あなたは、今の会社や職場環境に何かしらの不満があって転職を考えていると思います。その不満は1つではなく、多くの不満を感じているかもしれません。
20代のシステムエンジニアは、転職を成功させやすいです。しかし、手あたり次第求人に応募しても、満足できる結果を得られるわけではありません。
20代のシステムエンジニアが転職をするときには、「現状の何に不満があるのか」を明確にする必要があります。人によって不満の内容は異なるので、満足できる求人も違います。
ここでは、20代のシステムエンジニアが転職するときの求人の探し方、押さえておくべきポイントについて解説します。
もくじ
20代のシステムエンジニアは転職成功させやすい
転職活動は、人生のなかでも一大イベントの1つです。私も一度転職をしましたが、転職活動をした当時のことを今でも覚えています。
これから転職活動をしようとしているあなたは、「ちゃんと転職できるだろうか」と不安に感じていると思います。
しかし、安心してください。20代でシステムエンジニアとして働いているあなたは、転職できる可能性がかなり高いです。その理由は、以下の2点です。
- システムエンジニアを募集している求人は転職市場に多い
- システムエンジニアの転職成功者の約半数は20代
1点目の「システムエンジニアを募集している求人数」は、転職サイトを調べてみるとわかります。
大手転職サイトのdodaで「システムエンジニア」のキーワードで求人を検索した結果が、以下の図です。日本全国で約4000件の求人がヒットします。
勤務地や活かせるスキルなどの条件を考慮しても、あなたが応募できる求人がある程度あると考えてよいでしょう。
2点目の理由の、システムエンジニアの転職年齢ですが、こちらはdodaのサイト内にデータが公開されています。
とある年の職種ごとの転職成功者の年齢割合を示したものが、下の図です。オレンジ色で示した箇所がシステムエンジニアの含まれる職種で、40%弱が20代後半です。20代前半も合わせると、転職成功者の約半数が20代です。
このように、20代のシステムエンジニアは応募できる求人が多く、転職自体は成功させやすいです。
しかし、闇雲に求人に応募しても、納得できる転職は実現できるとは限りません。それは、応募できる求人が多くても、そのなかからあなたの不満を解消してくれる求人を見つける必要があるからです。
20代のシステムエンジニアがチェックすべきポイント
20代のすべてのシステムエンジニアが同じ理由で転職を考えるわけではありません。そして、転職理由が違えば、探すべき求人も変わります。
続いて、あなたの転職理由を解決してくれる求人を見つけるための方法を解説します。
これまでの経験を活かすことができるか
あなたは、現在働いている企業で、システムエンジニアとしての開発業務を任されていると思います。
個々のシステムエンジニアの技術・知識は、全く異なります。それと同様に、求人で求められる条件もさまざまです。システムエンジニアを募集している膨大な数の求人のなかから、あなたが身につけたスキルや知識を活かすことができる求人を探さなければなりません。
実際の求人例を、2例紹介します。
1件目の求人は、株式会社アイティーナビゲートから出されている求人です。この求人では、組み込みエンジニアとして、設計・コーディング・評価業務を担当する人材を募集しています。
アイティーナビゲート社は、東京都にオフィスがある企業で、システムエンジニアリングサービス、ITコンサルティング、人材育成を主な事業としています。
そして、アイティーナビゲート社の求人の応募条件は、以下の通りです。C#、C、C++での開発経験が必須条件に挙げられています。
これらのプログラミング言語は、組み込み系のシステム開発でよく使われます。これまで組み込み系エンジニアとしてシステム開発経験があれば、即戦力として採用される可能性があります。
ほかにも、サーバーサイドのシステム開発でもこれらの言語を使うことがあります。組み込み系に限らずC#、C、C++でのシステム開発経験があれば、応募して採用される可能性が高いです。
2件目の求人は、日本システム総合研究所株式会社から出されている求人です。この求人では、金融系システムのインフラ設計・構築・運用を担当するシステムエンジニアを募集しています。
日本システム総合研究所は、金融機関の業務システム開発やネットワーク構築・運用に強みがあるIT企業です。
そして、この求人の応募条件は、以下の通りです。LinuxかWindowsのサーバーを扱った経験が必須条件に挙げられています。さきほどの求人と違い、プログラミング言語に関する記載はありません。
この求人は、webサーバーやデータベースサーバーなどのインフラを設計・構築・運用した経験があれば、応募条件を満たします。
ここで紹介した2件の求人は、いずれもシステムエンジニアをキーワードに検索してヒットした求人です。どちらも20代のあなたが応募できます。
しかし、求められるスキルや仕事で扱う対象物は全く異なります。1件目の求人は、組み込み系エンジニアなので、ソフトウェア開発を担当します。2件目の求人はインフラ設計から運用までを担当します。
