システムエンジニアとして働き始めて1年目のあなたは、仕事の壁にぶち当たっているのではないでしょうか。

実は、あなたが抱える仕事の悩みの原因は、あなた自身にある場合と、会社にある場合があります。転職するときには、この原因をしっかりとみきわけなければなりません。

そして、闇雲に転職するのではなく、悩みの原因を解決するために戦略的に転職活動をすることで、満足できる転職を実現できます。

ここでは、1年目のシステムエンジニアが転職するときのポイントを解説します。

入社一年目の新卒SEが辞めたくなる状況

働き始めて間もないシステムエンジニアが転職を考える場合、いくつかの理由があります。その理由は、人によって異なります。

仕事を覚えるのが遅い

1つ目の理由は、なかなか仕事を覚えられない場合です。システムエンジニアとして働く私の友人に話を訊くと、以下のエピソードを話してくれました。

仕事では、エクセルで関数を組んだり、マクロを使ったりすることが日常的にある。入社するまでにエクセルを使ったことがほとんどない人は、仕事を覚えるのが大変だと思う。

実際に、大学が文系の学部出身で入社して、1年目で辞めた人はいる。その人は、入社したときはキーボードを指1本で打っていた。パソコンをほとんど使ったことがない人だった。

研修が終わって部署に配属されたときには、クリックしても「次は何をしたらいいんですか?」という感じで、次の指示をずっと待っていた。その人は明らかにシステムエンジニアに向いていないと感じた。

このエピソードは極端な例ですが、あなたも「エクセルの関数の使い方がわからない」「コーディングルールをなかなか覚えられない」など、仕事を覚えるのが遅くて悩んでいるかもしれません。

システムエンジニアとして今後も働いていく自信がない場合は、ほかの業界や職種に転職することも考える必要があります。具体的な方法は、次の章で紹介します。

求められるレベルが高すぎる

入社すると、ほとんどの企業で新入社員に研修を受けさせます。そして研修が終わると、先輩社員に直接指導をしてもらいながら仕事を覚えていきます。

先輩社員との相性もありますが、丁寧に指導してくれない場合は、仕事がうまくいかずつらい想いをすることもあります。指導方針も会社によって異なります。

私の友人で、精密機器メーカーの子会社で働いているシステムエンジニアがいます。彼の会社では、1年目のシステムエンジニアを以下のように育成しています。

配属になって最初の仕事は、プログラムの一部の修正から任せる。例えば、「数値を30から50に変更する」のように、細かい修正からやってもらう。

このように簡単な修正でも、既存の処理がどのようになっているかを調べるところから始めないといけない。修正箇所を確認してから、実際に数値を変える必要がある。

このような修正規模が小さいものでも、最初は余裕をもって2日、3日かけてやらせる。

このような企業であれば、最初に任される仕事の負荷は軽いです。万が一任された仕事がうまくいかなくても、すぐに先輩社員が挽回できるような仕事です。

しかしシステムエンジニアが働く会社は、彼の会社のような会社ばかりではありません。

大学時代の後輩で、電機メーカーで働いているシステムエンジニアがいます。彼の実体験が以下の内容です。

部署に配属されてからは、「1つの機能を新しく作って動かせるようにする」というミッションを与えられたが、うまく動かないのが当たり前だった。

ひたすらコードを組んで動かしてみて、「あぁ、また動かないなあ」という感じで、デバッグの連続だった。先輩に教えてもらいながらやったが、正直しんどかった。

ちなみにこの後輩は、大学では工学部の情報工学科を卒業しています。学生時代からプログラミングに触れていました。そのような人でも、仕事の実務となるとなかなかうまくいかず、辛い想いをすることも珍しくありません。

このように、会社によって入社1年目のシステムエンジニアの育成方法や、任される仕事の負荷は異なります。

会社によっては、求人票に指導方針や転職直後に担当する業務について記載しているものもあります。例えば、下に紹介する株式会社ジャストワークの求人には、先輩社員のサポート業務からスタートすることが紹介されています。

