現在プログラマーとして働いているあなたは、「システムエンジニアにキャリアアップしたい」と感じていると思います。そのようなプログラマーは少なくありません。

では、プログラマーがシステムエンジニアにキャリアアップするためには、どのような求人を探せばよいのでしょうか。

ここでは、プログラマーからシステムエンジニアに転職するときの求人の探し方や年収の違いなどについて解説します。

プログラマーはプログラミング、システムエンジニアをシステム開発全体を担当する

まずは、プログラマーとシステムエンジニアの業務範囲の違いを確認しましょう。

システム開発は下の図のように、要件定義から始まり、運用・保守までの工程があります。

このなかで、プログラマーが担当するのは、基本的にプログラミング工程のみです。一方で、システムエンジニアはすべての工程に関わる可能性があります。そして、その働き方は会社や担当するプロジェクトによって変わります。

私の友人には、システムエンジニアとして働いている人が何人かいます。彼らに業務範囲の話を訊くと、さまざまな話をしてくれました。具体的には以下の内容です。

友人A(SIer勤務)

私の会社は、プログラミング工程の一部は外部企業のプログラマーに委託する。私が担当するのは、システム設計と顧客のアフターフォローがメイン。しかし、プロジェクトの進捗によっては、外部企業のプログラマーと一緒にプログラミングも担当する。

友人B(電機メーカー勤務)

かつては、海外の企業にプログラミング工程を委託することがあった。当時の私の仕事は、海外企業に業務委託するために仕様書を英語で作成したり、仕様書通りになっていないときの修正依頼をしたりすることだった。

最近では費用の関係で、外部に委託するのではなく、できるだけ自社内でプログラミング工程をやろうという流れになっている。

私の会社にはプログラミングだけを担当する人はいないので、システムエンジニアがプログラミング工程も行っている。

このように、システムエンジニアの働き方は会社によって異なります。

会社によっては職種の違いが曖昧なこともある

プログラマーとシステムエンジニアの業務範囲は異なります。しかし、すべての会社で、役割分担が明確になっているわけではありません。

例えば、下に示す株式会社メイシスの求人では、募集職種は「システムエンジニア、プログラマー」と記載されています。そして、募集対象には上流工程の作業を行いたい方と書かれており、システム設計を中心に担当する可能性が高いです。

メイシス社は、神奈川県横浜市に拠点があるIT企業です。主に中小企業を対象としたITサービスを提供しています。

プログラマーは主にプログラミング工程を担当するので、下流工程を任されるはずです。

この求人票の文章だけを読むと、「上流工程をメインで担当しつつ、プログラミング工程の一部も担当する」と考えられます。しかし、プログラミング工程をどの程度任されるかは、求人票だけでは予想できません。

求人票の情報だけではイメージが湧きにくい場合は、企業に直接確認するか、転職エージェントを介して業務内容の詳細を問い合わせてもらうようにしましょう。

あなたが希望する働き方ができるかを事前に確認することで、転職後も満足して働くことができます。

プログラマーがシステムエンジニアに転職する方法

では、プログラマーからシステムエンジニアに転職するためには、どのような求人を探せばよいのでしょうか。

ここからは、実際の求人票の応募条件や仕事内容を紹介しながら、転職方法を確認していきましょう。

上流工程の経験がなくても採用される可能性はある

冒頭で解説したように、システムエンジニアはシステム開発の上流工程から関わります。そのため、システムエンジニアを募集している求人は、上流工程の業務経験を必須としている求人が多いです。

では、プログラミング工程(下流工程)しか経験していないあなたがシステムエンジニアの求人に転職できないかというと、必ずしもそうではありません。

下に示す株式会社CLAPSでは、生産・物流管理などの業務系システムの開発を担当するSEを募集しています。

CLAPS社は、愛知県名古屋市にオフィスがある企業です。システム開発、業務改善支援、教育・カウンセリングを主な事業としています。

そして、この求人の応募条件は以下の通りです。必須条件に上流工程の経験が挙げられています。その一方で、プログラマーからシステムエンジニアへのキャリアチェンジをしたい方が歓迎条件に挙げられています。

プログラマーはプログラミング工程を担当するので、基本的には下流工程の業務経験しか積むことができません。つまり、あなたの業務経験では、CLAP社の求人の応募条件を完全に満たすことはできません。

しかし、プログラマーからシステムエンジニアへのキャリアチェンジも可能であることが明記されています。

あなたがプログラマーとして働きながら、上流工程に関わった経験があれば、その経験をアピールするといいです。

プログラマーとして転職してシステムエンジニアにキャリアアップする

さきほど紹介した求人のように、プログラマーが応募できる可能性があるシステムエンジニアの求人は、転職市場に多くはありません。そこで、別のアプローチで求人を探す必要があります。

会社によっては、まずはプログラマーとして採用して、その後実力をつけさせてシステムエンジニアにキャリアアップさせることもあります。

例えば、下に示す旭情報サービス株式会社の求人では、プログラマーとして採用されます。そして、知識やスキルを身に付けながらシステムエンジニアにキャリアアップします。

旭情報サービス社は、東京都千代田区に本社があるネットワークサービス、システム開発などを手掛けるIT企業です。東京以外にも神奈川県横浜市、愛知県名古屋市、大阪府大阪市にも支社を設けています。

