食品メーカーの商品開発・食品開発の仕事は、新商品の開発や既存品の改良です。開発に成功すると、コンビニやスーパーであなたが開発した商品を手に取ることができます。

このように商品開発・食品開発は、大きなやりがいを感じることができる職種です。では、商品開発・食品開発の求人に転職するときには、どのような経験が求められるのでしょうか。また、業界未経験者が転職を成功させることはできるのでしょうか。

ここでは、食品メーカーの商品開発職の求人に転職するときのポイントについて解説します。具体的には、会社による仕事内容の違い、転職のときに求められる経験や資格、転職を成功させる方法について順に紹介します。

商品開発の仕事内容の基本を理解する

商品開発に携わると、新商品の開発や、既存品の改良を行います。

商品開発の担当者を募集している求人は、例えば以下のようなものがあります。この求人は、東京都八王子市にあるチルド食品の製造販売を行っている会社のものです。仕事内容の欄には、レシピの検討や試作だけでなく、付帯する打ち合わせ業務も挙げられています。

典型的な商品開発の仕事内容が挙げられていますが、実はこのような求人は商品開発の求人のなかでは珍しいです。

続いて、商品開発でよくみかける求人について紹介します。

商品企画も兼任する求人が多い

商品開発の求人を転職サイトなどで検索すると、比較的多くの求人がヒットします。例えば、大手転職サイトのdodaでは、職種の「製品開発(食品・香料・飼料)」の項目には129件の求人が含まれています。

実は、これらの求人のほとんどは商品開発だけを担当するのではなく、商品企画も担当するものです。これはどの転職サイトで検索しても、同じような求人がヒットします。

実際の求人例を紹介します。この求人は東京都港区にあるお菓子メーカーのものです。仕事内容の欄には、商品開発の仕事である開発や試作品の評価だけでなく、市場調査やコンセプト立案などのマーケティング部門が担当する業務も含まれています。

ちなみにこの求人では、冒頭に「商品企画・商品開発」と記載されており、商品企画も仕事内容に含まれます。

商品開発と商品企画は言葉が類似しており、会社によってはほぼ同じ意味で使用することもあります。ただし、実際の仕事の分類は異なります。

商品開発は、新商品や既存品の試作品を検討して、新たな商品を世に送り出すための工程を担当します。一方で、商品企画はマーケティング部門が行う業務であり、市場を調査したり、どのターゲット層を狙うかを検討したりすることが仕事内容です。

これらの分類の違いは、求人サイトの分類をみても確認することができます。下に示すのは、転職求人サイト「食品転職.com」のトップページです。商品企画と商品開発は分類が異なることがわかります。

では、なぜ商品企画と商品開発を兼任する求人が多いのでしょうか。それは、企業の規模が小さいと部署を細分化できないためです。

いわゆる大手企業は、人員が豊富にいるので、それぞれの専門に特化した仕事を担ってもらうことができます。参考までに、冒頭で紹介した商品開発の業務しか仕事内容に挙げられていなかった求人は、大手企業のものです。

その一方で、会社の規模が小さいと複数の業務を兼任する可能性が高いです。

もしあなたが食品開発に従事する希望があり、マーケティング業務に関心がなければ、仕事内容をしっかりと確認して転職しなければなりません。転職した後に仕事内容の詳細がわかっても取り返しがつきません。

あなたが転職エージェントに申し込んでいるのであれば、希望の仕事内容をはっきりと伝えておくことで企業とのミスマッチを防ぐことができます。

このように、商品開発の求人に転職するときには、商品企画の仕事も任されることが多いことを認識しておく必要があります。

転職で求められる経験・スキル・資格を把握する

続いて、食品メーカーの商品開発の求人に転職するときに求められるものを確認していきます。転職に有利になる経験・スキル・資格はあるのでしょうか。

商品開発経験が必須で、未経験者の転職は難しい

商品開発の求人に転職成功させるためには、基本的には商品開発の業務経験が求められます。

下に示すのは、冒頭で紹介した求人の応募資格の欄です。5年以上の商品開発経験が必須条件に挙げられています。

私の知り合いのお菓子メーカーで商品開発に携わっている人に転職について話を訊くと、以下のように教えてくれました。

商品開発職に転職するのに一番求められるのは、開発の経験だろう。最終製品をどれだけ作ってきたかが求められる。

例えばお菓子は、最終製品は異なっても、使っている原料はほぼ同じ。どれだけ原料について知っているかが問われる。

私の会社から他社に転職して、同じようなお菓子を作っている知り合いは何人かいる。このように、食品メーカーの商品開発は転職が多いが、未経験者が転職してくることはほとんどない。

