インフラエンジニアは、ITインフラに関する幅広い知識・経験を有しています。ITインフラに関する知識は、インフラエンジニアだけに求められるわけではありません。

そのため、これまでの経験を活かして、ほかの職種にキャリアチェンジすることができます。現在の仕事内容に不満があれば、あなたの興味がある仕事を担当できる企業・職種に転職を考えることは自然なことです。

では、具体的にはどのような職種の求人に転職することができるのでしょうか。

ここでは、インフラエンジニアがほかの職種にするときの転職方法を具体的な求人例を示しながら解説します。

インフラエンジニアはITインフラの技術・スキルを有している

転職の時は、あなたの経験・知識・技術を活かせる求人に応募するのがセオリーです。

インフラエンジニアが転職を考えるときに、最もハードルが低いのは、インフラエンジニアの求人に転職することです。

しかし、あなたはインフラエンジニアとしての仕事に何かしらの不満を抱えているはずです。ここでは、インフラエンジニアへの転職については触れません。

そして、全く未経験の仕事に転職するのは、ハードルが極めて高いです。例えば、インフラエンジニアとして働いていた人が、製薬会社の研究職に転職することは不可能です。理由は単純で、知識・経験がなさすぎるからです。

ここでは、インフラエンジニアとして働いて身につけた知識・技術を活かせる職種を紹介します。

インフラエンジニアは、ITインフラの企画から運用保守までを担当する職種です。

そして、仕事で取り扱う機器は多岐に渡ります。サーバー機器、ネットワーク機器、端末機器などのハードウェアだけでなく、通信を制御するためのソフトウェアの構築・運用も行います。

これらのIT機器を取り扱った経験や、仕事で身につけたスキルを活かすことができる職種について、次の章から解説します。

インフラエンジニアが転職できる求人例

では、具体的にどのような職種に転職できるのでしょうか。ここでは以下の3つの職種について求人例を紹介します。

  • インフラエンジニア以外のシステムエンジニア
  • セールスエンジニア
  • 社内SE

いずれの職種も、インフラエンジニアで身につけた知識・技術・経験を活かすことができます。

インフラエンジニア以外のシステムエンジニアに転職する

最初に紹介するのは「インフラエンジニア以外のシステムエンジニア」です。

ここで紹介する求人は、webエンジニアを募集している求人です。この求人は、東京都港区にオフィスがある株式会社ブリーズカーネルのものです。

ブリーズカーネル社は、インフラ構築・運用だけでなく、SES事業やアプリケーション開発事業も展開しているIT企業です。

そして、この求人の「対象となる方」の欄には、インフラ開発の経験があれば応募できることが記載されています。

webエンジニアは、ITインフラのなかでもwebサーバー上で稼働するアプリケーションの開発を行う職種です。

インフラエンジニアがwebサーバーの構築をするときには、サーバーのスペックを決定するために、webアプリケーションのことを理解しておく必要があります。

なお、インフラエンジニアとwebエンジニアが扱うプログラミング言語は異なります。インフラエンジニアからwebエンジニアに転職した場合、すべての業務経験をそのまま活かせるわけではありません。転職した後も、新たなプログラミング言語の習得をしなければなりません。

インフラエンジニアとして働いていれば、ITインフラに関する知識や技術には長けているはずです。これらを活かしてwebエンジニアに転職することができます。

セールスエンジニアにキャリアチェンジする

続いて紹介するのは、セールスエンジニアにキャリアチェンジする方法です。

セールスエンジニアは、客先企業にITソリューションを提案する営業職です。転職すると、インフラエンジニアの知識を活かして、客先企業が求めるITインフラを提案することが仕事内容になります。

会社によっては、エンジニアとして働きながら、必要時のみ営業担当者に同行して客先企業を訪問することもあります。

セールスエンジニアの求人は、下に紹介するNECネッツエスアイ株式会社の求人が該当します。NECネッツエスアイ社は、情報通信システムのサービスを提供しているSIer企業です。

NECネッツエスアイ社の求人で採用されると、ITインフラサービスのプロモーション業務を担当します。

プロモーション業務とは、客先企業の課題を解決するためのソリューションを提示し、自社サービスの導入につなげる仕事です。そのため、ITインフラに関する知識・技術力だけでなく、営業スキルも求められます。

