製薬会社への転職を考えているあなたは、どのような理由で製薬会社への転職を希望していますか? いろいろある理由のなかで、製薬会社の高い年収も製薬会社を志望する転職理由の1つではないでしょうか。

実際製薬会社に就職すると、高い年収を得ることができます。ただし、すべての職種で高い年収をもらえるわけではありません。

もちろん「年収が高い」というだけの理由で職種を選択することはおすすめできませんが、職種ごとの年収の違いを理解しておくことは、仕事のモチベーションの維持にも関わってきます。

ここでは、製薬会社で働くときの年収、職種による年収の違いについて解説します。

会社や役職によって年収は大きく異なる

「製薬会社の年収は高い」と聞いたことがある人が多いと思います。では、実際にどの程度の年収をもらうことができるのでしょうか。

製薬業界への転職を支援しているAnswersが、2017年度の製薬会社年収ランキングを報告しているので紹介します。

2017年4月期から2018年3月期の有価証券報告書を集計したもので、トップ20を下の表で示します。誰もが知っているような大手製薬企業が多いですが、なかにはあまり聞きなれない名前の会社もあります。

順位 会社名 平均年収(万円)
1 ソレイジア・ファーマ 1576.3
2 シンバイオ製薬 1195.0
3 第一製薬 1103.9
4 そーせいG 1087.7
5 アステラス製薬 1079.4
6 大塚HD 1076.2
7 エーザイ 1044.6
8 武田薬品工業 1038.8
9 サンバイオ 1009.6
10 ペプチドリーム 993.6
11 中外製薬 953.0
12 キョーリン製薬HD 930.1
13 塩野義製薬 919.3
14 小野薬品工業 905.5
15 アンジェス 886.2
16 田辺三菱製薬 876.2
17 大正製薬HD 875.2
18 ジーエヌアイG 873.9
19 生化学工業 866.2
20 ブライトバス・バイオ 865.3

引用:【最新!2017年度】製薬会社年収ランキング トップは2年連続ソレイジア – 9社が1000万円超えより

注意しなければならないのは、あくまで平均年収なので、その会社に所属するすべての人が高年収なわけではないことです。特に未経験や経験が浅い20代などで製薬会社に転職する場合は、最初から高年収を勝ち取るのは難しいです。地道に経験を積むことで、将来的に年収が高くなるのを待たなければなりません。

下に2つの求人を紹介します。1例目は、医薬品の製剤研究の担当者を募集している求人です。この求人は製剤研究や製剤の工業化の経験(目安は3年以上)があれば応募できます。そして、この求人の提示年収は500万円~900万円です。

この求人は経験者を募集しているので、経験年数が多いと高い年収の交渉をしやすいです。逆に言えば、経験年数が少ないと高年収を勝ち取るのは難しいです。提示年収の下限付近になることも十分考えられます。

2例目の求人は、大手日系製薬メーカーの製剤研究員のリーダーを募集している求人です。非公開求人のため、求人の一部しか公開されていませんが、提示年収は1,100万円以上です。

リーダーになると、一緒に業務を行う複数の部下を管理する立場になります。そのため、経験が浅い人ではなく、ある程度の年数を経験した人がリーダーに任命されます。

1例目の求人と2例目の求人は、会社が異なります。そのため役職の違いによる年収の違いを正確に比較することはできませんが、一般社員の募集と管理職の募集では年収が異なることはわかると思います。

このように、同じ業種でも役職が異なれば年収は大きく変わってきます。

職種によっても給料は違う

製薬会社では多くの職種が働いています。どのような職種があるかを簡単にまとめたものが以下の図です。

会社によって分類は異なりますし、名称も変わってきます。そして、これらの職種はすべてが同じ給料をもらえるわけではありません。続いて、職種ごとの年収の違いについて解説していきます。

MRは20代・30代でも年収が高い

製薬会社で働く職種のなかで、若いうちから高めの給料がもらえる職種はMR(医薬品情報担当者:Medical Representative)です。MRは製薬会社が保有する医薬品の情報を医療従事者に提供する営業職です。