実際にdodaでヒットした129件の求人を確認しましたが、食品開発の未経験者が応募できる求人はありませんでした。

あなたがこれまで商品開発に携わった経験があれば、その経験を活かして転職活動を進めることができます。一方で、未経験者であれば根気強く求人を探すか、転職エージェントに申し込んで非公開求人を紹介してもらうなどの工夫が必要になります。

・特定の商品の開発経験がなくても転職できる

食品メーカーは取り扱っている品目数が膨大です。スーパーに行って一周回ると、多くの種類の食品が陳列されているのがわかります。例えば、下の写真は近所のスーパーの一角です。この写真に写っている商品だけでも、冷凍食品、ふりかけ、カップラーメンが含まれます。

食品メーカーと一言でいっても、冷凍食品メーカー、お菓子メーカー、インスタント食品メーカー、調味料メーカーなどに細かく分類できます。もちろんこれらの商品は、使用する原料も異なります。

実は、商品開発の業務経験があれば、異なる商品を扱うメーカーに転職することも可能です。実際の求人例を2例紹介します。

まず1例目の求人は、埼玉県行田市にある大豆を使用した製品を製造・販売している食品メーカーのものです。この求人では必須条件に「食品の商品開発の経験」が挙げられていますが、大豆製品の商品開発の経験は「あれば尚可」という位置づけです。

2例目の求人は、岡山県岡山市にあるお菓子メーカーのものです。この求人では、食品メーカーか飲料メーカーでの研究開発経験が必須条件に挙げられていますが、「商品カテゴリーは不問」です。

いずれの求人も、同じ商品カテゴリーの経験がなくても、商品開発の経験さえあれば、応募条件を十分満たします。

もちろん同じ商品カテゴリーの開発に携わった経験があれば、それに越したことはありません。ただ、異なるカテゴリーを扱うメーカーにも転職可能であることを覚えておくことで、転職先の選択肢が広がります。

英語ができれば転職活動が有利になる

日本国内の食品市場は、人口減少や少子高齢化の影響を受けて縮小傾向です。今後も急激な人口増加は期待できないので、人口が増加している海外の新興諸国への進出が始まっているのが現状です。

例えば、大手スナック菓子メーカーのカルビー株式会社は、ホームページに紹介されている経営方針で、海外市場を成長の軸として確立することを掲げています。

引用:カルビー株式会社 経営方針より

このような流れがあるため、海外の関連会社とのやり取りをする場面も増えており、転職の際に英語力が求められることがあります。

下に示す茨城県にある三菱商事ライフサイエンス株式会社は、調味料素材の製造販売を主な事業としています。そしてこの求人では、主に海外向けの素材開発の担当者を募集しており、初級以上の英語力が歓迎条件に挙げられています。

なお、日本国内で仕事をしていて、日本人と商品開発の仕事をするのであれば、英語ができなくても問題ありません。すべての商品開発の求人で英語力が求められるわけではありません。

会社によっては海外事業を積極的に展開している会社もあるので、求人票を確認するようにしましょう。あなたに高い英語力があれば、自信をもって応募することができるでしょう。

管理栄養士資格、調理師免許があればアピールできる

食品メーカーに転職しようとしたときに、取得していると有利になる資格があります。それが管理栄養士調理師です。

次に紹介するのは、香川県坂出市にある麺類の製造販売を主な事業としているさぬき丸一製麺株式会社の求人です。この求人では、調理師免許か管理栄養士免許が歓迎条件に挙げられています。

ただし、これらの資格は必須条件ではなく、あくまで歓迎条件です。必須条件に挙げられている食品業界での就労経験がなければ、これらの資格があっても応募することはできません。

また商品開発の仕事は、これらの資格がなくても従事することができます。私の知り合いでお菓子メーカーの商品開発を長年担当している人も、このような資格はもっていません。それでも問題なく仕事はできます。

