CRA(臨床開発モニター)として働いているあなたは、現在の年収に満足できなくて転職を考えていることでしょう。年収が低いと、仕事にやりがいを感じにくくなり、激務できつい仕事を乗り越えるためのモチベーションも上がりにくいです。

CRAは、未経験や新卒で働き始めたときは年収が高くありません。しかし、年数を重ねることで年収が上がっていき、高年収も狙える職種です。

そして、今後のCRAとしてのキャリアプランを考えたときに、「どうやって転職によって年収アップを狙うか」「どの企業に転職するか」は、悩みの種だと思います。

ここでは、CRAが転職で年収アップを勝ち取るための求人例を紹介します。そして、年収アップのために必要なスキル、経験や、転職を成功させるための方法についても解説します。

年収アップを狙うときに必要な経験、スキル

転職活動を始める前に、そもそもあなたの現在の年収が、相場と比較してどの程度乖離しているかを把握する必要があります。

下に示すのは、転職サイトの「Answers」を運営している株式会社クイックが調査した、CRAの年代別の平均年収です。20代後半から40代以上にかけて、年齢が上がると共に、年収も上がることがわかります。

引用:CRA(臨床開発モニター)の年収より

この金額と比べてあなたの年収が低ければ、本格的に転職を考えてもよいでしょう。

では、実際に転職活動をして年収アップを目指すときには、どのようなスキルや経験をアピールすればよいのでしょうか。実際の求人例を示しながら、解説していきます。

1年以上のCRAの実績があれば経験者として転職活動ができる

CRAとしての勤務年数が多いほど、高い実力があると見なされます。何年もCRAとして働いていて一人前になっていれば、自分の経験や実力を面接などで大いにアピールすればよいでしょう。

しかし、まだ経験年数が少なければ、「この程度の経験で転職できるだろうか」と考え、転職するのを躊躇してしまうかもしれません。実は、ほとんどの求人は、1年以上の経験があれば、経験者としてエントリーすることができます。

下に示す求人は、CRAだけでなく、メディカルアフェアーズ事業(MSLの派遣など)や、CSO事業(MRなどの営業職の派遣)も行っているACメディカル株式会社のものです。必須条件として挙げられているものは、「CRAとしての実務経験1年以上」だけです。

このように、CRAの経験者を募集する求人は、経験年数が少なくても応募できる求人が多いです。逆に、求人の応募条件で「実務経験5年以上」のように、長い年数の経験を必須としている求人はほとんどありません。

なお、この求人の提示年収は、最大で1,000万円です。提示年収に幅はありますが、年収アップを狙える求人と言えるでしょう。

もちろん、経験年数が多い方がCRAとしての実力がついているとみなされます。しかし、長い経験がなくても、提示年収が高い求人にエントリーできることを覚えておきましょう。

特定領域でのCRA経験があるとアピールしやすい

CRAとして働くときには、1人が1つのプロジェクトを担当することになります。例えば、高血圧治療薬の臨床試験と、糖尿病治療薬の臨床試験の両方を担当するということは、基本的にはありません。

そのため、求人情報に担当するプロジェクトの疾患について記載があれば、その疾患に関連するプロジェクトに関わった経験があれば歓迎されます。

下の求人は、東京都に本社があるアポプラスステーション株式会社のものです。アポプラスステーション株式会社も、CRO事業やCSO事業を軸として活動している企業です。

この求人の「対象となる方」の欄には、以下のように記載されています。

まず、必須条件に挙げられている条件は、決して厳しいものではありません。CRA経験の年数については触れられていませんし、語学力についても、特別高い英語力が求められているわけではありません。

そして、歓迎条件に「オンコロジー、CNS領域経験」が挙げられています。つまり、入社後に携わるプロジェクトは、これらの領域であることが予想できます。

ちなみに、この求人の提示年収は、500万円~900万円です。もし、オンコロジー領域やCNS領域でのCRAの経験があれば、高い年収を求める交渉をしやすいでしょう。

疾患が違えば、用いる医療用語は大きく異なります。そして、医師はカルテに略語や英語で記録を書くことが多いです。そのため、あまり馴染みがない領域のカルテを見るときには、基本的な用語さえも調べる必要があります。

実際の医療現場でも、診療科が異なれば、医師もカルテの内容を解読できないことも当たり前のようにあります。例えば、下に示すのは、眼科を受診した患者さんのカルテのサンプルです。眼科の領域が未経験の人は、何を書いているのかさっぱりわからないと思います。