MRは20代・30代でも高年収をもらうことができる職種です。転職支援をしているマイナビエージェントを運営している株式会社マイナビの調査では、MR、研究・開発・分析、CRA(開発職)の平均年収は以下の通りです。

職種 平均年収
MR 580万円
研究・開発・分析 478万円
CRA 557万円

引用:MR 職種別平均年収ランキングより

引用:研究・開発・分析 職種別平均年収ランキングより

引用:臨床開発モニター(CRA)の平均年収・給料(給与)を紹介より

この統計には製薬会社だけでなく、医療機器メーカーも含まれています。そのため、純粋な製薬会社の職種ごとの比較はできませんが、MRの年収が高いことはわかると思います。

私の知り合いのMRに、MRの年収について質問をしたところ、以下のような話をしてくれました。

私が新卒でMRとして働くことにした理由の1つが「年収が高いこと」。当時結婚を考えていたので、将来家族を養うために、高い年収は魅力的だった。MRの年収は製薬会社のほかの職種と比べても高い。かなり頑張れば、30歳で年収800万円くらいもらうことができる。30代の後半になると、年収1,000万円を超えている人もいる。

会社によって異なるが、ボーナスが出来高で決まる。そして外資系だとボーナスが年に3回あり、夏・冬は一律で基本給の約2カ月分だが、春は評価が高いと基本給の6ヵ月分もらう人もいる。

MRは高い年収を手にすることができるが、MRのなかでも年収が高い人と低い人の差があることが、ほかの職種との違いかもしれない。

このように、MRは製薬会社のなかでも年収が高い職種です。そして営業職であることから、営業成績次第で年収が変動することも特徴の1つといえるでしょう。

製造オペレーターは年収が低い

製薬会社で働く職種のなかでも、製造オペレーターの年収は低めです。これには理由があり、専門知識や業務経験がなくても、短期間の研修を受けるだけでできる仕事だからです。

実際に製薬会社の製造オペレーターを募集している求人例を紹介します。この求人は医薬品だけでなく、医療機器の製造販売も行っているニプロファーマ株式会社のものです。この求人の提示年収は「250万円~」であり、ここまで紹介してきた職種と比べると低いです。

この求人の対象となる方の欄には、「学歴不問」と書かれています。つまり、高卒でも博士課程卒でもエントリーすることができます。そして、未経験者を歓迎しており、医薬品に関する知識が求められているわけでもありません。

製造オペレーターの仕事は、工場で医薬品の原薬(医薬品の有効成分)や製品を製造することです。製造するためには難しいテクニックが必要と思う人もいるかもしれませんが、実はすべての操作が定められており、誰が製造しても同じ品質のものが同じ量製造できるようになっています。

このような仕事の特徴から、専門知識や経験が全くなくても、業務を行うことができます。製薬会社の職種のなかでも、製造オペレーターは年収が低めであることを覚えておきましょう。

研究職と開発職は仕事内容に関わらず年収はほぼ同じ

研究職と開発職は、そもそも仕事内容や求められるものが大きく異なります。

例えば、研究職で探索合成を担当すると、新たな医薬品の候補化合物を合成することが仕事になります。求められるのは有機合成の知識や実験スキルなどです。

開発職のメディカルライターは、医薬品の承認申請に必要な書類を作成することが仕事内容になります。書類はパソコンで作成するので、実験をすることはありません。下の写真のように、仕事を家に持ち帰ることもできます。

そしてメディカルライターに求められるのは、臨床試験や非臨床試験で得られたデータを論理的に説明できる能力や、それぞれの職種からデータに関する情報を収集するためのコミュニケーション能力などです。

このように、研究職と開発職は仕事内容や求められる知識、スキルは異なります。しかし、それぞれの職種、担当する仕事によって年収の差はほとんどありません。

研究職や開発職に転職するためには、専門知識やその業務の実務経験が求められることが多いです。このような求人の特徴から、年収で職種を選ぶのではなく、これまでの業務経験や身についている専門知識を基に求人を探すようになります。

