40代で転職を成功させることは、20代、30代と比べて難しいです。実際にあなたの周りでも、40代で転職したシステムエンジニアは少ないと思います。

では、40代のシステムエンジニアが転職できないかというと、そんなことはありません。

戦略的に求人を探すことで、あなたに合った求人を見つけ、満足できる転職を実現できる可能性は十分あります。むしろ、正しく求人を選ぶことで、若いシステムエンジニアよりも採用されやすいこともあります。

ここでは、40代のシステムエンジニアが転職を成功させるための戦略、求人探しのポイントを解説します。

システムエンジニアは40歳を超えても転職できる

40代システムエンジニアのあなたが転職を考えるときに、一番気になるのは「今の年齢で転職できるだろうか」ということだと思います。まず、実際に40代のシステムエンジニアがどのくらい転職を成功させているのかを確認してみましょう。

大手転職サイトのdodaを運営しているパーソルキャリア社が、転職成功者の年代構成を公開しています。その結果が下の図です。システムエンジニアが含まれる箇所をオレンジ色で示しています。

システムエンジニアの転職成功者の約半数が20代で、30代までが約8割を占めます。しかし、約2割は40代です。つまり、40代でも転職を成功させることは可能です。

40代のシステムエンジニアであれば、システム開発や運用の経験年数を積んでいると思います。そのため、あなたが応募条件を満たす求人は転職サイトなどで探すと比較的簡単に見つかります。

しかし、そのような求人のすべてであなたが採用されるわけではありません。その理由は、求人を出している企業は少しでも若い人材を採用したいと考えているからです。

例えば、25歳で業務経験が3年のシステムエンジニアと、45歳で業務経験が23年のシステムエンジニアが応募してきたときに、あなたが採用担当者ならどちらを採用しますか?

求める技術レベルが極端に高かったり、プロジェクトをマネジメントする立場での採用であったりすると、40代のシステムエンジニアを採用するかもしれません。

しかし、多くの場合は20代のシステムエンジニアの方が優先されます。それは、若い人材の方が少しでも長く会社に貢献してくれるからです。

求人によっては年齢制限が設けられている

さきほど解説したように、会社は少しでも若い人材を採用して、長期的に会社で活躍してもらいたいと考えています。そのため、求人によっては年齢制限が設けられていることがあります。

例えば、下に紹介する株式会社Just.Assistの求人は、45歳未満が条件に挙げられています。この求人では、web系のシステムエンジニアを募集しています。

募集・採用において、年齢制限を設けることは、雇用対策法で禁止されています。しかし、この法律では、一部の例外が認められています。そのなかの1つが、「長期キャリア形成を目的とした場合」です。

なお、Just.Assist社の求人は、45歳未満が応募条件ですが、同じ理由で「35歳未満」「40歳未満」の年齢制限を設けているシステムエンジニア求人もあります。

つまり、システムエンジニアとして経験や高い技術力があっても、求人によっては応募さえできない可能性があることを覚えておきましょう。

40代のシステムエンジニアが採用されやすい求人を探す方法

年齢制限がされている求人について解説しましたが、求人に年齢制限が記載されていなかったとしても、企業は少しでも若い人を採用したがります。

求人に応募するときには、履歴書や職務経歴書の準備や、企業研究、面接対策など、多くの準備が必要です。最終的に内定をもらえなければ、せっかくの準備がすべて無駄になります。不採用だった時の精神的なダメージは大きいです。

そのため、40代のシステムエンジニアが転職を成功させるためには、採用されやすい求人を戦略的に探して応募しなければなりません。

ここからは、40代のシステムエンジニアがどのような求人に応募することで採用されやすいかについて紹介します。

経験豊富な人材を募集している求人を狙う

最初に紹介するのは、システムエンジニアとしての豊富な経験が求められる求人です。下に紹介する株式会社ヒューマンテクノロジーズの求人では、応募条件に「社会人経験10年以上のベテラン大歓迎」と記載されています。

ヒューマンテクノロジーズ社は、東京都港区にオフィスを構えるクラウドサービスの開発・提供に強みがある企業です。

この求人では、開発業務だけでなく、商談への同席や社内のエンジニアとの調整業務も担当します。

システムエンジニアとしての業務経験を積むと、開発業務以外に業務の幅が広くなることが多いです。

システムエンジニアとして働き始めて間もない頃は、自社内での開発業務や後輩社員の指導が業務の中心です。経験年数が多くなると、顧客との折衝や、複数の部署間の調整業務の一部を担っているかもしれません。

部署間の調整業務などは、次の項で紹介するPL(プロジェクトリーダー)やPM(プロジェクトマネージャー)が主に担当する仕事です。しかし、これらのポジションに就いていなくても、PLやPMの業務の一部を一般の開発メンバーに割り振られることは普通にあります。

