業が中心です。そのため、自宅に限らず、全国どこでも仕事をすることができます。
例えば、下に紹介するマクロシステム株式会社の求人では、基本的に在宅勤務であることが記載されています。採用されると、ITエンジニアとして官公庁案件か医療系案件のいずれかを担当することになります。この求人は、業種未経験者でも応募することができます。
マクロシステム社は、東京都新宿区にオフィスを構える企業です。業務アプリケーションの開発、サーバ・ネットワーク等の情報インフラの構築・運用を主な事業としています。
私の友人の中にも、リモートワークを行っているシステムエンジニアが何人かいます。そのなかの1人の自宅の写真を下に紹介します。
彼はwebエンジニアとして、自社が運営するwebサイトの設計から運用を担当しています。写真に写っているMacBookで1日作業を行っています。
リモートワークでは、このような環境で仕事をすることになります。
企業や担当プロジェクトによってはフルリモートも可能
システムエンジニアは、企業や担当するプロジェクトによってはフルリモートで働くことも可能です。ここではフルリモートを、「原則出社をしなくてよい働き方」として話をします。
例えば、次に紹介する株式会社アスキングの求人では、「フルリモート可」であることが記載されています。この求人では、オープン系・Web系言語でのシステム開発を担当する人材を募集しています。
さきほど自宅の写真を紹介したwebエンジニアの友人は、フルリモートで働いています。彼は、オフィスに出社するのは月に1回もありません。会議はすべてオンラインで実施します。
また、webエンジニアに限らず、フルリモート・完全在宅で働くことはできます。
別の友人は組み込み系エンジニアとしてSIerで働いていますが、プロジェクトによってはフルリモートで働いていると教えてくれました。システム設計に関する資料をExcelやWordで作ったり、プログラムを作ったりする仕事であれば自宅でできます。
このように、会社や担当するプロジェクトによってはフルリモートで働くこともできます。
どうしても出社したり、顧客を訪問したりせざるを得ないこともある
すべての作業が自宅でできれば魅力的ですが、現実的には難しいことも多いです。
例えば、顧客や外部企業から借りている機材を使用して動作テストをしなければならない場合は、機材を自宅に持ち帰っている間に破損したり紛失したりするリスクがあります。
また、そのような機材をチーム内で交代して使っていれば、1人が持ち帰ってしまうと、ほかのメンバーは作業ができません。このような環境で仕事をしていれば、会社に出社して仕事をせざるを得ません。
そして、システムエンジニアの仕事は、システム開発だけではありません。
開発したシステムを導入した顧客を訪問して、状況を直接確認したり、必要に応じてメンテナンスをしたりしなければならないこともあります。このような作業が必要な場合は、出社したり、顧客を訪問したりせざるを得ません。
冒頭で紹介したマクロシステム社の求人は、基本的に在宅勤務であることが記載されていました。しかし、この求人の勤務地の欄には、以下のように記載されています。
先ほど紹介したSIerで働く私の友人も、リモートワークを実施しています。現状について質問すると、以下の話をしてくれました。
普段の作業は在宅でできるが、システムトラブルがあったらお客さんに呼び出される。
お客さんとの会議や自社内の会議は、ほとんどの場合音声だけで、顔を見ないでやっている。そのため、ニュアンスが伝わりにくかったり、「言葉では『問題ない』と言っているが、本当は怒っているのではないか」と感じたりすることもある。そのあたりは、不便だと感じることもある。
そのため、直接会って打ち合わせをした方が伝わりやすいと思うときには、出社することもある。
次の章でくわしく紹介しますが、フルリモートを実現するのはハードルが高いです。ここで紹介したような事例のために、どうしても会社に出社せざるを得ないことも生じます。
リモートワークのデメリット・注意点を確認しておく
リモートワークをするメリットは大きいです。自宅に居ながら仕事ができ、目の前に職場の人がいないので気を遣うことなく作業ができます。
しかし、リモートワークは何でも自由にできるわけではありません。また、状況によってはオフィスに出社しなければならないこともあります。
そのような注意点を把握したうえで、本当にリモートワークを希望するのかを改めて考えてみてください。
担当するプロジェクトは変わる可能性がある
転職でリモートワークができる会社に転職し、担当するプロジェクトがリモートワーク対応可であれば、転職直後からリモートワークで仕事ができます。
しかし、その担当するプロジェクトがずっと続くかは、転職する時点ではわかりません。短い場合は、転職して数カ月でプロジェクトが終わってしまう可能性もあります。
また、プロジェクトは終わらなくても、あなたが別のプロジェクトに担当が変わる可能性があります。そして、新しく担当することになるプロジェクトがリモートワーク対応不可であれば、オフィスや客先に出勤して仕事をしなければなりません。
例えば、次に紹介する株式会社ロックシステムの求人では、リモート率が6割と記載されています。ロックシステム社は、大阪府大阪市に本社を構える企業です。この求人では、Web・オープン系システムやスマホアプリの開発に従事する正社員を募集しています。
