臨床検査技師は、医療機関や検査センターで検体の検査をしたり、心電図やエコーなどの生理検査を実施したりするために必要な国家資格です。

臨床検査技師の有資格者は、その資格を活かして研究職の求人に転職することができます。

ここでは、臨床検査技師が研究職に転職するために把握しておくべきポイントを紹介します。具体的には、「臨床検査技師資格を活かした研究職の仕事内容」「研究職求人で求められるもの」「研究職に転職したときの年収」についてくわしく解説します。

臨床検査技師資格は、医療系の研究職に転職するときに歓迎される

臨床検査技師でも、職場によって仕事内容が異なります。私の知り合いは、大学病院でエコーばかり担当していました。そのため、検体検査は不得意と教えてくれました。

同じ臨床検査技師の有資格者でも、得意不得意は異なります。そして、一言で医療系と言っても、幅広い仕事があります。仕事で求められる専門知識も異なります。

まずは、臨床検査技師資格を活かして転職できる研究職求人の仕事内容を紹介します。

検査キットや医薬品の研究開発

最初に紹介するのは、検査キットや医薬品の研究開発に従事する求人です。

臨床検査技師として働いていると、検体検査で検査キットを使用することは日常的にあります。例えば、下の写真は妊娠の検査に用いられる検査キットです。

図(妊娠検査キット)

このような検査キットを研究開発する求人が、臨床検査技師資格があれば転職しやすいです。

実際の求人例を紹介します。この求人は、会社名は非公開ですが、さまざまな疾病で利用できる検査キットを研究開発している企業のものです。新たな検査手法の研究開発や商品開発を担当する人材を募集しています。

図(NO7/仕事内容)

そして、この求人の「応募資格」の欄には、臨床検査技師資格が歓迎条件の1つに挙げられています。

図(NO7/応募資格)

また、検査キットだけでなく医薬品も、医療機関で働く臨床検査技師にとっては身近なものです。臨床検査技師資格があれば、医薬品の研究開発に携わる求人に応募できることがあります。

次に紹介するシミックファーマサイエンス株式会社の求人では、医薬品の研究開発のうち動物、微生物、細胞などを用いた試験を担当する人材を募集しています。

図(NO4/仕事内容)

この求人で採用されると、医薬品や検査薬を動物や細胞に使用し、薬効、毒性などを試験します。

そして、シミックファーマサイエンス社の求人では、臨床検査技師資格が歓迎条件に挙げらています。

図(NO4/対象となる方)

このように、臨床検査技師資格があれば、検査キットや医薬品の研究を担当する求人に応募しやすいです。

病理組織の解析

臨床検査技師の仕事の1つに、「病理検査」があります。

次に紹介する国立研究開発法人 国立がん研究センターの求人では、抗がん剤開発のための研究補助員を募集しています。

図(NO1/仕事内容)

 

そして、この求人の応募資格は以下のとおりです。病理業務の経験が必須で、臨床検査技師資格があれば優遇されることが挙げられています。

図(NO1/対象となる方)

 

画像診断エキスパート

臨床検査技師資格は、検体検査、生理検査、病理検査を実施するために必要な資格です。医療機関で働く場合は、下の写真のような検査室で働くことが多いです。

図(検査室)

そして、臨床検査技師資格があれば、MRIやエコーのような放射線による暴露がない検査も実施することができます。このような画像診断の知識・経験を活かして、研究職に転職することができます。

次に紹介する株式会社マイクロンは、イメージング技術を活かして医薬品や診断薬などの研究開発や臨床開発を支援している企業です。そして、マイクロン社から出されている下の求人では、画像診断のエキスパートとして、医師や製薬会社をサポートする人材を募集しています。

図(NO2/仕事内容)

医薬品開発において、画像診断も医薬品の効果、副作用を判断するために必要なツールです。

画像診断は手あたり次第実施すればよいものではありません。最終的にエビデンスとして利用できるよう適切に利用しなければなりません。

このような判断を医師や製薬会社と共同で行い、医薬品開発の支援を行うことがこの求人の仕事内容です。

そして、マイクロン社の求人の「対象となる方」の欄は、以下のとおりです。理系の大学を卒業し、社会人経験が3年以上あれば応募することができます。そして、臨床検査技師資格が歓迎条件に挙げられており、あなたが採用される可能性は十分にあります。

図(NO2/対象となる方)

画像診断は、病気の診断、重症度の判断に用いられます。そこには、画像だけでなく、検体検査の結果、服用中の医薬品なども関わります。

臨床検査技師としての勤務経験があれば、画像だけでなく、これらに触れる機会が日常的にあります。このような経験をアピールすることで、画像診断エキスパートの求人に転職しやすくなります。

臨床現場で実施される臨床研究も研究の1つ

ここまで紹介した求人は、最終的に商品を開発するための研究に従事することが仕事内容でした。具体的には、検査キット、医薬品の開発を目指した研究です。メーカーで実施されている研究の多くが該当します。

研究と一言で言っても、このような研究ばかりではありません。すでに発売されている商品を利用して、新たな知見を見出すための試験を実施する「臨床研究」も研究の仕事です。