40代のあなたが、開発業務以外にこれらの業務を経験しているのであれば、アピールポイントになります。

このような経験豊富な人材を募集している求人は、40代のシステムエンジニアの方が応募して採用される可能性が高いです。

PL(プロジェクトリーダー)やPM(プロジェクトマネージャー)を募集している求人を狙う

続いて紹介するのは、PLPMを募集している求人です。

次に紹介するコベルコシステム株式会社の求人では、PLやPMの候補を募集しています。担当する仕事内容は、プロジェクトの全体管理です。

コベルコシステム社は、兵庫県神戸市に拠点がある企業です。製造業を中心にシステムコンサルティングやシステム構築、インフラ設計を展開しているIT企業です。

そして、コベルコシステム社の求人の応募条件は、以下の通りです。

オープン系システムの開発経験と、サブリーダー、PL、PMなどの経験があれば応募条件を満たします。実際にこれらのポジションでチームやプロジェクトをまとめた経験があれば自信をもって応募できます。

またさきほども触れましたが、40代までシステムエンジニアとして働いていたら、開発の実務以外の仕事を任される機会が徐々に増えていると思います。例えば、複数の後輩社員の教育担当を任せられたり、顧客との対応の一部を任せられたりした経験があるかもしれません。

そのような経験を活かすことで、PLやPMクラスの求人に応募できます。

システム開発に特化した人材を募集している求人

さきほどは、チームやプロジェクトを管理する立場への転職を紹介しました。一方で、管理する立場ではなく、開発に専念したいと考えるシステムエンジニアもいます。

あなたが「チームをまとめるのは苦手だ。できれば開発業務だけ担当したい」と考えているのであれば、開発のスペシャリストとして採用される求人を探すようにしましょう。

例えば、下に紹介するインテレット株式会社では、Javaによる開発のスペシャリストを募集しています。

インテレット社は、東京都千代田区にオフィスがある、金融系のシステム開発を得意としているSIerです。

そして、インテレット社の求人の応募条件は、以下の通りです。Javaによる開発経験以外に、管理業務ではなくエンジニアとして技術を突き詰めたいことが必須条件に挙げられています。

40代のあなたがJavaでの開発経験が豊富にあり、技術力に自信があれば、このような開発のスペシャリストを募集している求人に応募してみてもよいです。

実際に私の知り合いの中には、システム開発のスペシャリストとして活躍している40代のシステムエンジニアがいます。彼は仕事内容について、以下のように話をしてくれました。

私は、PLやPMが行うスケジュール調整や顧客対応などを任せられることはない。

社内のさまざまなプロジェクト担当を依頼されて、開発業務だけを担当している。プロジェクトの規模が小さいものは、1人で開発を担当することもある。

このような求人を探すことで、あなたの技術力を活かして、開発のスペシャリストとして働き続けることもできます。

40代を中途採用している実績がある企業を狙う

会社が40代の人材の採用に対して前向きかを知ることができれば、より効率的に転職活動を進めることができます。40代の採用について確認できる1つの方法は、求人票を確認することです。

例えば、次に紹介するSWITCH株式会社の求人では、年収の欄に45歳のシステムエンジニアを採用した実績と、そのときの年収が紹介されています。

SWITCH社は、東京都豊島区にオフィスを構える、情報システムの環境構築やIT企画などを手掛けるベンチャー企業です。

このような40代の採用実績がある企業であれば、40代のあなたが応募しても採用される可能性があります。

転職エージェントから非公開求人を紹介してもらう

最後に紹介するのは、転職エージェントから非公開求人を紹介してもらう方法です。転職エージェントは、あなたのような求職者の転職活動を全面的にサポートする、転職支援のプロです。

そして、非公開求人とは、転職エージェントを介してのみ見ることができる求人です。ここまで紹介してきた求人は、すべて公開求人で、誰でも閲覧できます。

実は、転職市場にある求人の約80%が非公開求人と言われています。つまり、公開求人だけを探していては、あなたが採用されるかもしれない魅力的な求人を逃している可能性が高いです。

また、転職エージェントは求人を出す企業とあなたのような求職者の間に入って、転職を支援しています。企業がどのような人材を欲しがっているかを熟知しています。

そのため、求職者の要望を満足し、採用される可能性が高い求人をピンポイントで紹介してくれます。

冒頭に述べているように、40代システムエンジニアの転職は戦略的に行わなければ、なかなか満足できる結果は得られません。公開求人だけを探していては限界があります。

転職エージェントから非公開求人を紹介してもらい、転職活動を全面的にサポートしてもらうことで、あなたの転職成功の可能性は格段に高まります。

まとめ

ここでは、40代のシステムエンジニアが転職を成功させるための考え方を解説しました。

40代のシステムエンジニアは、転職はできますが、求人を戦略的に探さなければなりません。具体的には、「経験豊富な人材を募集している求人」「PL/PMを募集している求人」「システム開発のスペシャリストを募集している求人」「40代を中途採用している実績がある会社」を探すことで、採用されやすいです。

また、転職エージェントから非公開求人を紹介してもらうことで、あなたが出会える求人数が格段に増え、転職成功の可能性を高めてくれます。

これらの方法を駆使して転職活動を行うことで、40代のシステムエンジニアは転職成功を実現させることができます。


研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。