ジャストワーク社は、埼玉県川越市に本社があり、オフィスを東京都千代田区に構える企業です。スマートフォンやタブレットのアプリケーション開発に強みがあります。

システムエンジニアとして働くための基礎をじっくりと身に着けたいという人は、このような企業の方が向いています。

実力がほとんどない1年目で負荷の大きい仕事を任せられてしんどい想いをしているのであれば、負荷の少ない業務から任せられる会社への転職を考えましょう。

残業代が支払われないブラック企業

「IT業界はブラック企業が多い」「システムエンジニアは激務」という噂を聞いたことがあるかもしれません。先輩社員の働き方を見ていて、「今の働き方を今後もずっと続けるのは無理。早く転職したい」と思っている人もいると思います。

実際に、私の周りにシステムエンジニアとして働いている人が何人かいます。彼らが勤めるどの企業も残業代はちゃんと支給されていると聞いています。しかし、周りに目を向けると「一緒に仕事をしている会社の人のなかには、サービス残業が多いと愚痴をこぼす人もいる」という話もあります。

法整備が進み、残業代が支給されない企業は確実に減っています。例えば、下に紹介する三谷産業株式会社の求人には、サービス残業は発生しないことが明記されています。

三谷産業社は、北陸を代表する総合企業です。情報システム事業以外にも、化学品事業、空調設備工事なども展開しています。

また、経済産業省がホワイト企業として認定する健康経営優良法人認定制度で認定されている企業もあります。下に紹介するトーテックアメニティ株式会社は、ホワイト500認定企業です。

トーテックアメニティ社は、東京都と愛知県に本社があり、関東、北陸、中部、東海、関西、九州に事業所を構える企業です。この求人では、IT関連のプロジェクトに従事する人材を募集しています。

残業代が支給されないことは違法です。サービス残業は、本来認められません。サービス残業は、給料・年収において不利益を被っている状態と言えます。

あなたが残業時間やサービス残業でしんどい想いをしているのであれば、真っ当な企業に転職することをおすすめします。

実務経験1年のシステムエンジニアが転職を成功させるための方法

「まだ1年しか働いていないけど、経験者として採用してもらえるか」と疑問に思うかもしれません。「せっかくシステムエンジニアになったのに、すぐ転職して大丈夫だろうか」と不安な気持ちもあるかもしれません。

そのようなあなたが転職を実現するための具体的な方法を紹介します。

経験年数1年でも技術力を活かせる

もちろん、即戦力としての期待は薄いですが、全くの未経験者と比べると多少の知識やスキルがあるので、経験者として採用されることは可能です。

例えば、次に紹介する株式会社Liblockの求人では、流通・金融などのシステム開発を担当する人材を募集しています。

そして、Liblock社の求人の応募条件は以下の通りです。

1年目のあなたは、第二新卒に該当します。JavaやC#を学んだことがあれば、経験年数も不問と記載されているので、入社して1年以内の経験でも十分評価されます。

また、システムエンジニアは未経験者でも転職することができる職種です。ここで紹介したLiblock社の求人も、未経験者であっても応募することができます。

このように、業務経験が1年未満のあなたでも経験者として採用される可能性は十分あります。自信をもって転職活動をしてください。

業界を変えることもできる

現在の会社で働き続ける自信がない場合は、思い切って働く業界を変えてもよいです。

システムエンジニアとして働いた経験や身につけたスキルを全く活かせない職種や業界に転職することもできます。しかし、すべてを1から学ぶ必要があり、これは大変です。

研修を含めてこの1年で身につけたものを少しでも活かせる求人に転職する例を紹介します。具体的には、会社の社内SEに転職する場合です。

社内SEは、会社内のシステム運用を担当する職種です。会社の「システム課」に所属して、システム運用に関するあらゆる相談やトラブルに対応します。

実際の求人例を1件紹介します。この求人は、医療機関から出されているものです。医療法人社団善仁会グループの総合検診センターヘルチェックが、基幹システムの改修・運用・保守・ヘルプデスク業務を担当する人材を募集しています。

