メディカルライターの仕事は、会社によって違います。つまり、メディカルライターとして転職を考えるときに、あなたのこれまでのキャリアを活かせる求人と、ほとんど活かせない求人があります。

逆に、仕事内容は違っていても、どの仕事でも活かすことができるスキルもあります。

これからのメディカルライターとしてのキャリアパスを考えたときに、転職先は幅広いです。そのため、それぞれの求人の特徴を踏まえて、転職活動を行う必要があります。

ここでは、メディカルライターがキャリア採用を目指すときに求められるスキルや転職方法を、実際の求人例を示しながら紹介します。

キャリア採用されるときに必要なスキル、経験、資格

まず、メディカルライターが転職するときに注意しなければならないのは、メディカルライターの仕事内容は多岐に渡ることです。具体的には、以下のように分けられます。

  • 新薬の承認申請書類(CTD)の作成
  • 臨床試験を実施するときに必要な書類の作成
  • 添付文書、インタビューフォームなどの医薬品発売後に必要な書類の作成、改訂(PMSメディカルライターとも呼ばれる)
  • 医療従事者や患者さん向けのパンフレット、資料の作成(メディカルコピーライターやメディカルエディターとも呼ばれる)

それぞれの仕事で、成果物の内容は大きく異なります。例えば、臨床試験の内容説明で用いる同意説明文書と、患者さん向けのパンフレットでは、記載している内容は全く違います。

引用:日本医師会生涯教育シリーズ 臨床試験のABC 巻末資料より

そして、あなたの現在の仕事内容と、転職後に希望する仕事内容によっては、キャリア採用以外は難しい求人もあります。そのため、転職活動をするときには、これまでのあなたのキャリアパスと、就職先の仕事内容をしっかりと確認する必要があります。

CTDおよび臨床試験関連の書類作成は、キャリア採用が多い

メディカルライターの求人のなかでも、CTDや臨床試験に関連する書類作成が仕事内容に挙げられているものは、同じ業務の経験が必須条件であることが多いです。

下に示すのは、会社名は非公開ですが、CRO(医薬品開発業務受託機関)の求人です。この求人で採用されると、多くの業務に携わることになりますが、主に臨床試験の関連書類と、医薬品の承認申請資料の作成を行うことになります。

そして、この求人の「応募資格」の欄には、メディカルライティングの実務経験が必須条件に挙げられています。メディカルライティング部門や薬事部門でメディカルライターとしての実務経験があれば、このような求人に応募することができます。

例えば、広告代理店で患者さん向けのパンフレットの作成に従事してきた人は、仕事内容の欄で挙げられている書類の作成を行うことはありません。そのため、たとえメディカルライターとしてのキャリアがあっても、このような求人に応募しては、経験者として採用される可能性は低いです。

逆に、求人情報で挙げられている仕事内容の経験があれば、経験者として採用試験を受けることができます。あなたの経験を、しっかりアピールするようにしましょう。

PMSメディカルライターとメディカルコピーライターの受け入れは幅広い

メディカルライターのなかでも、医薬品発売後に必要な書類の作成や、パンフレットや資料の作成に携わる求人は、対象が幅広いことが特徴です。

下に示しているのは、インタビューフォームや添付文書の作成、改訂が主な仕事の、東京都にあるCROの求人です。

この求人の「応募資格」の欄には、同じ業務に携わった経験が挙げられています。しかし、CTDの読み書きの経験があれば、未経験者でも応募できることが記載されています。

次の求人は、広告代理店でメディカルコピーライターを募集しています。この求人の「応募資格」の欄には、メディカルコピーライターとしての経験が必須条件の1つとして挙げられています。

しかし、この求人は、メディカルコピーライターの経験がなくても応募することができます。例えば、薬剤師としての業務経験や、CRA(臨床開発モニター)として臨床試験に関わった経験、医学・薬学系の研究経験などがあれば、必須条件を満たします。つまり、未経験者でも問題なく応募できる求人です。

このように、PMSメディカルライターとメディカルコピーライターの求人は、必ずしも同じ業務の経験がなくても応募できる求人が多いです。

そしてあなたが、求人情報で挙げられている仕事内容と同じ業務に従事していれば、自信をもって応募できます。経験者として採用されるので、条件面(年収など)の交渉もやりやすいでしょう。