もしあなたがこれらの資格をもっていれば、転職活動で積極的にアピールすればよいです。その一方で、資格がなくても悲観する必要はありません。あくまで資格よりも業務経験の方が重要視されます。

転職を成功させるためのポイント

最後に、食品メーカーの商品開発・食品開発の求人に転職成功させるためのポイントについて説明します。闇雲に求人を探したり、求人票に記載されている条件だけで判断して応募したりしても、満足できる転職は達成しにくいです。

商品開発・食品開発に向いてる人

まず未経験者であれば、商品に対する興味がなければ、商品開発への転職はやめた方がよいです。

お菓子メーカーで商品開発を行っている私の知り合いは、試作品の試食をし過ぎて、入社後10kgほど体重が増えたそうです。それでも本人は楽しそうに仕事をしています。

逆に私は日頃お菓子を食べる習慣が全くありません。私のようにお菓子に興味がない人は、お菓子メーカーの商品開発職に転職しても、熱意をもって仕事をすることができないでしょう。

このように、希望する食品メーカーが取り扱っている商品に興味・関心があることは、食品開発に転職する最低条件です。

そして、これまで商品開発・食品開発に携わった経験がある人も、転職先の商品に対する興味・関心がなければ仕事に身が入りません。

求人によっては、以下のように自社商品に対する興味・関心を条件として挙げているものもあります。この求人は、前章で紹介した三菱商事ライフサイエンス株式会社のものです。

もし求人票にこのような記載がなかったとしても、面接の際に志望動機と一緒に「なぜ当社を希望したのか」を必ず質問されます。あなたが採用する立場で考えたとき、志望先の企業の商品について全く知識がない人を採用しないはずです。

前章で説明したように、食品業界では取り扱う商品のカテゴリーが異なる会社への転職が可能です。しかし、あくまであなたが興味のある商品を取り扱っている会社から転職先を選ぶようにしましょう。

転職エージェントを有効活用する

興味関心のある商品分野が見つかったら、転職エージェントを活用して転職活動をすすめるとよいです。転職エージェントを有効活用することで、転職が成功する可能性が高まります。

転職エージェントを活用するメリットは多くあります。そのなかでも以下の2点は、あなたが転職活動をするときに大いに役立つサービスです。

  • 転職後の仕事内容を確認できる
  • 非公開求人を紹介してもらう

求人票に記載されている内容だけだと、具体的にどのような業務を担当するのか分かりにくいものもあります。そこで、転職エージェントを介して会社に具体的な業務内容を確認してもらうことができます。

もちろん、まだエントリーさえもしていない状態なので、企業側もすべての情報は公開してくれません。それでも、求人票の内容だけに比べると、転職後の仕事がイメージしやすくなります。

そして、転職エージェントを活用することで非公開求人を紹介してもらうことができます。ここまで紹介してきた求人は、すべて転職サイトに公開されている求人でした。

実は、転職サイトが取り扱っている求人のほとんどは非公開求人です。主に20代30代の求職者を対象とした求人を扱っているマイナビエージェントでは、以下のように取り扱う求人の80%が非公開求人です。

引用:非公開求人とは? – マイナビエージェントを改変

つまり、非公開求人を紹介してもらうだけで、あなたが出会うことができる求人が5倍になります。より多くの求人からあなたの希望にマッチした求人を選ぶことで、満足できる転職を成功させやすくなります。

まとめ

ここでは、食品メーカーの商品開発・食品開発の求人に転職するときのポイントについて説明しました。

商品開発の仕事は、試作品やメニュー開発を行って、新製品を生み出すことです。企業によっては、商品企画の仕事も兼任することがあるので、求人票の仕事内容をしっかり確認するようにしましょう。

ほとんどの求人で商品開発に携わった経験が求められます。また、商品カテゴリーが異なる企業への転職も可能です。

高い英語力や、管理栄養士・調理師資格があれば、転職活動を有利に進めることができます。ただし、これらのスキル・資格がなくても採用される求人は多いです。

商品開発の仕事に携わるには、企業が扱っている製品に対する興味・関心は必須です。興味のない商品を取り扱っている企業への転職は、お勧めできません。

そして、転職エージェントを活用することでより多くの求人から企業を選ぶことができ、転職の失敗のリスクを大幅に下げることができます。

研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。