システムエンジニアを募集している求人の多くは、システム開発の上流工程の業務経験が求められます。プログラミング工程の業務経験しかなければ、そのような求人には基本的に応募できません。

このようなプログラマーも募集している求人も含めて探すことで、選択肢を広げることができます。

資格を取得していれば、知識・スキルをアピールできる

ここまで紹介した求人のように、プログラマーからシステムエンジニアにキャリアチェンジをすることは可能です。

そして、もしあなたがプログラマーとして働きながらIT関連の資格を取得していれば、より転職活動を有利に進めることができます。

下に示す株式会社アイティーインペルの求人ではプログラマーを募集していますが、ゆくゆくはシステムエンジニアとして要件のヒアリングなども担当します。

アイティーインペル社は、佐賀県佐賀市にオフィスがあるSIerです。受託開発だけでなく、自社開発品の提供も行っています。

そして、アイティーインペル社の求人の応募条件は、以下の通りです。必須条件に「基本情報技術者試験」と「エンジニアとしてのキャリアで成長したい方」が挙げられています。

基本情報技術者試験は、プログラマー・システムエンジニアなどの多くのITエンジニアが取得を目指す国家資格です。ITエンジニアの登竜門に位置付けられています。

この求人のように、プログラマー・システムエンジニアの募集で、資格が必須条件に挙げられることは珍しいです。

資格を必須条件に挙げているのは、企業が基本的な知識や技能を持っている人材を採用したいと考えているからです。

あなたがIT関係の資格を取得してれば、知識や技能を客観的に証明できるので、転職活動を有利に進めることができます。

プログラマーとSEの年収の違い

最後に、プログラマーとシステムエンジニアの年収の違いを確認しておきましょう。

プログラマーとシステムエンジニアの年収は、かつて厚生労働省が賃金構造基本統計調査として毎年調査・報告していました。

参考までに、プログラマー(PG)とシステムエンジニア(SE)の年収ごとの人数と割合を表にまとめたものを、下に示します。なお、ここで示している年収には、残業代などの超過労働給与と賞与(いわゆるボーナス)は含まれていません。

引用:厚生労働省 賃金構造基本統計調査より

プログラマーとシステムエンジニアの年収を比較すると、システムエンジニアの方が高年収の割合が多いことがわかります。

プログラマーの仕事は、システムエンジニアが設計した仕様書を基にプログラミングを行うことです。そのような関係のため、プログラマーよりもシステムエンジニアの方が年収が高い傾向にあります。

システムエンジニアへの転職が、年収アップを目的としている人もいると思います。

ここまで4件の求人を紹介しました。4件の求人で提示されていた年収を一覧にしたものが、下の表です。

企業名 提示年収

(万円)

募集職種
(株)メイシス4 320~650 プログラマー/システムエンジニア
旭情報サービス(株)1 400~600 プログラマー/システムエンジニア
(株)CLAPS2 252~360 システムエンジニア
(株)アイティーインペル3 264~415 プログラマー

会社によって、提示されている年収に大きな差があることがわかります。

厚生労働省が報告している賃金構造基本統計調査から、システムエンジニアの年代別の平均年収を抜き出したものが、下の表です。

引用:厚生労働省 賃金構造基本統計調査

せっかくシステムエンジニアに転職できても、年収が転職前より下がったり、システムエンジニアの年収相場よりも大幅に低かったりすると、仕事に対するモチベーションを維持できません。

あなたが応募できる求人を見つけたら、提示されている年収をシステムエンジニアの年収相場と比較するようにしましょう。

まとめ

ここでは、プログラマーがシステムエンジニアへのキャリアアップを目指すときの転職方法について解説しました。

システムエンジニアは、プログラミングを含むシステム開発のすべての工程を担当する可能性があります。担当する工程は、会社やプロジェクトによって変わります。

システムエンジニアを募集している求人は、上流工程の経験が求められることが多いです。そのなかには「プログラマーからのキャリアチェンジを歓迎」と記載されている求人もあります。

システムエンジニアではなく、プログラマーを募集している求人に採用されて、入社してからシステムエンジニアにキャリアアップすることもできます。

プログラマーとして働きながらIT系の資格を取得していれば、あなたの知識・技能をアピールでき、転職活動を有利に進めることができます。

プログラマーよりもシステムエンジニアの方が、年収が高いことが多いです。しかし、システムエンジニアの年収は、会社によって大きく差があります。

政府統計などの信頼性の高いデータと求人票の年収を比較して、年収面で失敗しないようにしましょう。


研究職や開発職で転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい労働条件や年収の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、労働条件や年収の交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「取り扱っている求人が全国各地か、関東・関西だけか」「事前の面談場所は全国各地か、電話対応だけか」「40代以上でも利用できるか、30代までしか利用できないか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。