多くの求人で英語力が求められる

メディカルライターの仕事は多岐に渡り、作成された書類や成果物の内容は、求人によって異なります。しかし、どの仕事に従事するとしても、高い英語力が求められます。

下に示す求人は、広告代理店のメディカルライターを募集しています。この求人では英文読解力が、必須条件に挙げられています。

この求人で採用されると、医療用医薬品の広告や販売促進ツールの作成に携わることになります。これらの資料は、多くの場合、日本語が用いられています。

しかし、作成する書類が日本語でも、参考にする文献や報告書は英語で書かれていることが頻繁にあります。ときには、英語で書かれた書類を翻訳しながら資料を作成したり、逆に、日本語の資料を英訳して、海外の関連会社に送付したりすることもあります。

このような業務を行うためには、高い英語力(医療系の専門用語も含む)が必要になります。そして、求人によっては、求人情報自体が英語で記載されているものもあります。

下に示すのは、外資製薬メーカーでメディカルライターを募集している求人です。この求人は、ほぼすべての内容が英語で記載されています。

この求人にも、英語力が求められる記載があります。しかし、そのような記載がなくても、あえて英語で求人を出しているということは、採用されるために高い英語力が必要であることは明らかです。

ここで示した求人以外にも、メディカルライターを募集している求人で「英語力が必要」と記載されている求人は多いです。

転職サイトの「ミドルの転職」で「メディカルライター」のキーワードで求人を検索すると、75件の求人がヒットしました。このうち、メディカルライターの求人で、「英語力が必要」の記載があったり、TOEICの点数などで英語力を求めたりしている求人が、約8割でした。

このように、メディカルライターの経験を活かして転職するときには、英語力が求められます。どの仕事でも英語を使用する場面が多いので、転職を成功させることができても、英語の勉強は続ける必要があるでしょう。

メディカルライターの実務経験を活かして転職する

メディカルライターとしての経験があれば、就職先の選択肢は多いです。あなたのやりたい仕事内容や、希望の条件に合わせて、求人を探すようにしましょう。

では、納得できる転職を成功させるためには、どのような求人にエントリーをするのがよいでしょうか。

高年収を狙うなら製薬会社のメディカルライティング

あなたは、現在の給料に満足していますか? 支給される給料が少ないと、将来性に不安を感じ、仕事にやりがいを見出せなくなってしまいます。

実は、メディカルライターは、会社によっては比較的高い給料を支給してくれるところもあります。メディカルライターとして働くときに、高年収が提示されている求人が多いのは、製薬会社の求人です。全体的に、CROよりも製薬会社の方が、提示年収の相場は高いです。

下に示すのは、会社名は非公開ですが、東京都にある外資系の製薬メーカーの求人です。この求人で採用されると、主に新薬の承認申請書類の作成を担当することになります。

そして、この求人の提示年収は、500万円~1,400万円です。最小値と最大値の間に3倍近い開きがありますが、メディカルライターとしての実力があれば、高年収をもらえる可能性がある求人です。

もちろん、CROや広告代理店の求人でも、高い年収を提示している会社はあります。第1章で紹介したCROの提示年収は、500万円~900万円です。

そして、同じく第1章で紹介した広告代理店の求人は、600万円~800万円を提示しています。いずれの求人の年収も、決して低くはないです。

これら3社の提示年収をまとめたものが、下の表です。

会社の種類 会社名 提示年収
製薬会社 非公開 500万円~1,400万円
CRO 非公開 500万円~900万円
広告代理店 非公開 600万円~800万円

このように、メディカルライターの経験者が応募できる求人には、比較的高い年収が提示されているものもあります。そのなかでも、製薬会社の求人は特に高い年収を提示しているものが多いことが特徴です。

在宅ワーカーのメディカルライターとして自宅で働く

仕事をしていて、ストレスを感じることに、通勤の大変さと残業があります。満員電車に乗ったり、交通渋滞に巻き込まれたりしながら毎日出勤するのは、大変です。そして、時間内に仕事が終わらないと、残業をしなければならず、なかなか帰宅できません。

実は、メディカルライターの求人のなかには、在宅ワークが可能な求人もあります。つまり、基本的には自宅に居ながら仕事ができます。

下に示す求人は、CROのコアメッド株式会社のものです。コアメッド株式会社は、本社が大阪にあり、東京にもオフィスがあります。しかし、この求人で採用されると、毎日オフィスに出社する必要はなく、自宅でも仕事ができます。

