インフラエンジニアとして働き始めて2~3年が経過すると、今の会社で働き続けることに疑問を抱くことは珍しいことではありません。私も転職をしたのは、社会人3年目の第二新卒と呼ばれるタイミングでした。

第二新卒が応募できるインフラエンジニアの求人は、転職市場に多くあります。企業を選ばなければ、あなたが転職できないということは、まずありません。

しかし、第二新卒であっても、あなたのスキルや今後のキャリアプランを適切にアピールしなければ内定を勝ち取れないこともあります。また、視野を広げて求人を探すことが、より満足度の高い転職を実現するためには大切です。

ここでは、第二新卒のインフラエンジニアが転職するときのポイントについて解説します。具体的には、「第二新卒に期待するスキル」「転職を成功させるための方法」について説明します。

なお第二新卒は、就職後1年未満から3年目までを指すことが多いです。明確な定義があるわけではありませんが、就職後4年目、5年目の求職者を第二新卒と呼ぶことは少ないです。

ここでも、就職後3年以下の求職者を第二新卒として扱うこととします。

第二新卒を歓迎するインフラエンジニア求人は多い

まずは、第二新卒のインフラエンジニアが応募できる求人が、転職市場にどのくらいあるのかを確認してみましょう。

6万件を超える求人を取り扱っている大手転職サイトのdodaで「インフラエンジニア」で検索すると、以下のように1,000件以上の求人がヒットします。

そして、キーワードの「インフラエンジニア」に「第二新卒歓迎」の条件を加えて検索すると、下に示すように300件以上の求人が見つかります。

このように、第二新卒のインフラエンジニアが応募できる求人は多いことがわかります。

また、「第二新卒歓迎」と明記されていなくても、第二新卒のあなたが応募可能な求人はあります。具体的な求人例を2件紹介します。

1例目は、東京都に本社がある株式会社ボールドの求人です。この求人では、大阪支社に勤務するエンジニアを募集しています。ボールド社は、ネットワークやサーバーのシステム開発だけでなく、ITコンサルティングサービスや人材派遣事業も展開している企業です。

ボールド社の求人では、ITインフラの設計・構築・保守の経験が半年以上あれば応募条件を満たします。

2件目の求人は、神奈川県川崎市にオフィスがある株式会社富士通ゼネラルOSテクノロジーのものです。この求人では、インフラプロジェクトで実務経験があれば応募することができ、「経験が浅い方」も歓迎されています。

これらの求人は、第二新卒のあなたも十分対象となります。

第二新卒歓迎と記載されていない求人でも、あなたが応募要件を満たす求人はたくさんあることを覚えておきましょう。

第二新卒に期待するスキル

企業が求めているスキルを有していることは、転職を成功させるための最低限の条件です。

では、求人を出している企業は、第二新卒のインフラエンジニアにどのようなスキルを期待しているのでしょうか。

企業が求めるスキルとあなたのスキルがあまりにも乖離していると、内定を勝ち取ることはできません。

事前に求められるスキルを把握し、不採用通知をもらって辛い想いをしないように準備する必要があります。

ITインフラの運用・保守経験でもOK

インフラエンジニアの業務は、以下のように、企画・設計・構築・運用・保守のフェーズに分かれます。そして、この中で最も技術力が求められないのは「運用」「保守」の工程です。

逆に、インフラエンジニアが担当する業務のうち、企画・設計・構築の上流工程には高い技術力が求められます。

ITインフラを利用する企業・部署の要望を正確に汲み取り、性能・コスト・安全性などの多くの項目で納得してもらえるIT基盤を構築しなければなりません。

これらの作業は自動化できるものではありません。上流工程は幅広い知識や経験が求められるため、入社してまだ経験が浅い社員が任されることは少ないです。

実は、第二新卒のインフラエンジニアが転職するときには、企画・設計・構築の上流工程を経験している必要はありません。運用・保守の業務経験があれば、ほとんどの求人に応募することができます。

実際の求人例を2例紹介します。最初に紹介するのは、サーバー・ネットワークの設計構築、ストレージ製品の保守運用を担当する人材を募集している株式会社エムトラッドの求人です。