あなたがこれまで携わったことがあるプロジェクトと、求人で求められる経験が合致すれば、即戦力としての転職を成功させやすいでしょう。

高い英語力があれば、年収の交渉がしやすい

CRAとして働いていると、英語を使用する場面は多いです。あなたも、モニタリング報告書を英語で作成したり、臨床試験に関する英語の資料を解読したりしているはずです。

また、多くの臨床試験は、グローバル試験であり、海外でも同時並行で実施されています。そのため、試験に関する問い合わせを海外の会社にするときには、電話で英語を話す必要があります。

下に示す求人は、医薬品のなかでもバイオ医薬品に特化したサービスを提供している、サイネオス・ヘルス・クリニカル株式会社のものです。この求人の「仕事内容」の欄には、海外からの来客に対して英語を使用することが記載されています。

つまり、英語ができれば、よりスムーズに仕事を行うことができます。会社としても英語ができる人を採用したいのは、このような理由からです。

この求人の「対象となる方」の欄では、英語の読み書きができることは必須で、スピーキングができることが歓迎条件に挙げられています。

語学の欄には、中級レベルの英語力が必要条件、上級レベルの英語力が歓迎条件に挙げられています。つまり、高い英語力があるほど、歓迎され、高い年収を勝ち取りやすいと言えます。

そして、この求人の提示年収は、以下に示す通りです。

このように、CRAの転職では高い英語力が求められることが多いです。そして、スピーキングができるなどの高い英語力があれば、年収の交渉もしやすいでしょう。

医療従事者資格(薬剤師、看護師、臨床検査技師)はアピールしやすい

CRAとして働いていると、医療機関を訪問して、さまざまな職種と打ち合わせをします。具体的には、医師だけでなく、薬剤師、看護師、臨床検査技師などです。

これらの資格はいずれも国家資格です。試験を受けるためには、それぞれの学部や専門学校を卒業していなければなりません。つまり、社会人になってからこれらの資格を取得する人は、ほぼいません。

あなたがもしこれらの資格を保有していれば、医療に関する基礎的な知識や、それぞれの職種の仕事内容について理解していると見なされます。

下に示すのは、臨床検査技師を目指す大学や専門学校で使用する教科書です。つまり、臨床検査技師は、医学に関する基礎的な内容を学んでいます。

このように、医療従事者の資格があれば、基礎的な知識を有しているとみられます。つまり、携わるプロジェクトが変わっても、新しいプロジェクトにすぐに慣れることができます。

もちろん、無資格でもCRAの転職は成功できますが、ここで紹介したような資格があれば、転職をより有利に進めやすいです。

CRAで年収アップを狙う求人

CRAの求人情報をみていると、提示年収はまちまちです。求人を比較しても、「応募条件が厳しくても提示年収が低い求人」や、「多くの人が応募できそうな条件でも提示年収が高い求人」もあります。

そのようななか、一般的に年収が高いと言われているのが、「大手のCRO」と「製薬会社」です。続いて、これらの会社の求人例を紹介していきます。

大手のCRO(医薬品開発受託機関)に転職する

新薬創出の難易度が高くなり、製薬会社やベンチャー企業の間での医薬品開発の競争が激しくなっています。それに伴い、研究部門や開発部門をアウトソーシングする製薬メーカーが増えており、CRO業界は年々市場規模が拡大しています。

下に示すのは、日本CRO協会が発表した、日本CRO協会会員企業の売上高の推移です。

引用:CRO 止まらぬ市場拡大・・・今年は2000億円規模により

CRO業界は、今後も市場の拡大が見込まれ、将来性がある業界と言えます。そして、CROのなかでも、大手のCROは高い年収を提示している企業が多いです。

下に示すのは、企業名は非公開ですが、転職サイトで見つけた大手CROの求人です。

そして、この求人の提示年収は、500万円~950万円です。第1章の冒頭で紹介した、CRAの平均年収と比較しても、同等以上の年収が期待できる求人です。

なお、この求人に応募するときの必須条件は、「CRA経験」のみです。CRA経験者のすべてがこの条件を満たすことになり、応募のハードルは極めて低いです。

このように、大手CROでは、高い年収を提示している求人が多いです。もちろん、提示年収には幅があるので、実際に高年収を勝ち取るためには、前の章で紹介したようなスキルや経験が必要です。

製薬会社のCRAに転職する

現在あなたがCROで働いているのであれば、製薬会社のCRAに転職することで、年収アップを狙うことができます。

下に示す求人も企業名は非公開ですが、外資系の製薬会社のものです。この求人の提示年収は440万円~1,100万円です。

実は、ここまで紹介してきた求人は、すべてCROの求人でした。これまでの求人と比べても、製薬会社の求人は提示年収が高いことがわかります。

そして、製薬会社に転職することで、手厚い福利厚生の恩恵を受けることもできます。一般的には、下に、さきほど紹介した製薬会社の求人と、同じ転職サイトでヒットしたCROの求人の福利厚生の欄を載せています。

