インフラエンジニアのキャリアが長くなって転職を考えるようになると「本当に転職できるのだろうか」「転職したいけど、どのような求人に応募できるだろうか」と不安になります。

40歳を超えてインフラエンジニアで働いていれば、アピールできる技術力はあると思います。しかし、闇雲に転職活動をしてしまうと、納得できる転職を実現することはできません。

ここでは40代のインフラエンジニアが転職をするときのポイントについて解説します。具体的には、「40代インフラエンジニアの働き方」「採用されやすい求人例」について順に紹介します。

40代のインフラエンジニアは転職しやすい?

システムエンジニアの業界では、「転職は35歳まで」「40代の転職は難しい」と言われることがあります。これらの話は本当なのでしょうか。

まずは、多くの求職者の転職を支援している転職エージェントが、転職成功者の年齢を公開しているので紹介します。

多くの求人を取り扱ってるdodaのホームページには、転職成功者の年齢別の割合が紹介されています。インフラエンジニアが含まれる「技術系(IT・通信)」は、40代以上の転職成功者数は全体の14%ほどです。

IT業界ではほとんどの転職成功者が20代30代です。40代以上でも転職成功できますが、転職成功者の絶対数は少ないことがわかります。

つまり、40代のあなたが転職を成功させるためには、20代30代の若手とは異なる戦略で転職活動をしなければなりません。

40代インフラエンジニアの働き方

転職を成功させるためには、転職後にあなたのスキルを活かしてどのように会社に貢献するのかを伝えなければなりません。せっかく高いスキルがあっても、企業が担当してもらいたいと考えている仕事とミスマッチがあれば、内定を勝ち取ることはできません。

そこで、40代のインフラエンジニアが転職したときに、どのような働き方があるのかを説明します。

マネージャー職として働く

ITインフラを構築するときは、一人のエンジニアだけでは不可能です。プロジェクトチームとしてITインフラを設計・構築し、運用します。

プロジェクトチームには、必ずプロジェクトをマネージメントする管理職がいます。40代のあなたが転職するときに、管理職は選択肢の1つになります。

実際の求人例を1例紹介します。この求人は、東京都港区にオフィスがあるテクバン株式会社のものです。この求人で採用されると、若手を教育する立場での仕事を担当します。

テクバン社は、ITインフラの構築以外にもセキュリティ対策、ソフトウェアの品質向上サービスなどを展開しているSIer企業です。

そして、この求人に応募するときに必要な条件は以下の通りです。インフラ構築の経験だけでなく、プロジェクトリーダー(PL)の経験も求められます。

マネージャー職の主な仕事は、実際に手を動かして設計やメンテナンスをすることではありません。プロジェクトチームのエンジニアからの技術的な相談に乗ったり、プロジェクト全体のスケジュールや人員の管理をしたりすることです。

このような管理業務をするときには、当然エンジニアの業務内容を熟知していなければなりません。

40代まで働いていれば、後輩社員に指導をしたり、技術面のアドバイスをしたりした経験が少なからずあったと思います。

そのような経験をアピールすることで、マネージャー職への転職は実現しやすくなります。

開発のスペシャリストとして働く

インフラエンジニアの業務経験が長く、多くのプロジェクトを経験していれば、様々な技術を身につけていると思います。

転職活動のときに、高い技術力は企業が求める項目の1つです。そこで、あなたが身につけた技術力を武器に転職することができます。

前の項で紹介したように、開発経験を積むと、若手を指導・教育し、プロジェクトをマネージメントする立場になることもあります。

しかし、マネージャー職に就くと、仕事内容が変わります。インフラエンジニアとしてプログラミングをしたり、基本設計に携わったりする機会は大きく減ります。

あなたが技術者として今後もキャリアを積みたいのであれば、転職先の企業に希望のキャリアを明確に伝える必要があります。

例えば、次に紹介する株式会社ウィルオブ・ワークの求人は、ITインフラの設計・構築・運用保守を担当する人材を募集しています。

求人票に挙げられているのは、インフラエンジニアの一般的な仕事内容です。つまり、この求人で採用されれば、これまでの業務経験を活かして転職後も働くことができます。

そしてこの求人には、マネージメント職だけではなく、専門性の高いエンジニアとしてのキャリアを積めることが記載されています。

このように、これまで身につけた技術や知識にさらに磨きをかけて、スペシャリストとしてインフラ構築に携わり続けることもできます。

やりたいことを明確にして転職を成功させる

インフラエンジニアの働き方について「マネージャー職」と「開発のスペシャリスト」の2パターンを紹介しました。40代のあなたが転職をするときには、今後どのように働きたいかを明確にしておく必要があります。