この求人には、リモート率6割についてさらに詳細な記載がありました。下のように、フルリモート3割、たまに出社が3割、出社が4割です。つまり、4割の社員はオフィスに出社しています。
転職時はフルリモートか基本リモートワークのプロジェクトを任されるかもしれません。しかし、その後いつまでそのプロジェクトを担当できるかはわかりません。この企業であれば、リモートワークができない4割になる可能性が残り続けることになります。
私の友人で、電機メーカー勤務のシステムエンジニアがいます。彼は組み込み系エンジニアとして働いています。
彼の会社はかつてテレワークを推奨しており、週2日~3日テレワークをしていました。しかし、社長が変わるタイミングで方針も変わり、現在はテレワークできないと話していました。
転職直後はリモートワークができても、担当するプロジェクトや会社の方針が変わると、働き方も変わる可能性があることを覚えておきましょう。
スケジュールが決められていたり、自宅に居ながら監視されたりすることがある
在宅勤務・リモートワークは、自宅で作業ができます。決められた時間にオフィスに出社する必要はありません。
では、自宅での始業時間や終業時間は決められているのでしょうか。実は、多くの会社で、オフィスで働いているときと同様にタイムスケジュールが決められています。
下に紹介するシスココンサルティング株式会社の求人では、オープン系のシステム開発に携わる人材を募集しています。そして、シスココンサルティング社の求人では、在宅勤務の場合も9時に朝礼をし、17時半に終礼を行うことが記載されています。
実際にリモートワークを行っている友人に話を訊くと、以下の話をしてくれました。
私の会社では、リモートワークでも朝礼を毎日やっている。朝礼では、前日の作業内容、進捗、当日の作業内容、問題点などを共有している。
チームで仕事をしていると、いつ働いてもいいというわけではない。わからないことがあってチームメンバーに質問しようとしても、同じ時間帯に働いていないと訊くことができない。また、リモートワークでも、毎日のように日中に打ち合わせの予定が入る。
終礼はやっていないが、仕事が終わったときに上司に「これで終わります」とメールをするルールになっている。
また、会社によっては、パソコンの前にいるかをカメラで監視しているところもある。
このように、リモートワークであっても、自分の都合だけで働く時間を決めることができるわけではありません。フルリモートであっても、会社のルールに従って仕事をしなければなりません。
あなたの望む働き方を実現できる求人を探す
在宅勤務を実施している企業は、転職サイトで求人を探すとたくさんみつかります。
大手転職サイトのdodaで、実際に「システムエンジニア 在宅勤務」「システムエンジニア リモートワーク」「システムエンジニア テレワーク」「システムエンジニア フルリモート」のキーワードで求人を検索した結果が、下の表です。なお、「システムエンジニア」で求人を検索すると、約4000件の求人がヒットします。
キーワード |
ヒットした求人数 (件) |
システムエンジニア 在宅勤務 | 2579 |
システムエンジニア リモートワーク | 2527 |
システムエンジニア テレワーク | 433 |
システムエンジニア フルリモート | 259 |
多くの企業が在宅勤務を推進していることがわかります。また、ヒットする求人数からも、フルリモートで働くことは難しいことが分かります。
これらの求人の中から、あなたが希望する働き方ができる企業を探すのは、非常にきつい作業です。また、求人票からの情報だけでは、企業がどの程度リモートワークの推進に力を入れているかを判断しにくいこともあります。
あなたが自力で求人を探すだけでなく、転職エージェントの力を借りて、リモートワークを実現できる企業の求人を紹介してもらうのもよい方法です。
転職エージェントは、企業とあなたのような求職者をマッチングさせるプロです。転職エージェントは、求人を出す企業と直接やり取りをして、どのような人材を求めているか、どのように働いてもらいたいかを把握しています。
そのようなプロからあなたに合った求人を紹介してもらうことで、リモートワークを実現しやすくなります。
まとめ
ここでは、システムエンジニアが在宅勤務・リモートワークで働く求人に転職するときのポイントについて解説しました。
システムエンジニアは、リモートワークを実現しやすい職種です。担当するプロジェクトによっては、フルリモートで働くことも可能です。
求人票に「リモートワーク」と記載されていても、必要に応じて出社せざるを得ないこともあります。
転職でリモートワークを実現しても、会社によってはプロジェクトが変わるとリモートワークではなくなる可能性があります。
また、オンラインで朝礼や終礼を実施するなど、仕事のタイムスケジュールが決められていることも多いです。すべての時間を自由に使えるわけではありません。
リモートワークを実施している会社は多いです。多くの求人のなかからあなたの希望する働き方を実現できる求人を見つけるためには、第三者の力も借りることで、転職成功の可能性を高めることができます。
研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。
一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。
これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。