あなたは自分の年収に満足していますか? どのような職種でも、仕事がきついと感じる場面はあります。給料が安すぎると、きつい仕事を乗り切る気力も湧いてきません。
インフラエンジニアの中には、高年収をもらいながら働いている人もいます。あなたも同じインフラエンジニアとして働くのであれば、少しでも高い年収をもらいたいと考えることは自然な考えです。
インフラエンジニアの求人は、日本国内に相当数あります。求人を出している企業の業界も多岐に渡ります。
大量の求人の中から高年収が提示されている求人を探すのは、大変な労力が必要です。具体的な戦略なしで求人を探しても、目的を達成できる求人を見つけるのに時間がかかってしまいます。
そこでここでは、インフラエンジニアが転職によって年収を上げる具体的な方法を、求人例を示しながら解説します。
もくじ
インフラエンジニアの平均年収を把握する
あなたの年収は高いでしょうか、それとも低いでしょうか。
同じ会社の人の年収はなかなか知ることができません。同じ職種で働いている知人に話を訊いても、正確な情報は得にくいです。
そこで、信頼性の高いデータであなたの年収の位置づけを確認しましょう。信頼性が高いデータは、政府が労働者の賃金の実態を調査している賃金構造基本統計調査です。
インフラエンジニアが含まれるシステムエンジニアの年代別平均年収をグラフ化したものが、下の図です。なお、この結果に残業代は含まれていないので注意して下さい。
引用:賃金構造基本統計調査より
調査結果によると、20代前半のシステムエンジニアの平均年収は、男性も女性も約300万円です。例えば、大学を卒業したばかりであれば、この層に該当します。
そして、20代後半になると平均年収は約400万円になります。
30代のシステムエンジニアの平均年収は500万円前後です。参考までに、日本のサラリーマンの平均年収が約500万円です。つまり、システムエンジニアは30代でサラリーマンの平均的な水準の給料をもらうことができます。
まずは、このような統計とあなたの年収を比較して、現在の年収が高いか低いかを確認してみましょう。
給料アップを狙うための戦略を考える
では、インフラエンジニアの転職でどのような求人に転職すれば年収アップを実現できるのでしょうか。
転職サイトで「インフラエンジニア」をキーワードに検索すると、以下のように1000件以上の求人がヒットします。これは、大手転職サイトのdodaで検索した結果です。
この1000件を超える求人の中には、年収が高い求人もあれば、低い求人もあります。
例えば、未経験者も応募できるような求人は、低めの年収が提示されていることが多いです。ところが、未経験者では応募資格を満たさず、経験者しか応募できないような求人でも、低めの年収が提示されていることもあります。
実は、高い年収を提示している求人には特徴があります。
もちろんその特徴は全ての求人に該当するわけではありません。しかし、特徴を踏まえて求人を探すことで、少しでも効率的に高年収を提示している求人を見つけやすくなります。
SIerならプライム案件が多い企業を狙う
最初に紹介するのは、SIer企業に転職する場合の戦略です。SIer企業は、開発依頼元企業のシステム構築を請け負う企業です。
請け負うプロジェクトの規模が大きくなると、関わる企業の数が増えることがあります。このような場合は、SIer企業からさらに別のSIer企業に開発・設計の一部を依頼することもあります。
開発依頼元企業がプロジェクトに投下する資金は決まっています。
そのため、関わる企業数が増えれば増えるほど、1つの企業がもらえる報酬は下がります。特に、開発のより下流の企業になればなるほど報酬は下がりやすいです。
つまり、開発依頼元企業から直接依頼を受ける案件が多い企業の方が報酬額は多いです。直受け案件(プライム案件)が多い企業の方が、高い年収をもらいやすいです。
具体的な求人例を1例紹介します。下に紹介するのは、株式会社エルテックスの求人です。エルテック社の求人票には、「プライム100%」と記載されています。
エルテックス社は、神奈川県横浜市にオフィスがあるSIer企業で、ECサイトのシステム構築を得意としています。
そして、エルテックス社の求人では、以下のように600万円〜1000万円が提示されています。
プライム案件では、受託したSIer企業が開発依頼元企業から報酬をすべて受け取れます。一部の開発をほかのSIer企業に委託するとしても、利益を確保した上で委託するようになります。
下流のSIer企業では、元請けのSIer企業が自社の取り分を差し引いた中から外注費を受け取ります。そこから従業員に賃金が支払われるので、プライム案件が少ないと、年収も下がります。
SIer企業に転職する場合は、プライム案件が多い企業を狙うことで高年収を勝ち取りやすいです。
管理職(プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャー)に転職する