この求人のような医療機関で利用される基幹システムには以下のようなものがあります。

  • 勤怠管理システム
  • 会計システム
  • 電子カルテ
  • 検査システム

一部医療機関特有のシステムがありますが、勤怠管理システムや会計システムは多くの企業でも導入されているシステムです。例えば下の写真は、とある病院の入り口に設置されている勤怠管理システムです。

ここで紹介したシステムは、ほとんどの場合ユーザー企業が開発しているわけではありません。別の企業が開発しています。医療機関は、それぞれのシステムを購入して利用しているのです。

システム上のトラブルが起きたときは、簡易なものであれば自社で対応します。しかし、自社内で対応が難しい場合は、開発元の企業に依頼して、点検・修繕を実施してもらいます。

これらのシステムが、適切に運用できるように調整するのが社内SEの仕事です。

社内SEが担当するのは、システム運用だけではなく、コンピュータに関するあらゆる相談・トラブル対応です。細かいものだと、以下のようなものも社内SEの仕事に含まれます。

  • PHSの番号登録
  • パソコンの動きが遅いから何とかしてほしい
  • 会議室のプロジェクターの接続方法が分からない

このようなコンピュータ関係の雑用に近い内容も、社内SEの仕事です。

なお、この求人の応募条件は以下の通りです。開発やインフラ関係の実務経験があれば応募でき、年数は不問です。もちろん、医療知識も不問です。

ここでは医療機関の求人を紹介しましたが、社内SEが活躍しているのは医療業界だけではありません。

例えば製造業の企業であれば、在庫管理のシステムも基幹システムの1つです。製造業の社内SEは、在庫管理システムを含む社内の基幹システムの運用を任されます。

「パソコンやネットワークに興味はあるけど、今のように開発をメインで任されるのはしんどい」と感じている人にとっては、社内SEは転職先の選択肢に入ります。

転職のストレスを減らし、満足できる転職を実現させる

働き始めて1年もたたないうちに転職するのは、大きなストレスがかかります。転職を考えているあなたは、以下のように考えているのではないでしょうか。

  • 会社に言い出しにくい
  • 次の会社も今の会社と同じような環境ではないか気になる
  • 自分に合った仕事を探したい

私も転職を経験しましたが、同じような不安がありました。転職を決意してから上司に退職の意志を伝えるのに何日もかかりましたし、本当に自分に合った仕事があるのか不安でいっぱいでした。

これらの不安やストレスを軽減してくれる1つの方法に、転職エージェントの活用があります。

転職エージェントは、転職を考えている求職者と人材を求めている企業をマッチングさせる企業です。

そして転職エージェントは、求人を紹介してくれるだけでなく、転職に関する多くの相談に乗ってくれます。退職連絡の代行サービスを提供している転職エージェントもあります。

また、さきほどシステムエンジニアから社内SEに転職できることを紹介しましたが、システムエンジニアの経験を活かせるのは社内SEだけではありません。また、システムエンジニアの経験を間接的に活かせる職種に転職してもよいです。

転職エージェントは、あなたの興味・関心があること、これまでの経歴、業務経験から総合的に判断して、活躍できる企業・職種を提案してくれます。

私も転職のときには、転職エージェントのサービスを利用しました。私の場合は、社会人の経験よりも、学生時代の経験や身につけたスキルを活かして働ける職種を提案してもらい、転職を成功させました。

あなた一人で悩んで考えても、満足できる転職を実現できるかどうかはわかりません。少しでも転職の満足度を高めるために、転職エージェントを含む第三者の力も借りて、後悔のない転職を実現させましょう。

まとめ

ここでは、入社1年目のシステムエンジニア・SEが転職をするときのポイントを解説しました。

入社して間もないあなたは、さまざまな理由で働くことに悩んでいると思います。まずは、その理由を明確にしましょう。

システムエンジニアとして働き続けることに不安が強ければ、ほかの職種や業界に転職することも考えなければなりません。

会社の社風や、仕事の負荷に対して不満があれば、あなたに合った企業を探しましょう。

転職はあなた一人で悩んでも、なかなかうまくいきません。第三者の力も借りながら、あなたに合った企業・職種を選択しましょう。そうすることで、満足できる転職を実現することができます。


研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。