エムトラッド社の求人では、運用・保守経験が必須条件として挙げられています。

エムトラッド社は、東京都中央区にあるWEB制作やシステム開発事業を展開しているSIer企業です。この求人は、ITインフラの運用・保守の業務経験があれば、応募できる求人です。

続いて紹介するのは、東京都文京区にあるアプリケーション開発、ネットワークシステムの開発・運用を行なっている株式会社名川ネットワークの求人です。

名川ネットワーク社の求人では、サーバーの構築経験があれば歓迎されます。しかし、現在運用工程に携わっていて、上流工程にチャレンジしたい人材も歓迎することが記載されています。

これらの求人で示されているように、第二新卒のインフラエンジニアが転職するときは、上流工程の業務経験がなくても問題ありません。

もしあなたが、上流工程の仕事に関わった経験があれば強みになります。職務経歴書や面接で、あなたの経験を採用担当者にアピールするとよいです。

資格を取得していれば有利になる

インフラエンジニアが取得を目指す資格は多いです。いずれの資格も、身につけた知識・技術力を示すことができます。

そのため、働き始めてIT関係の資格をすでに取得していれば、転職活動で強みになります。

求人によっては、資格取得が歓迎条件に挙げられていることもあるので、実際の求人例を紹介します。

下に紹介するのは、富士ソフト株式会社の求人です。この求人の対象となる方の欄には、Linux関連、クラウドサービス関係、データベース関連の資格が歓迎条件に挙げられています。

富士ソフト社の求人には具体的な資格名は挙げられていません。該当する資格を一覧表にしたものが下の表です。

分類 資格名 概要
Linux関連 LPIC オープンソースであるLinuxの技術者としてのスキルを認定する資格。世界中で実施されている
LinuC LPICの日本国内版試験
VMware関連 VMware認定資格 「データセンターの仮想化」「クラウド管理と自動化」など6つのカテゴリーに分類され、それぞれに対応する製品を管理するための技術力を認定する資格
AWS関連 AWS認定資格 AWSを利用するクラウドサービスについての専門知識を有していることを認定する資格
Azure関連 Azure認定資格 Microsoft Azureについての専門知識を有していることを認定する資格
データベース関連 データベーススペシャリスト 応用情報技術者試験の上位資格。データベースに関する専門的な知識・技術も問われる

ほかにもインフラエンジニアを含むシステムエンジニアの多くが取得を目指す基本情報技術者試験と応用情報技術者試験もあります。これらの資格試験では、システムエンジニアに必要な知識を幅広く問われます。そのなかにデータベースの知識も含まれます。

なお、資格がなくてもインフラエンジニアとして働くことはできます。そのため、資格取得が必須条件に挙げられることはありません。

また、資格をまだ取得していなくても、資格取得に向けて勉強していてもアピールポイントになります。

例えば、次に紹介する株式会社セラクの求人では、「資格取得に向けて勉強している方」が活躍できることが記載されています。

セラク社は、東京都に本社があり、北海道、神奈川、名古屋、大阪、福岡に支社を構える企業です。SI事業とデジタルトランスフォーメーション事業を中心に展開しています。

セラク社の求人でも、CCNA、LPIC、基本情報技術者資格などを取得していれば有利になる資格として挙げられています。

これらの資格はいずれも受験をするために特別な制限はありません。そのため、インフラエンジニアとしての業務経験が浅いあなたでも受験することができます。

私は転職フェアに参加して、SIer企業の採用担当者と話をしたことがあります。そのとき、以下のような話を訊かせてもらいました。

やる気を示すときに、「好きだから頑張りたいです」とアピールする人がいるが、好きだけでは説得力に欠ける。

興味があれば、自ら進んで勉強をする。そういう人材を採用したい。

このように、企業は学習意欲が高い人材を求めています。資格取得に向けて学習していることは、向上心があることをアピールする材料になります。

社内SEにも転職できる

ここまで、第二新卒のインフラエンジニアが転職するときのポイントについて解説してきました。紹介した求人は、いずれもインフラエンジニアの求人です。

実はインフラエンジニアの業務経験があれば、インフラエンジニア以外の職種に転職することも可能です。具体的には、下に紹介する社内SEの求人に応募することができます。

この求人は、神奈川県に本社があるCKD日機電装株式会社のもので、社内SEを募集しています。CKD日機電装社の求人は、インフラエンジニアの業務経験があれば応募することができ、第二新卒も歓迎されています。