ITインフラの設計・構築・運用は、一人だけで実施することはありません。プロジェクトの規模が大きくなると、それぞれの工程を複数のインフラエンジニアがチーム体制で担います。
インフラエンジニアの業務経験を重ねると、後輩社員の技術指導を任されるようになります。
そして、開発メンバーを指導・管理するポジションにキャリアアップすることで、年収アップを実現することができます。
例えば、下に紹介する株式会社アイエスエフネットの求人では、20代・30代でも管理職として働いていることが示されています。
アイエスエフネット社は、東京都港区に本社を置く、ネットワーク構築、運用、保守を主な事業としている企業です。
なお、アイエスエフネット社は、従業員数が2,000名を超える大企業です。この求人に記載されているように、まだ若手のあなたでも、管理職として働くことは十分可能です。
続いて、管理職を募集している実際の求人を2例紹介します。
1例目の求人は、東京都に本社があり、北海道札幌オフィスで勤務するインフラエンジニアを募集しているJIG-SAW株式会社のものです。JIG-SAW社の求人では、リーダークラスのポジションで働く人材を募集しています。
なお、JIG-SAW社の求人では、マネージャークラス以上を管理職としています。しかし会社によっては、プロジェクトリーダーも管理職として扱う企業もあります。一般職からプロジェクトリーダーにキャリアアップすることで、年収アップを実現することができます。
この求人の対象となる方の欄は、以下の通りです。Linuxサーバーの構築・運用経験が3年以上と、クラウド環境での業務経験が1年以上あれば応募可能です。20代・30代のあなたも、十分条件を満たすのではないでしょうか。
そして、この求人で提示されている年収は、500万円~600万円です。30代のシステムエンジニアの平均年収が約500万円なので、提示されている年収は高めであることがわかります。
2例目は、愛知県にオフィスがある株式会社アイガの求人です。アイガ社の求人では、PLやPM候補を募集しています。
アイガ社は、ITサービス事業以外にもwebプロモーションのサポート事業や教育事業も展開している企業です。
この求人に応募するための条件は、下に示す通りです。インフラエンジニアとしての業務経験に加えて、マネジメントスキルを高めたい意識があれば応募することができます。
例えば、インフラエンジニアとしての勤務年数を重ねると、後輩社員の指導や、プロジェクトリーダーの補助業務も経験します。これらの経験があれば、プロジェクトリーダーの募集をしている求人に応募するときに業務経験をアピールすることができます。
そして、アイガ社の求人で提示されている年収は430万円~600万円です。こちらも、システムエンジニアの平均年収が20代は300万円~400万円、30代は約500万円であることと比較すると高めです。
このように、PLやPMなどの管理職を募集している求人は、高めの年収が提示されています。
また、管理職では基本給が高くなるだけでなく、役職手当も支給されます。
例えば、次に紹介するコクー株式会社の求人では、「待遇・福利厚生」の欄にプロジェクトリーダー以上は役職手当が支給されることが記載されています。
コクー社は、ITインフラ事業以外にもデジタルマーケティング事業、RPA事業などを展開している東京都の企業です。
コクー社の求人では、最大で月23万円の役職手当が支給されることが記載されています。月23万円は、年収に換算すると276万円です。
このように、管理職にキャリアアップすることで、基本給に上乗せして役職手当をもらうことができます。
従業員数が多い大手企業を狙う
年収を上げる3パターン目は、規模の大きい企業に転職する方法です。
規模の大きい企業は、規模の小さい中小企業と比べて高い年収を提示している可能性が高いです。政府の統計からもその傾向が見られます。
冒頭で紹介した賃金構造基本統計調査は、企業規模ごとの年収も集計しています。システムエンジニアの企業規模ごとの平均年収をグラフ化したものが下の図です。
引用:賃金構造基本統計調査より
従業員数が10〜99人、100〜999人の企業では、年収は500万円強です。それに対して、従業員数が1,000人を超える企業では、平均年収が600万円以上です。
つまり、従業員数が1,000人を超えるような大手企業に転職できれば、中小企業で働くよりも高い年収をもらうことができる可能性が高いです。
実際の大手企業の求人例を1件紹介します。
下に示しているのは、株式会社野村総合研究所の求人です。野村総合研究所社は、従業員数が6,000人を超える大企業です。
そして、この求人では600万円〜1200万円が提示されています。
このような従業員数が多い大手企業は、高い年収を提示している可能性が高いです。
比較対象として、従業員数が少ない企業の求人例を紹介します。企業名は伏せますが、下の企業は従業員数が20名の中小企業です。
