スーパーに行くと、多くのお菓子が陳列されている場面をよく見かけると思います。お菓子は子供から大人まで食べる食品です。新商品が発売になると、つい購入してしまう人もいるでしょう。
お菓子の新商品は、まず商品企画部がコンセプトを立案することから開発が始まります。商品企画は、どのような商品を世の中に送り出すかを考えるやりがいのある仕事です。
しかし商品企画職は、お菓子に興味があれば誰でもできる仕事ではありません。仕事内容や転職で求められる経験を理解しておかなければ、転職を成功させることは容易ではありません。
ここでは、お菓子メーカーの商品企画職に転職するときのポイントについて紹介します。具体的には、商品企画の仕事内容について解説し、転職の際に求められる経験・スキル、求人票に提示されている年収を紹介します。
もくじ
商品企画の求人の特徴を把握する
商品企画職は、新商品のコンセプトを立案する、非常にやりがいのある仕事です。
実は、求人サイトで「菓子 商品企画」で検索すると求人を見つけることはできますが、ヒットする求人数は多くないです。例えば、大手転職サイトのdodaで検索をすると、下図のように42件の求人が見つかります。
このなかには、配送ドライバーや営業職の求人も一部含まれています。そのため、あなたが希望する商品企画の求人は、このなかの半分以下です。思ったよりも少ないと感じるのではないでしょうか。
実際に見つかった求人例を1例示します。この求人は大手食品メーカーの江崎グリコ株式会社のものです。ポッキーやビスコなど、江崎グリコ社の製品を食べたことがある人は多いと思います。
この求人では、商品の企画、販売促進のための計画立案などを担当する人材を募集しています。
商品企画の求人は、このような求人を探すことになります。しかし、求人サイトで検索をしても、ヒットする求人数は多くないことを認識しておく必要があります。
商品開発の仕事を兼任することもある
商品企画と類似した職種に、「商品開発」があります。これらの職種は、名前は類似していますが、仕事内容は大きく異なります。
商品企画では、市場を調査し、その調査結果からどのような客層をターゲットにし、どのような新商品の開発を目指すのかを企画します。また、現在あるブランドを今後どのように展開していくかを決めることもあります。このような仕事は、マーケティング職に分類されます。
一方で商品開発は、商品企画部が立案したコンセプトを実際の商品にしていく職種です。原料の選定、サンプルの作成、製造ラインとの調整を行うことが主な仕事です。
そして、求人が紹介されているサイトでも、これらの職種は異なるカテゴリーに分類されています。
下に示すのは、食品業界の求人を紹介している「食品転職.com」のトップページです。このサイトでは、商品企画はマーケティング系に分類されており、商品開発とは異なる職種として取り扱われています。
ところが、実際の求人票を見てみると、商品企画の求人でも商品開発の仕事内容が含まれていることがあります。
次に紹介する求人は、会社名は非公開ですが、愛知県豊橋市にあるチョコレート菓子を製造販売しているお菓子メーカーのものです。
この求人では、商品企画のリーダー候補を募集していますが、求人票に記載されている仕事内容には商品開発の内容も含まれています。具体的には、サンプル施策、製造ライン落とし込みは商品開発の担当者が担う仕事です。
また求人によっては、職種は「商品企画」を謳っていても、担当する仕事内容は商品開発であることもあります。
次に紹介する求人は、はちみつを用いたお菓子を製造販売している会社のものです。冒頭には「商品企画」と記載されていますが、求人票の仕事内容の欄に挙げられているのは商品開発の内容がほとんどです。
このように、求人によっては商品企画以外の仕事を担当することもあります。
私の知り合いが働いている中小規模のお菓子メーカーでは、商品企画と商品開発は同じ部門に属しており、マーケティング部門は別にあると教えてくれました。つまり、企業によって職種や仕事の分け方が大きく異なります。
あなたのやりたい仕事とのミスマッチが起きないように、職種の名称だけで仕事内容を判断するのではなく、求人票に挙げられている内容を十分に確認する必要があります。
転職で求められる経験・スキル
続いて、お菓子メーカーの商品企画職に転職するときに求められる経験・スキルについて紹介します。
商品企画経験が求められるが、商品カテゴリーが指定されていることは少ない
あなたがこれまでお菓子メーカーの商品企画に携わった経験があれば、その経験を活かして転職することができます。このことは容易に想像できると思います。
実は、お菓子の商品企画でなくても、何かしらの食品の商品企画に携わった経験があれば応募できる求人がほとんどです。実際の求人例を2例紹介します。
まず1例目は、東京都千代田区にあるグミ、チョコレートなどを製造販売しているお菓子メーカーの求人です。この求人の応募資格の欄には、商品企画に3年以上携わった経験が必須条件として挙げられています。
この求人では、食品に関する知識・経験は歓迎条件に挙げられています。つまり、お菓子に関する知識がなくても、問題なく応募することができます。
続いて2例目の求人は、冒頭で紹介した江崎グリコ株式会社のものです。この求人では、消費財のマーケティングや商品コンセプト立案の経験があれば応募することができます。
もちろんお菓子は消費財に含まれますが、あなたが日常生活で購入するものの多くが消費財に該当します。下の写真は私の部屋の一部ですが、ここに写っているパソコン、本棚、机、本、カレンダー、缶コーヒー、腕時計なども消費財です。
どの商品も売るためには、市場を調査し、ニーズに合った商品を提案する必要があります。
もちろんお菓子メーカーで商品企画に携わった経験があれば、その経験をそのまま活かすことができます。
パティシエの経験を活かして洋菓子の商品企画に携わる
お菓子と一言でいっても、和菓子、洋菓子、スナック菓子など多くの種類があります。そのなかでも洋菓子の商品企画は、パティシエの経験があれば転職できる求人があります。
次に紹介する求人は、東京都足立区にオフィスを構える株式会社ドンレミーのものです。この求人では、コンビニやスーパーマーケット向けのスイーツの企画・開発に携わる人材を募集しています。