年収だけではない製薬会社の福利厚生の魅力

製薬会社の多くの職種は、ほかの業界と比べて比較的高い年収をもらうことができます。そして、製薬会社は年収だけでなく、充実した福利厚生も魅力の1つです。

下に示すのは、製薬会社のCRAを募集している求人の「待遇・福利厚生」の欄です。多くの内容が記載されていることがわかります。

大手外資系製薬会社でCRAとして働いている私の友人は、手厚い福利厚生を受けながら生活をしています。具体的には以下のような内容を教えてくれました。

  • 20万円を超える家賃補助を受けて東京都心で生活
  • 家を購入する場合も、一部を会社が補助してくれる
  • 子供を保育園に預けるときには、保育園代を補助してくれる
  • リゾート施設やスポーツジムを利用することができる

家賃や保育園代の補助は、収入を増やすのではなく、支出を減らすために大変助かる制度です。また、リゾート施設やスポーツジムの利用は、仕事以外の日常生活を豊かに過ごすためにも役立ちます。

そして、福利厚生の内容はすべてが求人情報に記載されているわけではありません。例えば、有給の日数や労働時間については記載されていないこともあります。

会社によっては同業他社と比べて有給が多いことがあります。また、出勤時間が定められていない会社もあります。気になる項目があれば、直接確認するか、転職エージェントを介して教えてもらうとよいです。

続いて、化学メーカーの研究職から病院の薬剤師に転職した私の友人の例を紹介します。彼は化学メーカーで手厚い福利厚生を受けていたそうで、家賃は7割程度を会社が負担してくれていました。

そして転職先の病院は、家賃補助がない病院でした。彼は転職後に家賃補助がないことを知ったそうです。そのため、転職によって若干の年収アップを達成しましたが、家賃を全額払わないといけなくなったため、最終的な手取りの給料は減ったそうです。

このように、年収だけでなく福利厚生も確認していないと、不幸な転職になってしまう可能性があります。特に、手元に残るお金を気にするのであれば、年収だけでなく福利厚生の内容も確認するようにしましょう。

年収交渉や福利厚生の確認には転職エージェントの活用が必須

せっかく働くのであれば、働いた対価として少しでも多くの給料をもらいたいと考えるのは自然なことです。

では、転職活動中に採用担当者に「年収は〇万円ほしいです」「福利厚生で家賃補助はどの程度でますか?」と言えるでしょうか。特にお金に関わる質問は印象を悪くするのではないかと考えて、直接交渉しにくい人が多いのではないでしょうか。

そこで、これらについて交渉・確認するためには、転職エージェントを活用するようにしましょう。転職エージェントはあなたに代わって年収の交渉や質問しにくい内容を確認してくれます。

前の章で紹介した化学メーカーから病院薬剤師に転職した友人は、転職エージェントを活用しなかったそうです。年収の交渉はしていませんし、福利厚生は採用が決まってから詳細を知りました。

彼の転職が不幸だったとは言えませんが、よりよい転職を実現できた可能性は十分にあるのではないでしょうか。転職後に後悔しないためにも、転職エージェントを活用して納得できる転職を成功させましょう。

まとめ

ここでは、製薬会社で働くときの年収について職種ごとの違いも含めて解説しました。

転職する会社や役職の有無で年収は変わってきますが、製薬会社で働くとほかの業界と比べて年収が高い職種が多いです。

なかでもMRは20代・30代から高い給料をもらうことができる職種です。その一方で、製造オペレーターは製薬会社の職種のなかでは年収は低めです。研究職と開発職ではほとんど差はありません。

また、製薬会社は福利厚生が手厚いことも多いです。年収ばかりに注目しがちですが、支出を減らしたり、生活を充実させたりするためにも、福利厚生を確認することは大切です。

そして、年収面だけでなく、そのほかの条件面についても転職後に後悔しないためには転職エージェントを活用するようにしましょう。転職エージェントは、あなたが交渉しにくい内容(年収など)や直接確認しにくい内容(福利厚生など)をあなたに代わって行ってくれます。


研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。