臨床研究では、臨床現場で利用されている医薬品を患者さん(被験者)に使用します。その結果得られる効果、副作用などから、医薬品の新たな可能性を見出したり、病気の治療法の改善を目指したりします。

具体的な求人を2件紹介します。

最初の求人は、福岡県で臨床研究のサポートを主な事業内容としている一般社団法人九州臨床研究支援センターから出されている求人です。この求人では、医師主導の臨床研究の立ち上げから学会・論文発表までの支援を担当する人材を募集しています。

図(NO5/仕事内容)

そして、九州臨床研究支援センター社の求人では、臨床検査技師資格が歓迎条件として挙げられています。

図(NO5/対象となる方)

臨床研究は医療機関で実施されます。医療機関の医師や医療従事者と協力しながら進めていかなければなりません。

また、用いる医薬品を発売している製薬会社も関わります。

これらの関係者との打ち合わせを繰り返しながら臨床研究をサポートするのが、九州臨床研究支援センター社の仕事内容です。

図(臨床研究のイメージ図)

2件目の求人は、会社名は非公開ですが、臨床研究を支援するCROから出されているものです。

この求人では、臨床研究のなかのデータマネージメント(DM)を担当する人材を募集しています。

図(NO6/仕事内容)

そしてこの求人でも、臨床検査技師資格は歓迎条件に挙げられています。

図(NO6/応募資格)

臨床研究は、すでに発売されている医薬品に新たな価値を付加するために実施されます。また、臨床研究が実施されるのは、医療機関です。これまでの臨床業務に近い立場で働くことができます。

あなたが、医師、看護師などの医療専門職と共同で仕事を進める働き方を望むのであれば、臨床研究も転職の選択肢になります。

このように、臨床検査技師資格があれば、臨床研究に携わる求人に応募することができます。

臨床検査技師資格よりも研究の実務経験が優先されることが多い

ここまで、臨床検査技師資格を活かして従事できる研究の仕事内容と求人を紹介しました。

ここで注意しなければならないのは、「臨床検査技師資格がなければ応募できない求人はない」ことです。つまり、臨床検査技師資格が必須条件に挙げられることはありません。

そして、研究に従事するときに多くの求人で求められるのは、「これまで研究に従事した経験」です。

最初の章で紹介した、非臨床試験を担当する人材を募集していたシミックファーマサイエンス社の求人では、応募条件は以下の内容でした。非臨床試験の経験が必須で、臨床検査技師の資格は歓迎条件です。

図(NO4/対象となる方)

つまり、臨床検査技師資格があるだけでは応募することができません。

臨床研究に従事する求人でも同様です。前の章で紹介した社名非公開でデータマネージメントの担当者を募集している求人でも、データマネージメント経験が必須条件でした。臨床検査技師資格は「あれば望ましい」という位置づけです。

図(NO6/応募資格)

実際に、研究に従事するときに、臨床検査技師資格は必須ではありません。なぜなら、資格がなくてもここまで紹介した仕事に従事することができるからです。

臨床検査技師資格は、医療機関で検査を実施するときに必要な資格です。研究業務で必要な資格ではありません。

ここまで紹介した求人でも、臨床検査技師資格はあくまで「歓迎条件」です。研究に従事するときには、これまでの研究業務の経験が重要視されることを認識しておかなければなりません。

研究未経験者が応募できる求人を戦略的に探す

では、研究業務未経験の人は、研究職の求人に応募することができないのでしょうか。

実は求人数は少ないですが、研究経験がなくても応募できる研究職の求人はあります。ここまで紹介してきた求人のなかにも、研究未経験者でも応募できるものがありました。

 

研究職と一言で言っても、最初の章で紹介したように仕事内容は多岐に渡ります。

未経験者でも応募できる求人はありますが、あなたが活かせる専門知識や希望の勤務地などを考慮すると、満足できる転職が実現できる可能性は低いです。

研究職で働くときの年収・給料を確認する

最後に、臨床検査技師が研究職に転職したときの年収を解説します。

冒頭で紹介した会社名が非公開の求人では、以下のように400万円~600万円が提示されています。

図(NO7/年収)

ここまで計6件の求人を紹介しました。すべての求人で提示されている年収を一覧にしたものが、下の表です。

企業名

提示年収

(万円)

仕事内容

非公開 400~600 検査試薬の開発
シミックファーマサイエンス(株) 350~450 医薬品の開発
(株)マイクロン 360~540 画像診断の支援
国立研究開発法人 国立がん研究センター 時給1200円~1610円

想定年収280万円

病理組織解析
一般社団法人九州臨床研究支援センター 368~528 臨床研究の支援
非公開 400~700 データマネージメント

国立がん研究センターの求人はパートの契約であることもあり、想定年収が低いです。そのたの求人は、350万円~700万円の年収が提示されていますが、金額の幅はかなりあります。

年収350万円であれば、医療現場で働く臨床検査技師の年収と大きく変わりません。一方で、年収700万円は高い部類に入ります。

大手転職サイトdodaには、研究職の年収が年代別に紹介されています。その結果をグラフ化したものが下の図です。

図(doda/年収)

引用:XXXをグラフ化

 

まとめ


研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。