40代までwebエンジニアとして勤務していると、「職場環境を変えたい」「もっと高い年収をもらいたい」と考えて、転職を検討することは自然なことです。
実際に40代のwebエンジニアのなかには、転職を成功させてキャリアアップや年収アップを実現している人がいます。
ただし、40代のwebエンジニアが転職をするときには闇雲に求人を探しても、納得のできる転職を実現することはできません。戦略的に転職活動を進める必要があります。
ここでは、40代のwebエンジニアが転職を成功させるための転職方法について解説します。具体的には、「40代のwebエンジニアに求められるスキル・経験」「40代のwebエンジニアの年収相場」「希望に合った求人の見つけ方」を順に解説します。
もくじ
40代の転職事情を理解する
webエンジニアに限らず、「40代になると転職が難しい」という話を聞いたことがあると思います。では、現実に40代のwebエンジニアはどのくらいの人数が転職を成功させているのでしょうか。
大手転職サイトのdodaを運営しているパーソルキャリア株式会社の調査結果を下に示します。IT・通信業界の技術者は、転職成功者のうち14.4%が40歳以上です。
引用:みんなは何歳で転職している?転職成功者の年齢調査(2019年上半期)より
つまり、80%以上の転職成功者は40歳未満です。この調査結果からは、40代のwebエンジニアの転職は20代や30代の前半と比べて難しいことがわかります。
40代のwebエンジニアが転職を成功させるためには、闇雲に求人を探していてもなかなか満足できる求人を見つけることはできません。転職成功のためには、戦略的に転職活動を行う必要があります。
40代のweb系エンジニアに期待するスキル・経験
転職を成功させるためには、企業が求めるスキル・経験をアピールしなければなりません。あなたはこれまでwebエンジニアとして働いてさまざまな経験をし、多くのスキルを身につけていると思います。
続いて、具体的にどのような経験やスキルが転職で求められるのかを解説します。
即戦力で働くことができる開発経験
40代までwebエンジニアとして働いていると、単一の業務だけでなく、複数の業務を経験していると思います。多くの経験を積むことで、webアプリケーションを開発・設計するために必要なスキルを幅広く身につけていることでしょう。
例えば、webエンジニアになりたてのときはCSSを学んでフロントサイドの仕事を担当し、後にPHPを学習してサーバーサイドエンジニアとして活躍している人もいます。
webエンジニアの仕事内容は、扱う技術が同じであれば、職場が変わっても活かすことができます。webエンジニアとして一人前になっていれば、同じ技術を扱っている会社に即戦力として転職しやすいです。
下の求人は、会社名は非公開ですが、愛知県名古屋市にある会社の求人です。この求人では、会社のホームページ改修が主な業務で、ホームページを活用したWebマーケティングを行えるような人材を募集しています。
この求人は、人員補充目的で人材を募集しています。1名で担当している業務を割り振られることになります。
webエンジニアとしての業務経験が浅いと、実力が不足しており、戦力になりません。さまざまな業務を経験し、一人前のwebエンジニアとして開発に携わることができるような人材であれば、このような求人に応募することができます。
プロジェクトをマネジメントした経験
webエンジニアとしての勤務経験が豊富になってくると、後輩のwebエンジニアを指導・管理した経験があるのではないでしょうか。私の知り合いで未経験からwebエンジニアになった人は、30代~40代の先輩エンジニアから多くの指導を受けたと教えてくれました。
また、プロジェクトの全体を把握しながらプロジェクトマネージャーの下で、プロジェクトを管理・運営した経験もあるかもしれません。
求人によっては、このような経験をアピールすることで、採用されやすくなる求人もあります。
次に紹介するアライドアーキテクツ株式会社の求人は、プロジェクトマネージャー職(PM職)を募集しています。必須条件は5年以上のwebサービス開発経験ですが、歓迎条件の1つにプロジェクト管理経験が挙げられています。
アライドアーキテクツ社は、東京都にオフィスを構え、ソーシャルテクノロジーによるマーケティング支援を主な事業としている企業です。
プロジェクトマネージャーは、webアプリケーションの設計やコーディングに直接関わることはほとんどありません。
プロジェクトマネージャーの主な仕事は、プロジェクトの予算や人員、スケジュールの管理をすることです。そして、webエンジニアは下図のように、プロジェクトリーダーの指揮の下で仕事をします。
アライドアーキテクツ社の求人では、以下のように「開発における意思決定」や「開発チームのリーディング」が仕事内容に挙げられています。
プロジェクトマネージャーの経験がなくても、プロジェクトリーダーとして現場をまとめたり、プロジェクトマネージャーと協力して予算や人員のやりくりをしたりした経験があればこのような求人でアピールできます。
今後携わりたい仕事内容や働き方を整理しておく
さきほどの項で紹介したように、40代の転職ではプロジェクトマネージャークラスの求人に転職することが選択肢の1つになります。
ただし、プロジェクトマネージャーになると、開発の担当者としてwebアプリケーションの設計をしたり、プログラミングをしたりする頻度は減ります。
その一方で、40代でも技術者としてスキルを磨き続けることで、開発に携わり続けることもできます。40代や50代でも開発に携わる人はいます。
つまり、40代で転職する場合は、webアプリケーションの開発に最前線で携わるか、開発メンバーを束ねる立場で働くのかを考えなければなりません。
プロジェクトマネージャーはあくまで働き方の選択肢の1つにすぎません。webエンジニアのなかには、開発の最前線で働き続けることを希望する人もいます。
例えば、下に紹介する株式会社アイティーシェルパの求人では、年齢を重ねても開発に専念できることが記載されています。開発のメンバーとして働き続けたい人は、このような求人に応募するとよいです。
知り合いのwebエンジニアに、40代のwebエンジニアの働き方について話を訊くと、以下の話を教えてくれました。
私の職場には40代で転職してきたwebエンジニアが何人かいる。その人たちのほとんどは、プロジェクトリーダー→プロジェクトマネージャー→部長と昇進していった。