システムエンジニアの業務範囲は非常に幅広いです。ここまで紹介した組み込みシステムとインフラ以外にも、セキュリティやネットワークに特化したシステムエンジニア求人もあります。IT業界でシステムエンジニアを募集している求人でも、求人によって求められるスキルは全く異なります。
あなたがこれまで身につけたスキル・知識を再確認し、応募できる求人を見極めましょう。
ブラック企業ではないか
あなたが現在働いている企業は、いわゆるブラック企業ではないですか? 完全にブラックではないにしても、「残業代が100%支給されない」「全然有給を取得できない」などの不満を感じているかもしれません。
私にはシステムエンジニアとして働いている友人が何人かいますが、そのなかの1人は以下のように話してくれました。
私が働いている会社は、入社した当時は朝まで残業したり、休日出勤をしたりすることもあった。今は残業するのが難しくなっているから、どんなに多くても残業時間は月に20時間ちょっとくらい。休日出勤をすることもなくなった。
私の会社は残業時間や休日出勤の手当てを支給してくれていたので、ブラック企業ではないが、当時はきつい生活だった。
以前は、私の友人のような経験をしたシステムエンジニアも多かったです。
今となっては法整備が進み、いわゆるブラック企業も格段に減っています。しかし、そのような流れがある中でも、労務環境が悪い企業が残っているのも事実です。
システムエンジニアを募集している企業のなかには、環境の良さや、働きやすさを求人票に記載している企業もあります。
例えば、下に示す株式会社NTTデータSMSの求人には、有給取得率と育休取得率が紹介されています。NTTデータSMS社は、ICTの企画から運用までトータルでソリューションを提供している企業です。
なお、さきほど残業時間のエピソードを紹介した友人の会社では、有給を年間20日ほど取得できています。彼はSIerで組み込み系エンジニアとして働いています。詳細について、以下の話をしてくれました。
私の会社では、「フリーバカンス制度」という制度がある。これは、5日連続で有給を取得する制度。フリーバカンス制度とは別に、夏休みを取得する「サマーバカンス制度」もある。サマーバカンス制度は、8月に5日連続で有給を取得できる。
プロジェクトによっては、これらの制度を100%利用するのが難しいこともある。その場合は、人事部からプロジェクトの責任者が注意されている。
この2つの制度とは別に、月に1日くらい有給を取得している。結果的に、1年に20日くらい有給を取得している。
また、大手電機メーカーで組み込み系エンジニアとして働いている別の友人は、有給の取得状況を以下のように教えてくれました。
年間20日有給が付与されて、そのうち18日以上取得するよう上司から指示される。もし取得できなかったら、課長の評価が下がる。
私の会社は、労働基準監督署から一度指導を受けたことがある。だから、有給取得についても厳しめの基準を設けているのではないかと思う。
このように、有給を取得しやすい企業も多いです。
育休は、女性のほとんどは100%取得していますが、男性の取得率はまだまだ低いです。
これらの休暇の取得しやすさは、会社全体の業務量だけでなく、会社や職場の雰囲気による影響が大きいです。
また、次に紹介する株式会社樋口総合研究所は、一般財団法人日本次世代企業普及機構(ホワイト財団)が主催・運営する「ホワイト企業認定」にて最上位のプラチナ認定を受けていることが求人に紹介されています。
この認定は、会社のビジネスモデルだけでなく、ワークライフバランスや働きがいも評価項目に含まれています。
このように、第三者機関からホワイト企業のお墨付きをもらっている企業であれば、より安心して応募することができます。
システムエンジニアが働く企業のなかには、有給取得率や育休取得率が高かったり、いわゆるホワイト企業の認定を受けたりしている企業もあります。
あなたが現在の会社の環境に満足していないのであれば、このような企業を探しましょう。
会社の教育制度が整っているか
転職後は、簡単なオリエンテーションを受けた後に実務を任されることが多いです。
20代でシステムエンジニアの経験が浅いうちは、「転職してすぐに活躍できるだろうか」と不安を感じている人もいます。そのような人は、転職者に対する教育制度が整備されているかを確認しましょう。
例えば、下に紹介する株式会社HRインキュベータの求人には、転職後に4カ月の研修と、その後の3年間のOJT研修が準備されていることが記載されています。HRインキュベータ社が準備している研修は、SE未経験者でも基礎から実力をつけることができるものです。
さきほど紹介したSIerで働いている私の友人は、以下の話をしていました。
私の会社には、転職者に対する研修はない。会社のルールを確認するオリエンテーションが2,3日あるくらい。そのオリエンテーションが終わったら、すぐに実務を任せられるようになる。
転職後の仕事に不安を感じている人は、研修制度が整備されている会社に転職することで、安心して業務に取り組むことができます。
これまでの経験を活かして異業種に転職することもできる
転職をするときに最もイメージしやすいのは、同じ業界内での転職です。