20代であれば、経験が浅く、管理職に就くことはほとんどありません。そのため、「より技術レベルの高い仕事をしたい」とアピールできれば転職を成功させやすいです。

しかし、40代に求められるのは、技術力だけではないこともあります。後輩社員の育成や、教育に携わった経験を求めている企業もあります。

そして、企業が違えば、求められる経験も変わります。そのため、あなたが望むキャリアを明確にし、そのキャリアを実現できる企業を選んで転職活動をしなければなりません。

求人票にも、将来のキャリアプランについて記載されているものがあります。次に示すTDIシステムサービス株式会社と情報技術開発株式会社の合同募集求人には、以下のように記されています。

これまでエンジニアとして設計に携わってきた経験を活かして、開発のスペシャリストを目指してもよいです。後輩への技術指導を経験して、管理職への想いを強くしたことをアピールしてもよいです。

あなたのこれまでの経験を整理し、今後どのような仕事をしたいのかを明確にして転職活動をしなければなりません。

40代が採用されやすい企業を探す

冒頭で紹介したように、40代のインフラエンジニアは、20代30代と比べて転職成功者数が少ないです。そのため、40代で転職を成功させるためには、採用されやすい企業に絞って応募する必要があります。

では、40代のインフラエンジニアはどのような企業に応募すれば採用されやすいのでしょうか。

採用実績が示されている求人

最初に紹介するのは、求人票に40代の採用実績が記載されている企業です。このような企業は過去に40代のインフラエンジニアを採用しているので、あなたも採用される可能性はあると言えます。

例えば、前の章で紹介したTDIシステムサービス社と情報技術開発社の合同募集求人では、40代で途中入社して、そのあと管理職に昇進した例が示されています。

このようなキャリアを形成するには、技術力だけでなく、プロジェクトを管理する立場への想いをアピールしなければなりません。

40代インフラエンジニアの採用実績がある企業は、若手ばかり採用している企業に比べると採用される確率は高いと言えます。

40代が活躍している企業

40代の採用実績が以外にも、40代のインフラエンジニアが活躍していることが示されている求人も採用される可能性があります。

例えば、下に示すNEXT株式会社の求人には、「40代〜50代活躍中」「年齢に関係なく活躍」と記載されています。

NEXT社は、東京都港区にオフィスがある企業で、ITインフラ構築、人材派遣、R&D事業など幅広い分野でIoTを活用したサービスを提供しています。

20代の人材を採用したいと考えていれば、このような記述は載せません。あえて40代50代が活躍していることを求人票に載せているということは、その年代のインフラエンジニアが応募しても採用される可能性があると考えてよいです。

あなたの希望にマッチした企業を転職エージェントに紹介してもらう

40代インフラエンジニアが採用されやすい求人を紹介しました。しかし、これらの求人のように採用実績や40代の活躍についてわかりやすく記載されている求人は少ないです。

多くの求人は、年齢に関する記載がありません。では、どのように求人を探して、転職を成功させればよいのでしょうか。

応募できる求人に手当たり次第応募してもよいですが、時間がいくらあっても足りません。求人に応募するときには、会社ごとに志望動機を考えなければならないですし、頑張って応募して不採用の返事をもらうのは気分が良いものではありません。

そこで、有効な手段の1つに「転職エージェントから求人を紹介してもらうこと」があります。

転職エージェントは、求職者と企業をつなげるサービスを提供しています。転職エージェントは、企業が「なぜ求人を出すのか」「どのような人材を採用したいか」を把握しています。

つまり、あなたに紹介される求人は、あなたが応募して採用される可能性が高い求人です。

私が転職をしたときも、転職エージェントのサービスを利用しました。私の場合は、化学メーカーから製薬メーカーへの転職だったので、業界未経験者の採用は難しい状況でした。

しかし、転職エージェントの担当者が「化学の知識がある」「学術論文の作成経験が多い」ことを売りにできるとアドバイスをくれました。その結果、私の知識・スキルを十分に活かすことができる求人を紹介してもらえ、無事転職することができました。

冒頭でも紹介したように、40代のインフラエンジニアは20代30代と比べて転職成功者が少ないです。転職を成功させるためには、あなたが採用される可能性が高い求人に出会うための工夫をしなければなりません。

まとめ

ここでは、40代のインフラエンジニアが転職するときのポイントについて解説しました。

転職で年齢制限は禁止されているので、40代でも転職を成功させることはできます。しかし、20代30代と比べて40代の転職成功者数が少ないです。

転職を成功させるためには、今後どのようなキャリアを積みたいのかを明確にしなければなりません。マネージャー職を目指すのか、開発のスペシャリストを目指すのかを決める必要があります。

40代のインフラエンジニアが採用を勝ち取るためには、闇雲に転職活動をしても内定を勝ち取るのは難しいです。採用されやすい求人に集中的に応募しなければなりません。

40代が採用されやすい求人は、「40代の採用実績が示されている求人」「40代の活躍が示されている求人」です。これらの求人に集中的に応募することで内定を勝ち取りやすくなります。

ほかにも、転職エージェントからあなたに合った求人を紹介してもらうことも有効な手段です。

これらの情報を踏まえた上で転職活動をすることで、転職を成功させやすくなります。


研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。