ただ、なかには開発をし続ける人もいる。プロジェクトマネージャーになることが昇進のすべてではない。
webエンジニアとしての技術を高めて、開発に携わり続けることでも年収を上げることはできる。要するに、webアプリケーションの開発にどのように関わりたいかによる。
40代までwebエンジニアとして働くと、当然プロジェクトを管理する立場への異動はあり得ます。転職活動の際には、あなたが今後webエンジニアとしてどのように働きたいのかを整理しておかなければなりません。
40代の年収相場を理解して、転職失敗を防ぐ
年収は仕事のモチベーションにもつながる重要な要素です。あなたは現在の年収に満足していますか? より高年収を求めて転職を検討している人もいるかもしれません。
続いて、40代のwebエンジニアがどのくらいの年収をもらうことができるのかを確認しましょう。
厚生労働省が毎年調査・報告している賃金構造基本統計調査によると、webエンジニアを含むシステムエンジニアの年代別の年収は下のグラフの通りです。40代の年収は、男性がおよそ600万円、女性は500万円台です。
引用:令和元年賃金構造基本統計調査をグラフ化
この数値と比べてあなたの年収が極端に低いようであれば、転職によって年収アップを実現できる可能性が高いです。もちろん、アピールできるスキル・実力が伴っている必要があります。
採用される企業を見つけ出す戦略
最初の章で、40代のwebエンジニアの転職は可能だが、20代30代と比べると転職者数が少ないことを紹介しました。
では、実際に転職活動をするときには、どのように求人を探すことで転職を成功しやすくなるのでしょうか。また、求人票のどの部分をチェックすることで、採用されやすい求人を見つけることができるのでしょうか。
40代の採用実績を確認する
冒頭で紹介したように、webエンジニアを含むIT・通信業界の技術者は、20代30代の方が、転職成功者が多いです。
企業の採用担当者は、同じスキルを持っているwebエンジニアであれば、少しでも若い人材を採用したいと考えます。あなたが採用担当者なら、同じように考えるはずです。
そこで、40代でも採用されやすい求人を見つける方法の1つは、40代が採用された実績が公開されている求人を見つけることです。
下に紹介する株式会社ウィルオブ・ワークの求人は、求人票に40代の採用実績が紹介されています。
このような企業であれば、確実に40代の採用実績があるので、応募して採用される可能性が高いです。
また、ウィルオブ・ワーク社の求人では「PL/PMの志望者」「マネジメント経験を活かしたい人」の応募を歓迎しています。
あなたがこれまでにプロジェクトをマネジメントした経験があれば、このような求人に積極的に応募することで転職を成功させやすくなります。
高年収を提示している求人を狙う
開発メンバーを束ねるリーダーやプロジェクトマネージャーは、責任に伴って年収も高くなります。そのため、経験豊富な40代が応募できるマネージャークラスの求人は、提示されている年収が高いことが多いです。
プロジェクトマネージャー職を募集していたアライドアーキテクツ社の求人では、以下のように550万円以上の年収が提示されています。
実は、同じアライドアーキテクツ社でリーダー候補、つまり平社員を募集している求人が同時期に出されていました。その求人では、下図のように450万円以上が提示されており、プロジェクトマネージャー職よりも低いです。
前の章で紹介したように、40代のシステムエンジニアの平均年収はおよそ600万円です。もちろん、会社によっては、同じ年代でも年収が大きく異なることもあります。
低い年収が提示されている求人は、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーのようなポジションの募集ではない可能性が高いです。そのため、闇雲に応募しても、あなたのキャリアとマッチせずに後悔することになりかねません。
転職エージェントから非公開求人を紹介してもらう
最後に紹介するのは、転職エージェントから公開されていない求人(非公開求人)を紹介してもらう方法です。
ここまで5件の求人を紹介しましたが、これらの求人は求人サイトで検索をすることで誰でも閲覧することができます。
実は、求人サイトが公開している求人は、取り扱っている求人のごく一部です。多くのエンジニア求人を取り扱っているType転職エージェントは、下図のように取り扱っている求人のうち80%は非公開求人と紹介しています。
つまり、非公開求人を紹介してもらうことで、あなたが触れることができる求人数は5倍になります。
40代のwebエンジニアは、20代30代と比べて転職成功者の数が少ないです。少しでも多くの求人に触れて、あなたの希望に沿った求人を見つける努力をしなければ、満足できる転職を達成することはできません。
まとめ
ここでは、40代のwebエンジニアが転職成功するためのポイントについて紹介しました。
40代のwebエンジニアには、即戦力として働くことができる技術力や、プロジェクトをマネジメントした経験が求められます。あなたの強みを分析し、転職後にどの立場のwebエンジニアとして働きたいかを整理しておきましょう。
40代のシステムエンジニアの年収相場は、およそ600万円です。600万円よりも極端に低い年収が提示されている求人は、若い年齢層を狙った求人の可能性があります。
40代は20代や30代と比べて転職成功者数が少ないので、戦略的に転職活動を進めなければなりません。
求人票を見るときには、40代の採用実績があるかを確認することで、採用されやすい求人を見つけやすくなります。そして、高い年収が提示されている求人は、プロジェクトマネージャーや上位職を募集していることが多いので、あなたの求めている求人の可能性があります。
また、転職エージェントから非公開求人を紹介してもらうことで、より多くの優れた求人に触れることができます。
これらのポイントを押さえて転職活動をすることで、転職失敗を防ぎやすくなります。
研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。
一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。
これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。