そして、求人票の「対象となる方」の欄には、洋菓子の商品開発経験かパティシエの経験があれば応募できることが記載されています。
パティシエはホテルや洋菓子店でお菓子を作るだけでなく、常に新しい商品を生み出すことが求められます。ケーキ屋さんに行くと、多くの種類のケーキが陳列されており、新商品の紹介がされている場面を見かけることもあると思います。
パティシエとして働いているということは、新商品の企画を常に行っていることになります。その経験やスキルを活かして、お菓子メーカーの商品企画職に転職できることを覚えておきましょう。
年齢制限には注意が必要
ここまで紹介してきた経験やスキルがあればお菓子メーカーの商品企画職の求人に応募することができます。ただし、求人によっては年齢制限が設定されていることがあるので注意しなければなりません。
下の求人は、さきほど紹介したグミやクッキーを製造販売しているお菓子メーカーのものです。この求人では長期勤続によるキャリア形成を図る目的で、年齢制限を35歳に設定しています。
例えば、商品企画を3年経験している27歳と、商品企画を5年経験している40歳が同時にエントリーしてきたら、あなたはどちらの求職者を採用しますか。多くの場合、将来性を見込んで年齢が低い27歳を採用するのではないでしょうか。
若いということは、それだけで転職市場では価値があることです。若ければ若いほど、入社後に長く会社に貢献してくれるので、採用する側も若い人材を確保したいと考えます。
つまり、転職を考えているのであれば、少しでも早く転職活動を始めた方が有利になります。さきほどの求人のように、一部の求人には年齢制限が設けられているものがあるので、求人票を確認したり、転職エージェントに応募可能かを確認したりするようにしましょう。
年収を理解して、転職失敗を防ぐ
転職をするときに、どのくらいの年収をもらうことができるのかは重要なポイントです。できることなら転職によって高年収を獲得したいと考えることは、自然な発想です。
では、お菓子メーカーの商品企画職ではどのくらいの年収が提示されているのでしょうか。下に示すのは、冒頭で紹介した江崎グリコ株式会社の求人です。この求人では、500万円~800万円が提示されています。
そのほか、ここまで紹介してきた5件の求人で提示されている年収を下の表にまとめています。
企業名 | 提示年収
(万円) |
江崎グリコ(株) | 500~800 |
非公開 | 500~600 |
非公開 | 400~520 |
非公開 | 450~650 |
(株)ドンレミー | 350~420 |
多くの求人で500万円前後の年収が提示されています。あなたに商品企画に携わった十分な経験があれば、高年収の交渉もしやすいでしょう。
商品企画職への転職で転職エージェントを活用するメリットを理解する
お菓子メーカーの商品企画の求人に転職するためには、ここまで紹介してきたような求人を探し、エントリーすることになります。
しかし、最初の章で紹介したように、大手の転職サイトでもお菓子メーカーの商品企画の求人は掲載数が少ないです。
そこで、転職に失敗しないためにも、転職エージェントを活用し、非公開求人を紹介してもらうことをおすすめします。実は、求人サイトに公開されている求人は、取り扱われている求人のうちわずか10%~20%と言われています。
20代30代を対象とした求人を多く扱っているマイナビエージェントは、以下のように取り扱っている求人の80%程度が非公開求人です。
引用:非公開求人とは? – マイナビエージェントを改変
つまり、非公開求人を紹介してもらうだけで、あなたが出会うことができる求人は5倍に増えます。少しでも多くの求人に触れることで、仕事内容、勤務地、年収などの条件面で納得できる可能性は高まります。
転職エージェントを活用するメリットは多くありますが、そのなかの1つに「あなたの希望に沿った求人を紹介してもらえること」があります。
最初の章で紹介したように、商品企画の求人には商品企画以外の仕事が挙げられていることが多くあります。そこで、転職エージェントにあなたが従事したい仕事内容をはっきりと伝えることで、あなたの希望に沿った求人を紹介してもらうことができます。
また、転職エージェントは、あなたに代わって企業と年収の交渉もしてくれます。前の章で紹介した江崎グリコ株式会社の求人は、提示年収の最低額と最高額に300万円の差があります。
できることから、少しでも多くの給料をもらいたいと考えることは自然な発想です。そこで、転職エージェントを利用すると、担当者が企業と年収の交渉をしてくれます。
私が転職エージェントを利用したときも、担当者の方が「年収はできるだけ頑張って交渉します」と言ってくれて、最終的には年収アップに成功しました。
このように、転職エージェントを活用するメリットは多くあります。転職エージェントをうまく活用することで、転職の失敗を防ぎやすくなります。
まとめ
ここでは、お菓子メーカーの商品企画職に転職するときのポイントについて解説しました。
商品企画は、新商品のコンセプトを立案することが主な仕事です。ただし、求人票には「商品企画」と謳われていても、実際に担当する仕事は「商品開発」であることがあります。そのため、求人票に挙げられている仕事内容はしっかりと確認する必要があります。
お菓子メーカーの商品企画職に転職するためには、必ずしもお菓子の商品企画に携わった経験がなくても問題ありません。消費財の商品企画の経験があれば応募できる求人もあります。
また、パティシエとして洋菓子を企画・開発した経験があれば、洋菓子を取り扱っている企業から応募可能な求人がでることがあります。
そして、転職エージェントを活用し、あなたの希望に沿った求人を紹介してもらったり、年収の交渉を代行してもらったりすることで、満足できる転職を実現しやすくなります。
研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。
一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。
これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。