社内SEは、自社内のITインフラを含むシステム全般の構築・運用保守を担当します。

インフラエンジニアは、ITインフラの設計構築から運用保守を担当する職種です。つまり、社内SEと仕事内容の一部は重複しています。

実際に、CKD日機電装社の求人に挙げられている仕事内容は、以下の通りです。

ネットワークの運用保守や、サーバーの構築業務が挙げられています。インフラエンジニアが担当する業務と同じような仕事を担当することがわかります。

しかし、多くの企業では、社内SEが構築業務を担当することはありません。ITインフラの構築はベンダー企業に委託することが多く、社内SEが担当するのは、主に運用保守です。

また、社内SEはITインフラ以外にも、機器全般のトラブルの対応を任されます。

私の知り合いで病院の社内SEとして働いている人は、プリンタの調子が悪いというような簡易な不具合対応でも、社内SEに連絡があって対応すると言っていました。

彼は「普段の仕事は楽しい。しかし、『こんなことでも対応しないといけないのか』と感じる場面はある」と話していました。

また、製薬会社で働いている友人に話を訊くと、「社内SEにはパソコンを交換してもらったり、仕事で使う新しいツールをインストールしてもらったりする」と教えてくれました。

このように、社内SEはITインフラ以外の機器の運用保守も担当します。ITインフラ以外の機器全般の運用・保守を幅広く担当したいのであれば、社内SEも転職先の選択肢になります。

スキルアップしたい意欲をアピールして転職成功させる

第二新卒は、転職成功者数が多いです。そして、第二新卒を歓迎している求人も多いです。

ただし、第二新卒であればどのような求人でも応募して内定をもらうことができるわけではありません。今後どのようにインフラエンジニアとしてステップアップしていきたいのかを、適切にアピールしなければなりません。

例えば、次に示すメック情報開発株式会社の求人は、要件定義・設計などの上流工程を担当する人材を募集しています。

メック情報開発社は、東京都にオフィスを構える、ITコンサルティング、システム企画・開発・保守・運用を請け負っているIT企業です。

あなたがこれまで、ITインフラの運用・保守の工程をメインで担当して、設計などの上流工程をほとんど経験できていなくても、スキルアップの意欲があれば、このような求人が選択肢になります。

また、次に紹介する株式会社スマートソフトウェアの求人では、IT関連の実務経験があるだけでなく、「最新の技術に関心がある方」が求められています。

スマートソフトウェア社は、東京都と長野県にオフィスがあるコンピュータシステムのコンサルティングから設計・構築までを行っている企業です。

企業が取り扱うデータは昔と比べると大容量化し、データ通信量は爆発的に増大しています。そのような需要に対応するために、ストレージ装置を支える技術や通信技術も進歩が著しいです。

スマートソフトウェア社の会社ホームページには、下に示すように最新の技術を組み合わせたソリューションで顧客をサポートすることが紹介されています。

最新の技術を積極的に取り入れている企業もあり、より技術レベルが高い仕事を担当したい場合は、このような企業が選択肢になります。

転職活動をするときには、あなたが転職をして何を実現したいのかをはっきりさせなければなりません。

そして、目的を実現できる企業を探すことで、納得できる転職を達成できます。

まとめ

ここでは、第二新卒のインフラエンジニアが転職するときのポイントについて解説しました。

第二新卒であれば、ITインフラの運用・保守の工程を担当していれば、応募できるインフラエンジニアの求人は多いです。

第二新卒のインフラエンジニアのなかで、ITインフラの企画・設計・構築などの上流工程を経験している人は少ないです。上流工程を担当した経験があれば、強いアピールポイントになります。

また、働き始めて1年目、2年目で資格取得を促されることがあります。あなたがすでにサーバー・ネットワーク関係の資格を取得していれば、転職活動を有利に進めることができます。

そして、インフラエンジニアの業務経験があれば、社内SEに転職できます。会社内のITインフラの運用・保守であなたの経験を活かせます。

第二新卒のインフラエンジニアを募集している求人は多いです。転職活動を始めるときには、今後のキャリアプランを明確にして、目標を達成できる求人を探さなければなりません。

これらの情報を踏まえて転職活動をすることで、転職を成功させやすくなります。


研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。