そして、この求人で提示している年収は350万円~650万円です。最高年収は650万円ですが、年収例は、25歳で350万円、32歳のリーダーで450万円です。
冒頭で紹介した賃金構造基本統計調査の結果では、システムエンジニアの平均年収は、25~29歳で約400万円、30代は約500万円でした。これらの調査結果と比べると、この企業が提示している年収はやや低いことがわかります。
もちろん、すべての中小企業が提示している年収が低いわけではありません。従業員数が少ない企業でも、高めの年収を提示していることもあります。
しかし、効率的に年収アップを達成するためには、規模の大きい企業を中心に応募するとよいです。
業界によって給料に差がある
インフラ基盤はあらゆる業界で構築・利用されています。例えば、自動車メーカーのような製造業に分類される企業でもITインフラを活用しています。
私は自家用車を隣の県のディーラーで購入しました。店舗までは車で片道1時間ほどかかりますが、知人の紹介だったので格安で購入できたためです。
そして、緊急のトラブルが発生したときには、近所の正規ディーラーに車を持ち込んで対処してもらっています。
正規ディーラーは、顧客情報をデータセンターのサーバーで一括管理しています。そして、どの店舗からでも顧客情報にアクセスできるようにIT基盤を構築しています。
実は、働く業界が異なれば、平均年収は大きく異なります。賃金構造基本統計調査では、業界別の平均年収も集計し、公開しています。その結果をグラフ化したものが、下の図です。
引用:賃金構造基本統計調査より
年収が最も高い業界と最も低い業界では、およそ2倍の差があります。
つまり、グラフの右側よりも左側の業界が、高い年収を提示している求人を見つけやすいことがわかります。
例えば、左側に位置している業界の1つに保険業があります。
次に示すアクサダイレクト生命保険株式会社の求人は、社内のインフラ構築、システム運用を担当する人材を募集しています。
そして、この求人の年収欄には、504万円〜700万円が提示されています。この額は、サラリーマンの平均年収500万円を超えています。
インフラエンジニアのスキルは、業界が変わっても活かすことができます。
業界ごとに平均年収が異なることを理解して求人を探すことで、高年収を提示している求人を見つけやすくなります。
高年収の魅力的な求人は非公開求人にある
インフラエンジニアの求人で、高年収が提示されているものを紹介しました。このような求人に応募することで、現在の年収よりもアップできる可能性があります。
これらの求人は転職サイトに掲載されていたものです。転職サイトで検索すれば誰でも閲覧することができます。
実は、高年収の求人は、ほとんどが公開されていません。大手転職サイトdodaのホームページには、取り扱っている求人の多くは非公開求人であることが記載されています。
特に魅力的な求人は、非公開で募集していることが多いです。その理由は、求人を公開すると、応募者が殺到して収拾がつかなくなる可能性が高いからです。
企業が求める人材とは異なる求職者が大量に応募してくると、採用担当者は対応に追われることになります。
このような事態を避けるために、企業は求人を非公開にして、求めるスキル・経験をもった人材を転職エージェントからピンポイントで紹介してもらうことが多いです。
公開されている求人だけでなく、非公開求人も含めて求人を探すことで、高年収を勝ち取れる求人を見つけやすくなります。
まとめ
ここでは、20代30代の若手インフラエンジニアが転職で年収アップを実現する方法を解説しました。
インフラエンジニアが転職するときには、まずは現在の給料が同世代のインフラエンジニアの平均年収と比べて高いか低いかを確認しましょう。
SIer企業に転職するときには、プライム案件を多く扱っている企業を狙うとよいです。SIer業界の特徴から、プライム案件が多い企業の方が開発依頼元からの報酬のうち取り分を確保しやすく、その分給料が高い傾向があります。
ほかにも、管理職に転職する方法や大手企業に転職する方法でも年収アップを実現できます。
そして、インフラエンジニアは多くの業界で募集されていますが、業界が異なれば年収が大きく異なります。より平均年収が高い業界を積極的に狙うことで、年収をアップさせやすいです。
また、転職エージェントのサービスを活用することで、多くの非公開求人を紹介してもらうことができます。非公開求人には、高年収を提示している求人が含まれている可能性が高いです。
これらの戦略を理解して転職活動を行うことで、より効率的に年収アップを実現しやすくなります。
研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。
一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。
これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。