webエンジニアは多くの企業で募集がかけられている人気の職種です。未経験からの転職者も多く、あなたも職種を変えて挑戦したいと考えているのではないでしょうか。

しかし、40代の未経験者がwebエンジニアに転職するのは、難易度が非常に高いです。あなたが自力で求人を探して転職を成功させることは限りなく不可能に近いです。

しかし、求人数は極めて少ないですが、40代の未経験者でも応募して採用を勝ち取れる求人は存在します。そのような求人に巡り合うためには、しっかりと戦略を立てて転職活動を行わなければなりません。

ここではまず、webエンジニアの仕事内容について簡単に紹介します。その後、「webエンジニアの転職市場の実情」「未経験からwebエンジニアに転職した場合の年収」「転職成功のためにやるべきこと」について順に解説します。

webエンジニアの仕事内容を理解する

まず、あなたが目指そうとしているwebエンジニアとはどのような仕事を担当する職種なのでしょうか。

webエンジニアは、webブラウザで動くアプリケーション(webアプリケーション)の設計・開発・運用を担当する職種です。

あなたに調べたいことがあれば、インターネットにアクセスして、情報を収集すると思います。このときに閲覧するwebサイトもwebアプリケーションです。

例えば、転職のときに多くの人が利用する転職サイトはwebアプリケーションの1つです。

設計では、どのようなwebアプリケーションを制作するかの設計図(これを「仕様書」と呼ぶ)を作成します。利用者が求める機能やレイアウトを考えて、最終的なwebアプリケーションの完成イメージを明確にした仕様書を作り上げていきます。

開発のフェーズでは、仕様書を基にプログラミングを行います。プログラミングの仕事は、プログラミングを専門で行うプログラマーに依頼することもあります。

運用では、リリースしたwebアプリケーションが適切に稼働するように不具合を改善します。細かい誤字脱字の修正から、大規模なシステムの改善も仕事に含まれます。

webエンジニアは、webアプリケーションの設計・開発・運用に幅広く関わる職種です。

webエンジニアの転職市場の実情

では、40代の未経験者がwebエンジニアに転職しようとしたときに、応募できる求人はあるのでしょうか。続いて、40代の未経験者が応募できる求人を紹介しながら、転職市場の実情を解説します。

年齢制限が設けられている求人は少ない

転職を考えたときに、求人サイトで応募できる求人を探すことは、多くの求職者が行います。仕事が終わって帰宅後に自宅でもできる作業であり、あなたも求人サイトで求人を検索した経験があるのではないでしょうか。

では、このような求人サイトで「webエンジニア 未経験」で求人を探すと、どのような求人がヒットするのでしょうか。実際に大手転職サイトのdodaで求人を探すと、以下のような求人が見つかりました。

この株式会社トラストコーポレーションの求人では、IT・Web系エンジニアを募集しており、求人票には「未経験歓迎」と記載されています。そして、年齢に関する記載はありません。

トラストコーポレーション社は、大阪府にオフィスを構える会社です。

求人票に年齢に関する記載がないということは、誰でも問題なく応募し、採用されるのでしょうか。

実は、採用の際に年齢制限を設けることは禁止されています。雇用対策法で「年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」と定められており、何歳であっても法律上は採用される可能性があります。

つまり、40代であっても、年齢を気にせずに応募してよいです。

40代未経験者のwebエンジニアへの転職は難易度が高い

求人を出すときに年齢制限を設けることは禁止されていることを説明しました。では、40代の未経験者でも応募し、採用されるのでしょうか。

結論を言うと、40代未経験からwebエンジニアに転職するのは、かなり難しいです。その理由は、多くの会社は20代~30代の若手を採用したいと考えているからです。

私の知り合いのwebエンジニアに転職の年齢について質問すると、以下の話をしてくれました。

未経験の40代がwebエンジニアに転職することはまず無理だと思う。私が働いている会社は30代でも未経験者が採用されるのは難しい。

40代の未経験者を採用するメリットがない。同じ未経験者なら、新卒を採用した方がいい。

このことは、あなたが採用する立場になって考えるとよく理解できると思います。以下の2名が応募してきた場合、どちらの求職者を採用しますか。

この例であれば、同じ未経験者であっても、定年まで残された期間に20年の差があります。20代の未経験者を採用した方が、長く会社に貢献してくれるので、少しでも若い人材を採用したいと考えるのが自然です。

しかもあなたは未経験者なので、転職後すぐに会社の戦力になれるわけではありません。研修期間を経て、一人前のwebエンジニアになるには何年もかかります。そのような人材を積極的に採用する企業はほとんどありません。

このように、40代の未経験者がwebエンジニアに転職することはかなり難しいことを認識しておかなければなりません。

・40代が応募できる求人はわずかにある

求人票で表向きには年齢制限をしていなくても、40代の転職成功は難しいです。では、40代の未経験者が応募して内定を勝ち取ることは不可能なのでしょうか。

求人数はかなり少ないですが、40代の未経験者でも採用される可能性がある求人は存在しています。

私が5社以上の転職サイトで求人を探したところ、以下の2件の求人を見つけることができました。

まず1件目は、会社名は非公開ですが、webエンジニアを募集しています。ただしこの求人に応募するためには、何かしらのシステム開発やアプリ開発の経験が必要です。

webエンジニアとしての開発経験がなくても、スマートフォンのアプリ開発や、制御系システムの開発経験があれば応募することができます。

2件目の求人は、システム開発の経験が全くなくても応募できる求人です。この求人は、東京都千代田区にオフィスがある株式会社RJCから出ている求人です。20歳~40歳を対象としており、40歳であればギリギリ応募できます。