例えば、メーカーで組み込み系のエンジニアとして働いていれば、ほかのメーカーの組み込み系エンジニアを募集している求人を一番に探すと思います。この場合は、製造業の会社から製造業の会社への転職になります。
システムエンジニアの多くは、今の例で紹介した製造業か、SIerのようなITサービスを提供している情報通信業で働いています。システムエンジニアの転職先で、これらの業界をイメージする人が多いのではないでしょうか。
しかし、システムエンジニアが活躍しているのは、製造業と情報通信業だけではありません。ほかの業界の求人を含めて幅広く求人を探すことで、転職の選択肢を広げることができます。
ここでは、「医療業」と「金融業」でシステムエンジニアを募集している求人を紹介します。
病院の院内SEとして働く
最初に紹介するのは、病院でシステムエンジニアとして働く例です。
下に示す求人は、東京都にある伊藤病院から出されている求人です。伊藤病院の求人では、病院内のシステム構築業務やヘルプデスク業務を担当するSEを募集しています。
そして、この求人の応募条件は、以下の通りです。システム開発経験が1年程度あり、SQLのスキルがあれば応募条件を満たします。
コンピューターが発達する前は、医師の診察内容は紙のカルテに記入していました。しかし、最近では下の写真のような電子カルテに入力するのが一般的です。
病院には、検査機器や、医療費の会計システムなど、多くの電子機器やシステムが稼働しています。このようなシステムの構築・運用を担当するのが、伊藤病院の求人の仕事内容です。
金融機関のSEとして働く
続いて紹介するのは、銀行でシステムエンジニアとして働く例です。下に紹介する株式会社伊予銀行は、社内向けシステムの企画開発や自社webアプリ開発を担当する社内SEを募集しています。
伊予銀行の求人の応募条件は以下の通りです。システムエンジニアとして働いていれば、いずれかの条件を満たすのではないでしょうか。
金融機関も、多くのシステムが稼働しています。
私は、複数の金融機関で口座を開設しています。そのうちの1つの金融機関では、以下のようなweb通帳で残高や入出金履歴を確認しています。
また、別の金融機関では、残高や入出金の履歴を確認するために下の写真のようなスマートフォンアプリを利用しています。
このようなシステムの設計・開発も、金融機関で働くシステムエンジニアの仕事の1つです。
製造業や情報通信業以外の業界でも、システムエンジニアは活躍しています。幅広い業界から求人を探すことで、より満足できる転職を実現しやすくなります。
今後の年収も確認しておく
最後に、システムエンジニアの年収を確認しておきましょう。現在の年収に不満があったり、将来の年収に不安があったりして転職を考えている人もいます。
年収で満足するためには、まずシステムエンジニアの年収相場を確認しておく必要があります。
下に示すのは、厚生労働省が毎年実施している賃金構造基本統計調査の結果です。システムエンジニアが該当する「ソフトウェア作成者」と「その他の情報処理・通信技術者」の年代別の平均年収を抜粋してグラフ化しています。
引用:賃金構造基本統計調査より
このグラフの数値と、求人票に記載されている年収を比較して、年収の妥当性を判断してください。
また、求人によっては、将来のモデル年収が紹介されているものもあります。例えば、下に紹介する株式会社ピーアンドアイの求人には、33歳、38歳、42歳のモデル年収が記載されています。ピーアンドアイ社は、東京都と大阪府にオフィスを構えるSIerです。
なお、ここで紹介されているモデル年収は、さきほど提示した賃金構造基本統計調査と比較すると、やや高い水準です。すべての社員の年収が提示されているわけではありませんが、将来の年収の推移を少しでもイメージすることができます。
転職直後だけでなく長期的にみて年収に不満を感じにくくなるよう、少しでも多くの情報に触れるようにしてください。そうすることで、年収面でも満足して働き続けることができます。
まとめ
ここでは、20代のシステムエンジニアが転職するときの注意点、押さえておくべきポイントについて紹介しました。
20代のシステムエンジニアは、応募できる求人が多く、転職者数も多いです。ただし、求人を十分精査せずに応募してしまうと、なかなか採用されなかったり、転職後に後悔をしてしまったりする可能性があります。
転職理由によって、あなたが探すべき求人は変わります。あなたが感じている不満を解消できるかを見極めるようにしましょう。
システムエンジニアは、非常に幅広い業界で活躍しています。あなたが今働いている業界だけにとらわれず、多くの業界の求人に触れることで、より満足できる転職を実現しやすくなります。
求人によっては、30代、40代の社員の年収例が紹介されているものがあります。年収に不満があって転職する場合は、求人票に記載されている提示年収だけでなく、システムエンジニアの年収相場、将来の年収推移も考慮するようにしましょう。
研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。
一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。
これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。