福利厚生が充実していると、支出を抑えることができます。例えば、家賃補助がある企業とない企業であれば、家賃による支出が月に何万円も変わります。支出を減らすことで、結果的に手元に残る給料を増やすことができます。

また、さきほど紹介した製薬会社の求人では、リゾート施設やスポーツジムを福利厚生の一環で利用することができます。このように、製薬会社の福利厚生では、支出を抑えられるだけでなく、仕事がない休日でも恩恵を受けることもできます。

もちろん、製薬会社を志望するときに、「製薬会社の福利厚生に魅力を感じた」と志望動機に書いてはいけません。しかし、多くの製薬会社で福利厚生が充実しているのは、事実です。製薬会社へ転職することで、年収アップを達成できるだけでなく、手厚い福利厚生を受けることもできます。

年収アップを達成するために意識すべきこと

では、転職によって年収アップを達成するためには、どのように転職活動をするのがよいのでしょうか。続いて、転職活動のときに意識すべきことについて説明します。

年齢制限が設定されている求人がある

求人によっては、年齢制限が設定されているので、注意する必要があります。下に示すCROの求人は、35歳の年齢制限が設けられています。

求人には、なぜ年齢制限が設定されているのでしょうか。その理由は、会社に少しでも長く貢献してもらいたいという想いがあるからです。

極端な例では、どんなに実力があっても、あと1、2年で定年を迎える人を採用したいとは思わないはずです。つまり、転職では若いというだけで価値があるのです。

実力が不十分だったとしても、若ければ将来的な成長が見込めます。そのため、採用する側としては、少しでも若い人材に入社してもらいたいと考えます。

あなたが転職活動を始めるのであれば、少しでも早く始めた方が、転職を成功させやすいのは間違いないでしょう。

複数の転職サイトの活用は必須

転職を考えたときに、多くの人が最初に考えることは、インターネットで求人を探すことではないでしょうか。

ちなみに、転職サイトによって、掲載されている求人は異なります。そのため、1つの転職サイトだけを利用していると、出会える求人に限りがあります。参考までに、前の章で製薬会社の求人を紹介しましたが、この求人を見つけるまでに私は6つの転職サイトを検索しました。

このように、1つの転職サイトだけを利用していると、見つけることができる求人の種類は限られます。複数の転職サイトを活用して、少しでも多くの求人に触れることをおすすめします。

転職エージェントを活用して、非公開求人を紹介してもらう

転職サイトに登録をすると、転職エージェントがあなた転職活動をサポートしてくれます。このサポートが、あなたの転職を成功に導いてくれます。

実は、転職サイトで検索して閲覧できる求人は、転職サイトが取り扱っている求人のうちごくわずかです。大手転職サイトのdodaには、取り扱っている求人の80%~90%が非公開求人であることが記載されています。

引用:非公開求人に天職あり!転職ならdoda(デューダ)を改変

非公開求人は、転職エージェントから紹介してもらわなければ、あなたがどんなにインターネットで検索をしても、見つけることはできません。

すべての求人を公開すると、人気の求人には応募が殺到してしまいます。その結果、倍率が異常に高くなってしまうので、あえて非公開にしている求人がほとんどです。

私の知り合いで製薬会社のCRAに転職を成功させた人も、転職エージェントから非公開求人を紹介してもらい、年収面も満足できる転職を成功させていました。

CRAの転職で年収アップを狙うときには、転職エージェントを活用して、非公開求人を紹介してもらうようにしましょう。

まとめ

CRAが転職により年収アップを狙うための、求人例と転職先について紹介しました。

これまでに1年以上のCRAとしての実績があれば、経験者として転職できる求人が多いです。そして、求人票内で示されている領域での経験があったり、高い英語力があったりすると、転職後に即戦力としての働きが期待できるので、年収の交渉もしやすいです。

また、もしあなたに薬剤師、看護師、臨床検査技師などの医療従事者の資格があれば、大いにアピールできるでしょう。

CRAの求人では、大手のCROと製薬会社が高い年収を提示していることが多いです。これらの求人を探すことで、年収アップを狙いやすくなります。

求人によっては、年齢制限があるものもあります。そのため、転職をするのであれば、少しでも早い方が有利です。

提示年収が高い求人は、簡単には見つかりません。1つの転職サイトだけで求人を探すのではなく、複数の転職サイトを活用するようにしましょう。

そして、転職サイトが扱っている求人のほとんどは、非公開求人です。そのため、転職エージェントから非公開求人を紹介してもらうことで、高年収の求人に出会いやすくなることを覚えておきましょう。


研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。