この求人は、エンジニアとしての経験が全くなくても応募することができます。

このように、webエンジニア未経験の40代が応募できる求人は、求人数が非常に少ないです。

未経験からwebエンジニアに転職した場合の年収は低い

未経験の職種に転職するときには、これまでに身につけたスキルや経験を年収に反映させることは難しいです。そのため多くの場合、未経験の職種に転職すると年収は下がります。

まずは、webエンジニアの年齢別の年収を確認しましょう。webエンジニアを含むシステムエンジニアの年収は、厚生労働省が毎年調査している賃金構造基本統計調査で公開されています。

賃金構造基本統計調査の年齢別の年収をグラフ化したものが、下の図です。40代のシステムエンジニアの年収は、男性で600万円強、女性は500万円~600万円であることがわかります。

引用:令和元年賃金構造基本統計調査 職種別第3表をグラフ化

では、未経験者が転職したときにこの年収をもらうことができるかというと、そうではありません。実際はこれらの年収よりもかなり低くなります。

前の章で紹介した2つの求人の年収は、以下の通りです。まず1件目の求人は、300万円~550万円が提示されています。

この求人では、「給与が下がることはありません」と記載されています。しかし、この求人は何らかの開発経験が必須です。つまり、システムエンジニアとしての勤務経験が必須であることを忘れてはいけません。

続いて2件目のRJC社の求人は、以下のように月給20万円~と記載されています。賞与が基本給の4カ月分として計算すると、年収換算で320万円~になります。

これらの年収は、あなたの現在の年収と比べて高いでしょうか。40代まで会社で働いていると、社内では中堅クラスです。全サラリーマンの年収平均が約500万円であることからしても、あなたが今もらっている年収の方が高いのではないでしょうか。

このように、システムエンジニアに未経験から転職する場合、年収が下がることは覚悟しておかなければなりません。

転職成功のためにやるべきこと

40代の未経験者がwebエンジニアに転職することは難しいです。また、未経験の場合は、転職後の年収は現職と比べて大きく下がる可能性が高いです。

それでもwebエンジニアとして働きたいと考えるのであれば、戦略的に転職活動を行わなければなりません。

求人サイトで求人を探しても、最初の章で紹介したようにヒットする求人はほとんどありません。

続いて、40代からwebエンジニアに転職するときには必ずやるべきことを紹介します。

webエンジニアに興味があることをアピールするための材料を準備する

転職活動を行うと、内定をもらうまでに必ず面接があります。そして面接では、「なぜwebエンジニアになりたいのか」を必ず質問されます。

履歴書の志望動機の欄にも記載することができますが、下図のようにスペースに限りがあります。

私がかつて転職フェアに参加し、システム開発を行っている会社の採用担当者と話をしたときに、以下の話をしてもらったことがあります。

面接で「なぜwebエンジニアになりたいのですか」と質問されて「興味があるから」「一度やってみたいと思っていたから」という返答だけでは、採用されるのは難しい。

未経験者の場合は、中途半端な気持ちで転職をしようとしている人が多い。本当に興味があれば、自分で勉強をしている。例えば、本を購入して勉強したり、実際にアプリケーションを作ったりしている。採用するならそのような人材を採用したい。

未経験から転職する場合は、最初の何年かは基礎をしっかり勉強をしないといけない。例えば、「webエンジニアがかっこいいからやりたい」という理由で転職した場合は「やっぱりしんどいから無理だ」となりやすい。

すでにあなたが、何かしらの学習を始めているのであれば、しっかりとアピールしましょう。

なお、注意しなければならないのは、独学で勉強してwebアプリケーションの開発経験があっても、業務経験とはみなされないことです。あくまでwebアプリケーションの開発に本当に興味があることをアピールするための材料だと思ってください。

多くの求人に触れるために転職エージェントを活用する

求人サイトを利用しても、40代が応募できる求人の数が少ないことはすでに説明しました。そこで有効な手段は、転職エージェントを活用することです。

実は、求人サイトを検索して閲覧できる求人は、取り扱われている求人のごく一部です。ほとんどの求人は公開されていません。

40代が利用できる転職エージェントの1つに、パソナキャリアがあります。パソナキャリアで「webエンジニア 未経験 40代」で求人を検索すると、以下のように1件も該当する求人はありませんでした。

パソナキャリアに限らず、大手の転職サイトや、エンジニアに特化した転職サイトなどでも同様に求人を検索しましたが、1件もヒットしない転職サイトばかりでした。

そして、さきほどの図にも記載されていますが、パソナキャリアが取り扱っている求人のうち80%は非公開です。この割合はほかの転職エージェントでもほぼ同じです。

つまり、残りの80%の求人の中から、あなたが応募できる求人を転職エージェントから紹介してもらうことで、希望に沿った求人に出会える可能性が高まります。

まとめ

40代の未経験者がwebエンジニアに転職するときに、押さえておくべきポイントについて紹介しました。

年齢制限をしている求人は、ほとんどありません。しかし、多くの企業は若手を採用したいと考えているので、40代の未経験者が応募して採用される可能性は、極めて低いです。

そして、未経験で転職した場合、現在もらっている年収と比べて年収が下がる可能性が高いです。

これらの現実を理解した上で転職活動を進めなければなりません。

転職を成功させるためには、興味本位ではなく、あなたが本当にwebエンジニアになりたいことを採用担当者にアピールしなければなりません。そのためには、「独学でアプリケーション開発について学習している」「すでにアプリケーションを作成した経験がある」などの説得力をもたせることが必須です。

「未経験者歓迎」と謳われている求人は比較的見つけやすいですが、「40代未経験者歓迎」という求人は、まず存在しません。そのため、40代でも応募し採用されやすい求人を見つけるために、少しでも多くの求人に触れるための工夫が必要になります。


研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。