この求人の「対象となる方」の欄には、3年以上のインフラエンジニア経験に加えて、システムインテグレーションの営業経験も挙げられています。

あなたが、インフラエンジニアとして営業担当者に同行して、ソリューションの提示・契約を経験していれば、十分に応募条件を満たします。

営業担当者は、インフラエンジニアと比べるとITインフラの知識が乏しいです。そのため、営業担当者だけでは客先企業に適切な提案をすることは難しいです。

ITインフラの知識が豊富なセールスエンジニアが客先を訪問することで、顧客満足度の高いITインフラの構築に貢献することができます。

社内SEへの転職

最後に紹介するのは、社内SEの求人です。社内SEは、所属する企業で利用するITインフラを含む機器全般を管理・運用を担当します。

ITインフラは、あらゆる企業で利用されています。そのため、社内SEに転職しても、インフラエンジニアの業務経験を活かすことができます。

次に紹介する社内SEの求人は、大手保険代理店のほけんの窓口グループ株式会社のものです。この求人で採用されると、保険事業を支える社内サーバーやネットワーク機器の企画・設計・構築・管理運用などを担当することになります。

そして、この求人はサーバーやネットワークの設計、構築、運用経験があれば応募することができます。インフラエンジニアとして働いていれば十分に応募条件を満たすと思います。

社内SEに転職すると、ITインフラを取り扱いますが、関わり方がインフラエンジニアとは少し異なります。

まず、社内SEは設計・構築を行うことはありません。これらの工程はベンダー企業に委託します。

社内SEが担当するのは、企画と運用保守の工程です。企画の工程もベンダー企業と共同で実施するため、ほとんどの業務は運用保守です。

また、ITインフラ以外にも、電子機器全般の保守依頼をされることもあります。

私の知り合いで病院で働いている社内SEがいます。彼は、病院内のプリンタやコピー機の調子が悪くなっても連絡があって対応すると教えてくれました。

図(プリンタ修理中の写真)

また、別の知り合いが働く人材派遣会社では、インフラエンジニアが所属する部署と社内Seが所属する部署は異なるそうです。インフラエンジニアは自社内のITインフラの企画から運用保守までを担当し、社内SEは雑用に近い仕事を担当していると教えてくれました。

社内SEはITインフラ以外の機器全般の運用保守を主に担当することを覚えておきましょう。

やりたいことを明確にして転職を成功させる

ここまで、「インフラエンジニア以外のシステムエンジニア」「セールスエンジニア」「社内SE」の求人と、具体的な仕事内容を紹介しました。

いずれの職種も、転職後もITインフラに関わります。しかし、そのかかわり方は大きく異なります。

図(職種の違い)

転職を満足できるものにするためには、まずあなたが転職で何を実現したいのかをはっきりさせなければなりません。転職後にどのように働きたいのかを明確にしておく必要があります。

もしあなたが、今後の働き方をイメージしにくければ、転職エージェントに相談するのも有効な手段です。私も転職活動のときには転職エージェントに登録して、担当者からアドバイスをもらいました。

私が転職を決意したときはうつ状態で、今後どのように働きたいかを考える余裕は全くありませんでした。

そんな私にも転職エージェントの担当者は、私の経歴・経験・知識の活かし方を考えてくれ、何度も電話でアドバイスをくれたことを覚えています。

転職エージェントの担当者が紹介してくれた求人は、元々働いていた研究職ではなく、別の職種でした。最初は「なぜこんな求人を紹介するんだろうか。興味が湧かないなあ」と考えていました。

しかし、担当者と話をするにつれて、私の経験・知識を活かすことができる職種であることが理解でき、転職を決意しました。今では、転職前と比べて仕事だけでなくプライベートも充実した生活を送れています。

図(転職エージェントの仕事)

闇雲に転職活動をするのではなく、一度落ち着いて今後の働き方を考えることで、満足できる転職を実現しやすくなります。

まとめ

ここでは、インフラエンジニアが他職種に転職するときのポイントについて解説しました。

インフラエンジニアは、ITインフラの企画から運用保守までを担当します。取り扱う機器は多岐に渡るので、あなたはすでに多くの知識・技術力が身についています。

インフラエンジニアの経験を活かして転職できる職種は「システムエンジニア」「セールスエンジニア」「社内SE」が挙げられます。これらの職種での働き方は職種ごとに大きく異なります。

転職活動をするときには、あなたが転職後にどのように働きたいかをイメージして転職活動をしなければなりません。明確なイメージが湧きにくいのであれば、転職エージェントのサービスを受けて、転職後の働き方についてアドバイスをもらうことも有効な手段です。

以上を踏まえて転職活動をすることで、納得できる転職を実現しやすくなります。


研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。