この求人では、CTDと臨床試験で必要な資料を作成することが、主な仕事になります。そして、勤務形態の欄には、「在宅勤務が可能」と記載されています。

このような求人で採用されると、自宅で仕事ができるので、通勤のストレスや、残業で帰宅が遅くなることに対するストレスは軽減できます。

なお、この求人の「対象となる方」の欄は以下の通りです。これまで紹介してきた求人と同様に、CTDの作成経験と英語力があれば、基本的には応募できます。

このように、メディカルライターとしての実績があれば、在宅で働くライターに転職することもできます。

メディカルライターは年齢が高くても転職できる

一般的には、年齢が高くなると転職は難しいと言われています。大手転職サイトのdodaを運営するパーソルキャリア株式会社の調査では、転職を成功させた8割以上が20代~30代であり、年齢が上がるほど転職は難しくなる傾向があります。

引用:転職成功者の年齢調査(2018年上半期)を円グラフ化

そして、求人のなかには、年齢制限が設定されているものもあります。下に示す求人は、第1章で紹介したCROの求人ですが、24歳~40歳の年齢制限が設けられています。

もちろん、採用する側としては、少しでも若い人に入社してもらい、少しでも長く会社で働いてもらいたいと考えます。入社してすぐに定年を迎えるようであれば、企業はまたすぐに募集をかけなければなりません。

ところが、メディカルライターの求人には、中堅からベテランクラスを募集している求人もあります。下の求人の「雇用形態」の欄には、60歳を越えても採用される可能性があることが記されています。

また、次に紹介する求人は、シニアスタッフを募集しています。

このように、メディカルライターの求人は、長年経験しているベテランの人も対象にしているものが、製薬業界のほかの職種よりも多いです。そのため、40代以上のベテランの人でも転職できる可能性は十分あります。

転職サイトを活用して、納得できる転職を成功させる

では、メディカルライターの経験を活かした転職を成功させるには、どのように転職活動をすればよいのでしょうか。

複数の転職サイトを活用して、多くの求人に触れる

転職活動をするときに、多くの人は転職サイトを利用して、求人を探すと思います。このときに、複数の転職サイトを利用することをおすすめします。その理由は、転職サイトによって扱っている求人が異なるからです。

第2章で、製薬会社の求人が高い年収を提示していることと、在宅でメディカルライターとして働けることを紹介しました。紹介した求人は、いずれも転職サイトの「ミドルの転職」で見つけた求人です。

そして、ミドルの転職で、「メディカルライター」で検索すると75件の求人がヒットしました。そのうち、製薬会社の求人は3件、在宅で働ける求人はわずか1件しかありませんでした。

このように、1つの転職サイトの利用であれば、あなたの求める求人に出会える可能性は低いです。そのため、複数の転職サイトを利用して、少しでも多くの求人をチェックするようにしましょう。

転職エージェントに非公開求人を紹介してもらう

ここまで紹介した求人は、すべて転職サイトで検索して見つけたものです。実は、転職サイトに掲載されている求人は、転職サイトの運営会社が保有している求人のわずか10%~20%と言われています。

つまり、残りの80%~90%は非公開求人であり、転職サイトで検索をしても閲覧することはできません。そして、非公開求人を閲覧するためには、転職エージェントから求人を紹介してもらうしかありません。

非公開求人を紹介してもらうことで、あなたの転職先の選択肢は一気に広がります。条件面(年収、勤務形態)で納得して転職するためには、非公開求人も含めて、多くの求人のなかから転職先を選ぶとよいです。

まとめ

ここでは、メディカルライターがキャリア採用されるときの、転職活動のやり方について説明しました。

CTDの作成や臨床試験に関連する書類の作成に携わる求人は、同じ業務の経験が必須であることが多いです。一方で、市販後に必要になる資料の作成や、販売促進ツールの作成に携わる求人は、経験者だけでなく、幅広く受け入れがあります。

メディカルライターとして転職をするときには、どの仕事に就く場合でも高い英語力が求められます。

そして、転職で収入アップを狙うのであれば、製薬企業のメディカルライティングが高い年収を提示していることが多く、狙い目です。また、経験を活かして、在宅のメディカルライターとして働くこともできます。

メディカルライターの求人を探すときは、少しでも多くの求人を閲覧するようにしましょう。そのためには、複数の転職サイトを活用したり、転職エージェントから非公開求人を紹介してもらったりすることが重要です。

研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。